2019年07月22日更新
iPadOSとは?iOSとの違いとPC代わりになる新機能やインストール方法を紹介!
2019年9月登場が予定されているiPadOSは、従来のiPhoneと共用だったiOSから独立し、Macとの連携も高度になります。本記事では、iPadOSに加わる機能の数々と、ひと足早iPadOSを利用できるパブリックベータ版のインストール方法をお伝えします。
目次
iPadOSとは
2019年9月から、iPadのOSはiOSから切り離され、iPadOSとして独立します。これまでiPhoneを基準としたiOSのせいで、大画面を活かし切れていなかったiPadが、よりパソコン代わりに使える方向に生まれ変わります。
iPad向けのOS
iPadOSでは、iPhone向けのiOSとは違い、大きな画面を活かすために以下の機能が追加されます。
- ホーム画面でのウィジェット表示
- Sprit Viewでの2画面表示が同一アプリでの使用に対応
- 3本指でのジェスチャーの追加
- パソコン代わりになるファイル操作機能の追加
- Apple Pencilの反応速度の強化
- 画面をさらに広く使えるようなミニ・スクリーンキーボードの追加
- PC代わりになるパソコン版サイト表示
- PC代わりになるマウスやトラックパッドへの対応
いずれもiPadを、これまで以上にパソコン代わりになる存在へと引き上げるためのバージョンアップです。
注目はSidecar
さらに注目されるのが、iPadがMacのサブディスプレイとして使えるSidecarの機能です。このSidecarでは、単にiPadにMacの画面を写すだけでなく、iPadのタッチパネルをそのままMacのマウス代わりの入力デバイスとして利用できます。つまり、iPadをMac専用の液晶ペンタブレット代わりに利用できるようになるのです。
現時点でも、iPadをMacの液晶ペンタブレット代わりにするアプリはありますが、iPadOSと新しいmacOSをインストールすることで、OSレベルでサポートされるようになります。そのため、iPadとMacの連携がよりスムースになり、従来よりも遅延がなくなり、Apple PencilでのMacへの描画に違和感を感じずに済むようになります。
iPadとMacのユーザーにとって、大きなメリット、大きなブレークスルーとなるのは間違いありません。
iPadOSとiOSの違い
iOSがあくまでもスマートフォンサイズの画面操作を想定しているのに対し、最大12.9インチの画面に対応するiPadOSは、よりPCやMacに近付いた操作性を実現しています。つまりiPadOSは、画面に直接タッチして操作するiOSの機能と、画面の大きさを活かしてさまざまな操作ができるPCやMacの機能を両立させているのです。
このiPadOSの登場で、iPadはよりパソコン代わりの位置を占めるようになります。ただし、完全にパソコンに取って代わり、パソコンを不要にするものではありません。あくまでも多くの部分においてパソコン代わりになるだけであり、パソコンとまったく同じ機能を期待すると失望することになります。
それでは、以下にiPadOSの詳細を説明します。
対象機器
iPadOSは、その名の通りiPad用のOSです。ですから、iPhoneやiPod Touchには対応していません。もちろん、Apple WatchもApple TVも、MacもPCも対象外です。また、iPadOSをインストールできるiPadは、これまで発売された全iPadではありません。現行のiPadと、その1世代前(ただしiPad Proは全機種)の以下のiPadに限られます。
iPad Pro | すべての機種 |
iPad Air | iPad Air2、iPad Air(第3世代) |
iPad | 第5世代、第6世代 |
iPad mini | iPad mini 4、第5世代 |
ホーム画面
iPadOSを利用して、最初に目につくのがこれまで別画面に表示されていたウィジェットが、アプリアイコンと一緒に並ぶホーム画面です。従来のiOSではアプリアイコンが余裕たっぷりに配置されており、せっかくのiPadの大画面を持て余している状態だっただけに、大きな変化と言えます。iPhoneの呪縛から離れてiPadOSになったメリットが一目瞭然です。
また、Androidに比べてあまり使われていなかったiOSのウィジェットが、これによって一等地に表示されるようになりますので、今後はどんどん便利なウィジェットが登場することが期待できます。
Split Viewの機能
ふたつのアプリを同時に表示できるSprit Viewは、パソコンのマルチウインドウとまではいかなくとも、これまでも便利に使える機能でした。しかし、同じアプリの2画面表示はできませんでした。しかし、iPadOSでは同じアプリをSprit Viewで表示可能になります。
そのため、Webブラウザであるサイトを眺めながら、それを参考にほかのサイトに書き込みをする、という作業ができ、PC並みの操作性に一歩近づきました。
ジェスチャー
iPadOSでは、3本指を使ったコピペや編集取り消しの編集ジェスチャーが新たに登場します。画面の小さなiPhone用のiOSだと指3本は使いづらい操作ですが、画面の広いiPad用のiPadOSならこうした操作も利用できるというワケです。指3本のピンチインでコピー、ピンチアウトでペーストと、摘んで放す感覚でコピペが可能になります。
これ以外にも、iOSでは画面スクロールになったカーソルのある状態でのドラッグが、iPadOSではカーソル移動になったり、iOSには存在しなかった、文章の上でトリプルタップすると句点までの一文を、クワトロタップすると改行までの一段落を選択する機能がついたりと、iPadのディスプレイを使った編集作業がとても便利になります。
