Bluetoothのコーデックとは?音質に重要なスマホのコーデックの確認方法は?
Bluetoothのコーデックとは音声圧縮形式のことで、様々なコーデックが存在します。ここでは一般的なコーデックから最新のコーデックまで詳しく解説します。またおすすめのコーデックやBluetoothのコーデックの確認方法も紹介します。
目次
- 1Bluetoothのコーデックとは?音質に関係ある要素を解説!
- ・Bluetoothとは
- ・Bluetoothのコーデックとは音声圧縮形式
- ・BluetoothのClassは電波の強さ
- ・Bluetoothのバージョン
- ・Bluetoothのプロファイル
- 2Bluetoothのコーデックの種類
- ・現在主流の圧縮方式「コーデック」
- ・最新のコーデック aptX Adaptive
- 3Bluetoothのコーデックに対応しているか確認する方法
- ・同じコーデックに対応していないと使えない
- ・Bluetoothのコーデック確認に必要事項
- ・Androidの確認方法
- 4Bluetoothのコーデックで音質が良くなる方法は?
- ・音声遅延が原因の場合がある
- ・SBC以外のコーデックがおすすめ
- 5Bluetoothのコーデック以外にイヤホンの音質に関係あるものは?
- ・イヤホンはバージョンが高いのがオススメ
- ・イヤホンには接続も簡単で耐水性あるモデルもある
- 6Bluetoothのコーデックを確認して高音質で聴こう!
Bluetoothのコーデックとは?音質に関係ある要素を解説!
近年はBluetoothを利用した機能が多くの機器に搭載され、急速に私たちの生活にBluetoothが浸透しています。そこで、まずはBluetoothやBluetoothのコーデック、Class、バージョン、プロファイルについて詳しく説明します。Bluetoothを利用する前に、基本的なことを知っておいてください。
Bluetoothとは
Bluetoothとはワイヤレスで複数の機器を接続する機能で、Wi-Fiや赤外線通信などと同じ近距離無線通信の1種です。スマートフォンをはじめ、イヤホン・ヘッドホン・スピーカー・キーボードなどにもBluetooth機能が備わっています。
BluetoothはWi-Fiに比べて通信速度や通信距離は劣りますが、Wi-Fiよりも消費電力が少ないため、長時間の使用に長けています。
Bluetoothのコーデックとは音声圧縮形式
Bluetoothは音声を転送する際に、データ量の多さによって通信が困難になることを防ぐために、音声を圧縮します。この圧縮方式のことをコーデックといいます。標準のコーデックはSBCですが、コーデックの種類は複数あります。クアルコムやソニーなどもコーデックを開発していて、SBCよりも高品質なコーデックを生み出しています。
BluetoothのClassは電波の強さ
BluetoothのClassは電波強度を指し、Classによって最大出力の上限や最大通信距離が異なります。送信機と受信機を遠くに設置したい場合は、Class1やClass2に対応している機器を購入してください。Classは3まであり、多くのスマートフォンやBluetoothイヤホンには、Class2が採用されています。
Classの種類 | 最大通信距離 | 最大出力 |
Class1 | 100m | 100mW |
Class2 | 10m | 2.5mW |
Class3 | 1m | 1mW |
Bluetoothのバージョン
Bluetoothにはバージョンがあり、バージョンによって細かい機能や消費電力・通信速度が異なります。基本的には新しいバージョンのほうが機能が優れています。また下位互換があるため、Bluetooth4.0の機器と5.0の機器も接続できます。Bluetoothのバージョンごとの機能は以下の通りです。
- ver1.1:普及しているバージョン
- ver1.2:2.4Ghzとの無線LANとの干渉対策
- ver2.0:EDR(高速通信)対応ならver1.2の約3倍のデータ転送速度
- ver2.1:ペアリングを簡略化、バッテリー寿命を最大5倍延長できるSniff Subrating機能追加
- ver3.0:従来より約8倍のデータ転送速度
- ver4.0:大幅に省電力化し、様々なプロファイルに対応
- ver4.1:4.0を高機能化し、自動再接続やLTEとBluetooth間の通信干渉を抑制
- ver4.2:セキュリティ強化と転送速度の高速化
- ver5.0:ver4.0よりデータ転送速度が2倍、通信範囲が4倍
Bluetoothのプロファイル
