2019年05月13日更新
Windows Defenderとは?評価や性能を他のセキュリティ対策ソフトと比較!
Windows DefenderはWindowsに標準でインストールされているセキュリティ対策ソフトです。Windows Defenderの評価や性能を、第三者組織が他のセキュリティ対策ソフトと比較し評価した結果を交えて紹介します。
目次
- 1Windows Defenderとは?性能の評価はどう?
- ・Windows Defenderの生い立ち
- ・現在のWindows Defenderとは?
- 2Windows Defenderの性能にはどんな機能があるの?
- ・代表的な機能
- 3Windows Defenderの各機能の評価
- ・マルウェア対策性能
- ・動作の軽さ
- ・ランサムウェア対策
- ・Web脅威対策
- ・ファイアウォール
- ・ペアレンタルコントロール
- ・性能の評価はユーザーの設定次第
- 4Windows Defenderのメリットは?
- ・Windows Defenderのメリット
- 5Windows Defenderの性能評価は低評判!デメリットは?
- ・迷惑メールや不審な広告のブロックは無効
- ・未知のウイルスには不十分
- ・Windows Defenderを無効にする方法
- 6Windows Defenderと他の無料セキュリティソフトの性能の評価比較!
- ・人気セキュリティ対策ソフトの特徴
- 7Windows Defenderと他のセキュリティソフトの評価をチェック!
Windows Defenderとは?性能の評価はどう?
Windows Defenderとは、Windowsに標準でインストールされているセキュリティソフトです。このセキュリティソフトは、WindowsのPCを購入すると最初からインストールされています。そのため、Windowsのユーザーはコンピュータウイルスなどのマルウェアに対して、買った当初から備えがある状態といえます。
Windows Defenderは無料のセキュリティソフトでありながら、年々性能を上げています。過去には良い評判が少なかった時期もありましたが、現在は数あるセキュリティソフトの中でも上位の成績を出すようになりました。
Windows Defenderの生い立ち
Windows DefenderはWindows Vistaから標準機能としてインストールされていました。当時のWindows DefenderはスパイウェアやアドウェアからWindowsを保護するソフトであり、ファイアウォールなどの機能は付属しておらず不正な通信によるウイルスの侵入に対して無防備でした。
その後、Windows Defenderにウイルス対策機能を付与したMicrosoft Security Essentialがリリースされました。これはWindows7まで対応していますが、既存のセキュリティソフトと競合しないように作られているため、最低限の保護に留めていました。
保護を最低限に留めていたこともあり、有償のセキュリティソフトと比較するとコンピューターウイルスなどのマルウェアの検出率が低く、評判は良いものではありませんでした。
現在のWindows Defenderとは?
Windowsの利用者の多くがセキュリティソフトを導入していない事実がある一方、コンピューターウイルスをはじめとした脅威は日々増しているため、現在のWindows DefenderはWindows8から標準でインストールされています。
ここで、Windows Defenderの性能が他のセキュリティソフトと比較してどの程度のレベルとして評価されているか見てみましょう。
上のグラフは、各セキュリティソフトがパソコンをオンライン上の脅威から保護できているかを検証した結果です。AV-Comparativesという組織によって2019年2,3月に集計・評価されたものを参照しました。
Microsoftの項目がWindows Defenderに該当します。他のセキュリティソフトと比較すると、赤色(自動的に侵入してきたウイルスを防げなかった割合)や黄色(ユーザーがウイルスを招いてしまい防げなかった割合)が見られず、灰色(コンピューターウイルスなどのマルウェアをブロックできた割合)のみのため、しっかりと脅威をブロックしていることがわかります。
Microsoft Security Essentialからはマルウェアを検知する能力が飛躍的に向上しており、無償であるため評判も良くなっています。
誤検知が多い
上に示したグラフの橙色の線(False Positives)を見ると、Microsoftのところが突出しています。これは誤検知が多いことを表しています。誤検知とは正常なファイルを不正なファイルと誤って判断してしまうことです。誤検知が発生すると正常なファイルの利用を妨げてしまい、PCの利用が不便になってしまいます。
誤検知の対策
正常なファイルがWindows Defenderによってマルウェアと誤検知されてしまった場合、誤検知されたファイルをマイクロソフト社に依頼して分析してもらい、ファイルが本当にマルウェアかどうかを調べることができます。
Windows Defenderの性能にはどんな機能があるの?