ファイルアプリの機能
本体内とクラウド上のデータを表示する「ファイル」アプリは、自由度が低く、PC並みの利便性を求める人たちには不評を買っていました。しかし、iPadOSではフォルダの作成やZIPファイルの圧縮・展開、それにSDカードやUSBメモリなども扱えるようになり、PC並みとまではいかないまでも、かなりの程度、そうした需要に応えられるようになりました。
Apple Pencilの反応速度
Apple Pencilの反応速度が、20msから9msへと大幅に改善されます。Apple Pencilを使って絵を描いたりメモを取ったりする場合には、その快適さがさらに向上するはずです。また、iOSではシンプルだったApple Pencil使用時の標準パレットが、上図左側のようにカラフルかつ高機能になり、しかも大きさを変えたり位置を変更したりできるようになります。
キーボード
これまで「固定」と「分割」しかなかったソフトウェアキーボードに「フローティング」というミニキーボードが加わりました。上図の右が和上下中央にあるのがそれです。もちろんローマ字入力も可能ですし、かなのフリック入力も可能です。このミニキーボードは「フローティング」の名の通り、画面のどこへでも移動させられます。
そのためキーボードで画面が隠れて見づらくなることが少なくなりますし、キーボードに隠れて文字入力できないと言う事態も避けられます。
iPadOSのPC代わりになる新機能
iPadOSは、iPadを大きくパソコンに近づけると言われています。先に記したファイルアプリの進化もその一つですが、より大きな変化がSafariのパソコン版サイトへの対応したことと、iPadOSがマウスやトラックパッドに対応したことです。このふたつによって、少なからぬ場面でiPadはPC代わりに使うことができるようになります。
Safariでパソコン版のWebサイトが表示できる
Safariでパソコン版のWebサイトが表示できるというのは、一見大した進歩には見えないでしょう。しかし、実はこれによってGoogleドキュメントやWordPressといった、Webアプリが自由に使えるようになるのです。
たとえばGoogleスプレッドシートでは、これまでiPadの画面がどんなに広くてもiOSを使っているためにスマートフォン扱いで、フィルタ機能などが使えませんでした。ところがiPadOSでは、PCとして扱われるため、PCと同じ機能を利用できるようになります。
もっともこのことは良いことばかりではありません。これまではスマートフォンの延長ということでモバイル向けの軽めの画面が表示されていたのが、これからはパソコン版のデータ量が多く重い画面が表示されることになります。iPadの性能がこれまで以上に求められますし、データ通信量も増大する可能性があります。
マウスやトラックパッドに対応
ポインティングデバイスとして見たとき、指の操作は精密性でマウスに大きく劣ります。Apple Pencilはそれを補ってくれますが、ペンとキーボードの持ち替えは、ペンとマウスの持ち替えに比べるといささか面倒です。また、1ドット単位の調整などにはApple Pencilよりもマウスの方が優秀なのも事実です。
そんなワケで、これまでマウスやトラックパッドが使えないために、PC並みの精密な処理が難しかったiPadですが、iPadOSのマウスやトラックパッドへの対応により、この辺りの操作性が一気にPCレベルにジャンプアップします。マウスとApple Pencilを併用すれば、PCをはるかに上回る利便性も期待できます。
iPadOSパブリックベータ版のインストール方法
iPadOS ベータ版使ってたけど
— とことん (@tokotonndash) July 13, 2019
一番嬉しいのはショートカットとジェスチャー操作が
さらに快適になった点だと思った! pic.twitter.com/fJ1AbY8n9W
ここまで紹介したように、iPadOSは現在のiOS12を利用したiPadに比べて、非常に便利になります。それではiPadOSが登場する9月まで、指をくわえて待っているしかないのかというと、実はいますぐiPadOSを利用する方法があるのです。それは手持ちのiPadに、iPadOSのパブリックベータ版をインストールするという方法です。
ただし、これは誰にでもお勧めできる方法ではありません。元々OSはリリース直後には不具合が発生するものです。ところがパブリックベータ版ときたら、それよりもさらに不安定なOSです。そのため、iPadの強制終了はしょっちゅうですし、まだiPadOSに対応していないアプリを動かすのですから、アプリがまともに動かないことも少なくありません。
最悪の場合には、iPadが使えなくなって文鎮化する可能性もあります。もしパブリックベータ版のiPadOSをインストールするのであれば、そうした危険性を覚悟の上で、最悪壊れてもいいと思われるiPadにiPadOSパブリックベータ版をインストールしてください。
インストールできる端末
iPadOSパブリックベータ版をインストールできるiPadは、iPadOSをインストールできる対応機種とおなじ以下のiPadです。
iPad Pro | すべての機種 |
iPad Air | iPad Air2、iPad Air(第3世代) |
iPad | 第5世代、第6世代 |
iPad mini | iPad mini 4、第5世代 |
インストールの手順
それでは、ここからiPadOSパブリックベータ版のインストール方法をお伝えします。そのためには、
- 現在のiPadをバックアップする
- Apple Beta Software Programに登録する
- プロファイルをダウンロードして、iPadOSをインストールする