Bluetooth4.0から対応しているプロファイルとは、Bluetooth通信で何ができるかを定めた規格です。例えば、Bluetoothイヤホンではステレオ音声で音楽を聴ける「A2DP」、音楽の再生/停止などのコントロールができる「AVRCP」などのプロファイルがあります。
ほかにも、スマートフォンの画像をプリンタで印刷する際に使われる「BIP」、キーボードやマウスを無線で使用するための「HID」など、多種多様なプロファイルが存在します。
Bluetoothのコーデックの種類
それでは、Bluetoothのコーデックの種類を具体的に説明します。合計7種類のコーデックを紹介しますが、そのうち4種類のコーデックはクアルコムが開発したものです。クアルコムはaptXを基本形として、アップグレードしたコーデックを3種類開発しています。
現在主流の圧縮方式「コーデック」
現在よく使われているBluetoothのコーデックは6種類です。コーデックが発表されたのが古いものから、順を追って説明します。基本的には、最新のコーデックのほうが遅延が少なく高音質です。
SBC
SBCはBluetoothの標準のコーデックなので、どのBluetooth機器にも搭載されています。簡単な計算で音声を圧縮するため圧縮効率が悪く、音質も悪化しやすいので注意してください。また無音時でもホワイトノイズが多く、遅延は200~250msなので動画再生には向いていません。
AAC
AACは日本の地上波デジタル放送やBSデジタル放送で使われています。またApple製品はSBCとAACのみに対応しており、iPhoneユーザーには馴染みのあるコーデックです。iTunesストアで楽曲を購入すると、フォーマットはこのAACです。SBCより高音質です。
しかし遅延は800~1000msと、ほかのコーデックに比べてかなりあるため、動画再生やゲームは困難です。
aptX
aptXはAndroidスマートフォンやウォークマンなど、多くの機器に採用されているコーデックで、AACよりも高音質で遅延も少ない(150ms)です。音質にこだわる方はaptX系のコーデックや、のちに紹介するLDACを選んでください。iPhoneではaptXに対応していないので、aptXの機器を接続すると、自動的にSBCで接続されます。
aptX HD
aptX HDは2016年ごろから普及し始めたコーデックです。遅延はなんと32msで、これまでのBluetoothのコーデックとは雲泥の差です。量子化ビット数もSBC/AAC/aptXの16bitに比べて24bitで、CDよりも高音質で音楽を聴けます。またハイレゾ音源の再生にも対応しています。
aptX Law Latency(aptX LL)
aptX LLは動画の視聴やゲームでの利用を想定して開発されたBluetoothコーデックで、2014年ごろに発表されました。その名の通り(Law Latency=遅延が少ない)遅延を40ms未満に抑えています。aptX LLに対応したBluetooth機器は少なめですが、テレビやゲーム機をBluetooth化するトランスミッターでは多くの製品が採用しています。
LDAC
LDACは2015年にソニーが発表したBluetoothコーデックで、ハイレゾ音源の再生に対応しています。高音質を売りにしており、aptX HDと同等かそれ以上に音質がいいのが特徴です。しかし音質優先の代償として、aptX HDやaptX LLに比べてやや遅延が多めです。
LDACに対応しているBluetooth機器はほとんどソニー製品です。ウォークマンやXperiaをソニーのBluetoothイヤホンと接続すれば、ワイヤレスでも高音質で音楽を楽しめます。
最新のコーデック aptX Adaptive
クアルコムが2018年9月に発表したのが、aptX Adaptiveというコーデックです。これは今までのコーデックとは違い、データ転送時のビットレートを可変させながら伝送する技術を用いています。つまり、通信が混雑する場所では自動的に遅延を少なくし、通信が快適に行える環境であれば自動的に音質優先のビットレートに変化します。
この技術によって、Bluetoothでも有線と遜色ないリスニング体験ができます。このaptX AdaptiveはAndroidスマートフォンの最新CPUであるSnapdragon 855に標準搭載されています。Snapdragon 855が搭載されているスマートフォンは、2019年4月現在ではXperia 1/AQUOS R3/GALUXY S10/GALUXY S10+などがあります。
Bluetoothのコーデックに対応しているか確認する方法
Bluetoothのコーデックがたくさんあるのはご理解いただけたと思います。では自分が所有しているBluetooth機器がどのコーデックに対応しているか確認する方法をご紹介します。
同じコーデックに対応していないと使えない