Windows Defenderにどのような機能があるかを紹介します。Windowsに標準でインストールされているため意識する機会は少ないですが、搭載されている機能を知り、不足があれば他のセキュリティソフトを導入することを検討しましょう。
代表的な機能
Windows Defenderの主な機能は「リアルタイム保護」「スキャン保護」「ファイアウォール」の3つに分けることができます。どれもセキュリティソフトには必要最低限の機能です。それぞれどのような役割をもっているか見ていきましょう。
リアルタイム保護
「リアルタイム保護」は常時PCを監視し、ダウンロードしたファイルに不正なデータが含まれていないかどうかをチェックする機能です。不正であると判断されれば即座にユーザーに通知されます。Webブラウザなどを通じてファイルをダウンロードした時のほかに、ファイルの新規作成やコピーに対してもチェックします。
スキャン保護
「リアルタイム保護」はダウンロードしたファイルや新規作成、コピーしたファイルに対してチェックするため、すでにパソコンの中に入っていたファイルに対しての機能はもっていません。すでにパソコンの中に入っていたファイルに対しての機能として「スキャン保護」があります。
ファイアウォール
「ファイアウォール」は不正な通信を検出して通信を阻止します。不正な通信を通してしまうと、PC内にコンピューターウイルス等の脅威が入り込んでしまうほか、不正アクセスを許してしまうことにつながります。
Windows Defenderの各機能の評価
ここからはWindows Defenderの各機能をそれぞれ評価していきます。「マルウェア対策」「動作の軽さ」「ランサムウェア対策」「Web脅威対策」「ファイアウォール」「ペアレンタルコントロール」を評価項目としています。
マルウェア対策性能
マルウェアとはウイルスのような悪意のあるソフトウェア全般を指します。今回のマルウェア対策性能はマルウェアのような不正なプログラムを検出し、ブロックした割合で評価します。
上のグラフは、各セキュリティソフトのマルウェア対策性能を比較した結果です。AV-Comparativesという組織によって2019年3月に集計・評価されたものを参照しました。
Microsoftの項目を見ると、マルウェアをブロックした割合は99.98%と高く、Windows Defenderのマルウェア対策性能は他のセキュリティソフトの性能と比較して、高い性能をもっていることが分かります。
動作の軽さ
セキュリティソフトの機能のリアルタイム保護はWebからのダウンロードやファイルのコピーなど、様々な動作に割り込んで検査を行っているため、検査にかかる時間が長いとそれだけPCの動作を重くします。スキャン保護はPCのリソースを利用してファイルやメモリーを検査しており、スキャン保護中に別の作業を行うとPCの動作は重くなります。
そのため、セキュリティソフトの性能を評価する項目の一つとして「動作の軽さ」というものがあり、セキュリティソフトを選ぶ際の基準の一つでもあります。
上のグラフは、各セキュリティソフトのパフォーマンステストを比較した結果です。AV-Comparativesという組織によって2018年10月に集計・評価されたものを参照しました。棒グラフの長さが長いほど、セキュリティソフトがPCのパフォーマンスに与える影響が大きいことを表しています。
Microsoftの項目を見ると、他のセキュリティソフトと比較してパフォーマンスに与える影響が大きいことが分かります。そのため、PCの動作を重くしてしまう可能性があり、Windows Defenderの評判に「動作が重い」といったものが挙がる理由の一因です。
ランサムウェア対策
ランサムウェアとはPCを操作不能にしたうえで解除と引き換えに金銭を要求する不正なプログラムです。セキュリティソフトは、不正なサイトへのリンクや不正なファイルを検知し、ランサムウェアによる被害が出る前にブロックします。
上のグラフは各セキュリティソフトのランサムウェア対策性能を比較したものです。MRG Effitasという組織によって2018年10月から12月に集計・評価されたものを参照しました。Microsoftの項目を見るとランサムウェアをすべてブロックしており、他のセキュリティソフトと比較してもランサムウェア対策性能は十分なものと言えます。
Web脅威対策
Web脅威とは不正なWebサイトを指し、主にフィッシング詐欺のページをブロックします。フィッシング詐欺は偽の金融機関等のページに案内し、カード番号やログイン情報を盗み取ろうとする詐欺の手法です。
上のグラフは、各セキュリティソフトがパソコンをWeb上の脅威から保護できているかを検証した結果です。AV-Comparativesという組織によって2019年2,3月に集計・評価されたものを参照しました。Microsoftの項目を見ると、他のセキュリティソフトと比較すると誤検知が多いものの、Web上の脅威をブロックできていることが分かります。
ファイアウォール
Windows Defenderのファイアウォールはインターネットに接続した際に不正なプログラムがPC内に入らないようにする機能です。この機能は外部からの侵入に対しては全てブロックするようになっています。
ただ、PCから外部への通信にはこの機能は働きません。そのため、コンピューターウイルスのようなマルウェアに感染してしまうと、PCから外部へとPC内の情報が送信されてしまい、その送信をブロックすることができません。
ペアレンタルコントロール
ペアレンタルコントロールとは、子供が有害なWebサイトを見ることができないように保護者が制限をかけることができる機能です。Windows Defenderでは設定した子供の年齢によって自動的に制限がかかるため、細かく制限をかけることができません。