という手順を踏みます。
バックアップする
さーて、バックアップ取るか…という、ささやかな啓蒙活動。
— nobzoZ@RippletotheMoon (@nobzoZ) June 26, 2019
iPad Air2を、iOS12.4からiPadOS β版に移行してみる為に、PCに完全バックアップを取っているところ。#最近いつバックアップを取りましたか pic.twitter.com/W2Zv9oxt4B
まず、iCloudかiTunesでiPadのバックアップをとります。これはiPadOSをインストールしたものの使い物にならなかったり、あとで正式版のiPadOSに切り替えたりする際に、iPadを初期化する必要が出てくるためです。そのときにバックアップデータがないと、iPadの中のデータが完全に消滅してしまいます。
iPadでのバックアップの取り方については、以下のリンク先の記事を参考にしてください。
Apple Beta Software Programに登録する
iPadのバックアップが完了したら、今度はiPadOSをダウンロードするために、Apple Beta Software ProgramにApple IDを登録します。まずはiPadのSafariで以下のリンク先にアクセスします。
そして「登録」を選択します。
Apple IDとパスワードを入力してApple Beta Software Programにサインインします。
2段階認証(2ファクタ認証)が求められたら、iPhoneなどに届いた認証コードを入力します。2段階認証を設定していない場合は、この部分を飛ばしてください。しかし、2段階認証を設定していないApple IDは乗っ取りや不正利用に使われやすいので、2段階認証でセキュリティを高めることをおすすめします。
Apple IDをはじめて利用するか、Safariを信用していないと「このブラウザを信頼しますか?」という確認画面が表示されます。iPadをほかの人が使わないのであれば「信頼する」を、別の人に使われる可能性があるなら「信頼しない」をタップします。「信頼する」を選ぶと2段階認証の確認コードが不要になりますが、その分セキュリティが弱まります。
Apple IDが承認されると、契約画面が表示されますので、内容をよく読んで「承諾」を選びます。ここで契約を承諾することで、Apple Beta Software Program参加者以外に画面を見せたり、iPadOSの話をしたり、Twitterなどに情報や画面を投稿したりしない、ということをAppleに約束します。違反した場合は訴えられる可能性があります。
パブリック・ベータ・ソフトウェアは機密情報ですか?
はい、パブリック・ベータ・ソフトウェアは Apple の機密情報です。そのため、自分が直接管理していないシステムやほかのユーザと共有しているシステムにパブリック・ベータ・ソフトウェアをインストールすることや、スクリーンショットを公開または投稿すること、パブリック・ベータ・ソフトウェアに関する情報を Twitter などのサービスで公開すること、Apple Beta Software Program の参加者以外の人にパブリック・ベータ・ソフトウェアの話をしたりその画面を見せたりすることなどは禁止されます。ただし、Apple がパブリック・ベータ・ソフトウェアに関する技術情報を公開した場合、その情報は機密扱いではなくなります。
プロファイルをダウンロードする
契約を承諾すると、ガイド画面に切り替わりますので「iPadOS」のタブをタップします。
さらに「デバイスを登録」タブを選択して、画面をスクロールします。
そして「プロファイルをダウンロード」を選びます。
すると許可を求める画面がポップアップしますので「許可」をタップします。プロファイルのダウンロードはすぐに終了しますので、確認画面が表示されたら「閉じる」を選択します。
プロファイルをインストールする
プロファイルがダウンロードできたら、iPadのホーム画面から「設定」を立ち上げます。
するとApple IDのアカウントの下に「プロファイルがダウンロードされました」という項目が増えていますので、これをタップします。
そしてポップアップウインドウの「インストール」を選択します。
パスコード入力画面がポップアップしますので、パスワードを入力します。
すると、iPadOSの利用規約が表示されますので、承諾するのであれば「インストール」を選びます。
あらためて確認画面が表示されますので、再度「インストール」をタップします。
プロファイルのインストールもすぐに終了して、再起動を求める画面が表示されますので「再起動」を選択します。
インストールする
プロファイルがインストールされたら、いよいよiPadOSをインストールします。これには数十分から1時間ほど時間がかかります。まず、iPadが再起動したら、ホーム画面から「設定」を立ち上げます。
つづいて「一般」を選択し、「ソフトウェア・アップデート」を選びます。
画面が切り替わったら、iPadOSの「ダウンロードとインストール」をタップします。
ここでもパスワードを求められますので、パスコードを入力してください。
するとiPadOS本体のダウンロードとインストールが始まります。あとはiPadOSがインストールされて、iPadが再起動するのを待ちます。
iPadOSでより価値のある使い方をしよう
本記事で紹介したように、iPadOSはあなたのiPadをPCに迫る存在に、文字通り生まれ変わらせてくれます。あと2か月ほどのリリースを期待して待つも良し、我慢し切れずにパブリックベータ版をインストールするも良しです。ただしパブリックベータ版をインストールする際には、くれぐれもバックアップを忘れないでください。