Bluetoothのコーデックは、送信機と受信機の両方が対応していないと、接続できません。またBluetoothのコーデックは基本的に上位のコーデックから接続されます。
例えば、SBC/aptX/LDACに対応しているイヤホンをウォークマン(SBC/AAC/aptX/LDAC)に接続すると、最上位のLDACで接続されます。LDAC非対応のイヤホンであればaptX、それも非対応ならAACで接続されます。
Bluetoothのコーデック確認に必要事項
Bluetoothのコーデックはを確認するには、Android8.0以上のスマートフォンと、コーデックを確認したいBluetooth機器(イヤホンやスピーカー)が必要です。残念ながら、iPhoneではBluetoothのコーデックを確認できません。家族や友人などからAndroid端末を借りれば、Bluetoothのコーデックを確認できます。
Androidの確認方法
AndroidでBluetoothのコーデックを確認するには、まず端末を開発者モードに変更しなければなりません。「設定」から「システム」を開き、「端末情報」を選択して「ビルド番号」を何度もタップしてください。すると開発者モードになるので、「システム」の「開発者向けオプション」を選択し、画面をスクロールしてください。
「ネットワーク」の項目の中に、「Bluetoothオーディオコーデック」という欄があります。Bluetooth機器を接続してこの欄を見ると、Bluetooth機器のコーデック/サンプリングレート/サンプリングあたりのビット数が表示されます。
Bluetoothのコーデックで音質が良くなる方法は?
Bluetoothのコーデックによって音質が変化します。各コーデックの特徴を理解して、用途や目的にあったコーデックを選択してください。
音声遅延が原因の場合がある
Bluetoothの音質が悪い原因の一つは、遅延です。電車など混雑している場所でBluetooth接続を行うと、遅延がひどくなり、音質が劣化します。また遮蔽物があると遅延がひどくなるので、なるべくBluetoothで接続する機器同士の間にものを置かないでください。
遅延を減らすためには、Bluetoothのコーデック自体を、遅延が少なく安定して接続できるものにしてください。
SBC以外のコーデックがおすすめ
SBCやAACだと遅延が多いので、外出先でBluetoothをよく使う方は、aptXやLDACのコーデックに対応したBluetooth機器を利用してください。また動画やゲームなどに利用するなら、aptX HDやaptX LLといったコーデックを利用すれば、快適に音声を聴けます。
Bluetoothのコーデック以外にイヤホンの音質に関係あるものは?
Bluetoothイヤホンを選ぶ際、どうしてもコーデックに目が行きがちですが、コーデック以外の機能や特徴にも注目してみてください。同じBluetoothイヤホンであっても製品によって、用途によっては使えなかったりすぐに壊れてしまったりします。
イヤホンはバージョンが高いのがオススメ
Bluetoothイヤホンは高いバージョンを採用しているものがおすすめです。例えばBluetooth5.0だと、通信範囲がver4.0の4倍もあるため、送信機と離れていても快適に音声が聴けます。Bluetoothのバージョンの詳細は、上述した「Bluetoothのバージョン」項目をご覧ください。
イヤホンには接続も簡単で耐水性あるモデルもある
Bluetoothイヤホンのペアリングは初回のみで、2回目以降はイヤホンの電源を入れると自動的に送信機と接続されます。またNFC機能を搭載しているイヤホンなら、送信機とイヤホンをタッチするだけで接続できます。
Bluetoothイヤホンは耐水性脳を備えているモデルもあります。IPX値によって耐水性脳に差があり、IPX4だと汗や雨程度なら問題なく、IPX6ならシャワーをしながらイヤホンを使っても問題ありません。スポーツをしながらBluetoothイヤホンを利用したい方は、耐水性能も確認してください。
Bluetoothのコーデックを確認して高音質で聴こう!
Bluetoothのコーデックはたくさんあり、aptX HDやLDACといった高音質のコーデックも存在しています。遅延を減らすならaptX LLがあります。今後多くのAndroidで使える予定のaptX Adaptiveは、自動的に音質と遅延のバランスをとってくれるので便利なコーデックです。
Bluetoothのコーデックの特徴をしっかり理解して、自分の用途に合ったコーデックを使ってください。AndroidであればBluetoothのコーデックを簡単に確認できます。またBluetoothイヤホンを選ぶ際は、コーデックだけでなくBluetoothのバージョンや耐水性能などもチェックしてください。