性能の評価はユーザーの設定次第
ここまでWindows Defenderの様々な機能の評価と、他のセキュリティソフトと比較した上での評価を見てきました。Windows Defenderはマルウェアの検知能力が高く、無償で標準でインストールされていることもあり、評判の良いセキュリティソフトです。
一方、セキュリティソフトとしての機能は最低限のものであり、多くの機能を求めるユーザーからは評判が低いことも事実です。
上のグラフは、各セキュリティソフトがパソコンをWeb上の脅威から保護できているかを検証した結果です。AV-Comparativesという組織によって2018年8月から11月にかけて集計・評価されたものを参照しました。
Microsoftの項目を見ると、他のセキュリティソフトと比較して黄色い部分(ユーザー依存)が大きくなっています。ユーザーの設定次第でセキュリティ機能が上下してしまうことを示しています。
Windows Defenderは最新の調査では優れた性能をもっていますが、過去の調査を見ると、セキュリティ機能がユーザーに依存しやすく、誤検知が多い傾向があります。セキュリティ機能がユーザーに依存している点がWindows Defenderの評判を下げている一因でもあります。
Windows Defenderのメリットは?
ここではWindows Defenderのメリットについて考えてみたいと思います。
Windows Defenderのメリット
Windows Defenderのメリットとして、Windowsアップデートの際に問題が起こりづらいことが挙げられます。他のセキュリティソフトの場合、Windowsアップデートの直後はセキュリティソフトが不具合を起こす可能性があり、一時的に無防備な状態になってしまいます。
無償のWindows Defender
Windows Defenderは、他のセキュリティソフトと比較しても十分なウイルス対策性能をもっています。何より無償のため、コストがかからない点が大きなメリットであると言えます。また、標準でWindowsにインストールされているため、ユーザーが意識せずとも最低限のセキュリティの維持が可能である点もメリットと言えます。
有償のWindows Defender
Windows Defenderは無償ですが、企業向けの有償オプションであるWindows Defender ATPというものがあります。企業向けということもあり、複数台のPCを管理することができます。また、クラウド、機械学習、動作分析といった有償版のみにある機能によってセキュリティ機能が向上しています。
Windows Defenderの性能評価は低評判!デメリットは?
ここからはWindows Defenderの性能評価を低評判にしている要素について見ていきます。主な理由として「迷惑メールや不審な広告のブロックが無効」「未知のウイルスに対する性能が不十分」であることが挙げられています。
迷惑メールや不審な広告のブロックは無効
スパムメールをはじめとして、ビジネスメール詐欺やフィッシング詐欺といった、悪意のあるメールを検出する迷惑メール対策機能はWindows Defenderにはありません。また、不適切なWeb広告をブロックする機能もありません。不適切なWeb広告はウイルスの侵入経路でもあり、ユーザーの気づかぬうちにウイルスに感染してしまいます。
未知のウイルスには不十分
Windows Defenderは既知のウイルスに対しては優れた性能をもちますが、未知のウイルスを検知し防ぐ機能はもっていません。ウイルスは日々進化しており、セキュリティソフトによる対策がとられる前に攻撃することが多くなっています。
未知のウイルスに対して、過去のウイルスの挙動との類似性から「ウイルスらしさ」を検知してブロックする機能が最近のセキュリティソフトには実装されていますが、Windows Defenderは不十分と言えます。
Windows Defenderを無効にする方法
Windows Defenderとは別のセキュリティソフトをインストールする場合や、利用したいファイルがWindows Defenderによってブロックされてしまう場合に、Windows Defenderを無効にする方法を紹介します。
Windows Defenderの他にセキュリティソフトが無い場合、Windows Defenderを無効にするとあらゆる脅威に対してPCが無防備になってしまうため、無効にする際は慎重に行ってください。
左下のWindowsマークをクリックしてスタートメニューを表示し、歯車マークの「設定」をクリックします。
「Windowsの設定」が表示されたら「更新とセキュリティ」をクリックします。
左メニューの中から「Windows セキュリティ」をクリックします。その後、「Windows Defender セキュリティセンターを開く」をクリックします。Windowsのバージョンによっては「Windowsセキュリティを開く」といった言葉になっていることもあります。
左メニューの「ウイルスと脅威の防止」をクリックし、「ウイルスと脅威の防止の設定」をクリックします。ここもWindowsのバージョンによっては画面が異なることがあるので、気を付けてください。
「リアルタイム保護」にあるスイッチボタンをクリックすると、「オン(有効)」と「オフ(無効)」を切り替えることができます。これで「オフ」にするとWindows Defenderは無効になります。
Windows DefenderはPCの再起動や、一定時間の経過により自動的に「オン」になり有効になります。
Windows Defenderと他の無料セキュリティソフトの性能の評価比較!
Windows Defenderの他にも無料のセキュリティソフトは数多くあります。中にはWindows Defenderよりも評判の良いものもあります。下記のリンクでも紹介されているため、参考にしてください。
人気セキュリティ対策ソフトの特徴
ここでは、無料のセキュリティソフトの中でも編集部が厳選したものを紹介します。どのセキュリティソフトにも長所と短所があり、得意分野も異なります。ご自身の利用傾向に合わせたセキュリティ対策ソフトを選んでください。
アバスト無料アンチウイルス
アバスト無料アンチウイルスは世界で4億人以上に利用されているセキュリティソフトです。ウイルスの検出率は高く、独自のスマートスキャン機能を備えているため評判が良く、バランスの取れたセキュリティソフトです。
無料で利用できる機能には、ウイルスやランサムウェアの検出・駆除、Wi-Fiの検疫、パスワードのセキュリティ保護機能を利用できます。また、独自のスマートスキャン機能を備えています。この機能はウイルスやソフトウェアの虚弱性など7項目を同時にチェックします。
Avira Free Antivirus
Avira Free Antivirusはウイルスの検出率が高い一方、他のセキュリティソフトよりもPCの動作を重くしがちです。また、日本語化されていない機能は英語で表示されるため、英語が堪能な方にお勧めです。
無料で利用できる機能には、ウイルスなどのあらゆるマルウェアの検出と広告のブロック機能があります。特にマルウェアの検出については、未知のマルウェアに対しても強いため、評判が良いです。
AVG アンチウイルス
AVG アンチウイルスは日本語に対応した時期が早かったため、日本におけるユーザーが多いです。ウイルスの検出率が高く、良い評判を得ていましたが、2016年にアバストに買収されたため、新規にセキュリティソフトとしてAVG アンチウイルスを導入するならアバストを導入することをお勧めします。
KINGSOFT
KINGSOFTはマルウェアの検出性能を評価する第三者組織によるテストに参加しておらず、ウイルスの検出性能やPCのパフォーマンスに与える影響等、詳細な性能は分かりません。そのため性能については懐疑的な意見があり、評判も良くはありません。
無料で使える機能として、ウイルスなどのマルウェアの検出やパスワード管理、フィッシング対策機能など多岐にわたります。また、無料版でも電話やメールで専門スタッフに問い合わせることができるため不明点があっても解決しやすいという点が特徴です。
Sophos Home
Sophos Homeは法人向けセキュリティソフトとして知名度が高く、評判の良いセキュリティソフトです。法人向けセキュリティソフトは強力なランサムウェア対策を備えており、同様の機能が無料版のSophos Homeにも搭載されています。
無料で使える機能として、マルウェアやランサムウェアの検出やペアレンタルコントロール、Webプロテクションがあります。特にランサムウェア対策として評判の高い、ファイル暗号化を検知・ブロックし、暗号化されたファイルを元に戻す機能が実装されています。
Windows Defenderと他のセキュリティソフトの評価をチェック!
Windows Defenderの性能を、第三者組織の評価結果をもとに他のセキュリティソフトと比較してきました。どのセキュリティソフトにも特徴があり、メリットとデメリットがあるため、PCのセキュリティに求めるものを考えてセキュリティソフトを選ぶようにしてください。
また、多くの個人情報や金銭に関わることが多い方は一層安全性を強化する必要があります。安全対策機能が十分に備わっている有償のセキュリティソフトの導入を検討することをお勧めします。