2021年02月12日更新
iPhone12のミリ波対応は米国のみ!日本非対応なのはなぜ?
iPhone12の米国版がミリ波に対応したことが話題になっていますが、日本版では非対応なのはなぜでしょうか。この記事では、日本版のiPhone12がミリ波に対応しなかった理由と、いつから日本でもミリ波が使えるようになるのか解説します。
目次
アメリカ版iPhone12は対応!ミリ波とは?
iPhone12はiPhone史上初めての新型機種による小型化モデルの登場や、iPhone11よりも更に進化したカメラ性能などが注目を集めています。
しかし、もう少しコアな視点でiPhone12を見ている方の中には、アメリカ版がミリ波に対応している点に注目している方もいます。この記事では、米国版iPhone12が対応したミリ波とはどういったもので、日本では非対応になった理由について詳しく解説します。
ミリ波について
ミリ波とは30GHzから300GHzで波長が10mm以下の周波数のことです。現状ではほぼ一般的な用途では利用されていないことから、帯域を広く取ることができます。
ミリ波のメリットとデメリットとは
iPhone12でミリ波が注目されているのには、ミリ波に独自のメリットがあるためです。しかし、世界の多くの国でiPhone12が発売されたにもかかわらず、現状ではアメリカ版しかミリ波に対応していません。
ミリ波には現在の技術では多くの国で導入するに至らないデメリットもあるためです。ミリ波のメリットとデメリットとはどういったものなのか見ていきましょう。
通信速度が劇的に速くなりほとんど遅延しない
ミリ波を導入するメリットとは、通信速度が劇的に早くなる点にあります。ドコモの検証では、現在5Gとして整備しているSub6の下りが最大3.4Gbpsであるのに対して、ミリ波を利用すると4.1Gbpsと超高速通信が可能になります。
また、遅延がほとんど起こらないので、スタジアムでサッカーの試合を見ながら、手元のスマホでマルチアングルの画像も同時に楽しむ、ということも可能になります。
電波が遠くまで飛ばず遮蔽物に弱いのでアンテナの数が必要
しかし、周波数が高いということは光の性質に近くなり、遮蔽物があると遮られてしまいます。ミリ波で通信しているスマホに手をかざしただけで速度が劇的に遅くなるという実験結果もあります。建物の内部には絶対に飛びません。
また、電波の飛ぶ距離も短いので、現在の4Gレベルの使用感でミリ波を利用するためには、アンテナの数を細かく配置しなくてはいけません。ミリ波に対応するためにはコストが掛かりすぎるという問題があります。
iPhoneのデザイン性が低下する
アメリカ版iPhone12には、側面に謎の樹脂部分があります。これがミリ波のアンテナだと思われます。ミリ波は遮蔽物があると受信できないので、アンテナをケース内部に搭載できません。アンテナをケースの表に出さざるを得ないので、iPhoneのなめらかな一体感のデザイン性が損なわれてしまいます。
日本版iPhone12がミリ波非対応なのはなぜ?
アメリカ版iPhone12がミリ波に対応した理由は、アメリカの大手キャリアの多くがミリ波の整備を進めているためです。ミリ波の利用者を増やすためにも、アメリカでは端末のミリ波対応が求められています。しかし、日本ではミリ波は非対応です。日本がミリ波に非対応の理由を解説します。
日本ではSub6(サブ6)での5G展開が主流
現在、5Gを国内で展開しているドコモ、au、ソフトバンク、楽天が整備を進めているのはSub6(サブ6)という周波数帯です。Sub6とは3.6GHzから6GHz未満の周波数帯です。4Gが3.60GHz未満なので、周波数帯が近いSub6ではほんの少し速度が高くなる程度です。
しかし、Sub6であれば4G技術を転用可能であること、遮蔽物に強く、電波も遠くまで飛ぶことから、整備がしやすいのはSub6を使った5G技術です。そのために、日本だけではなく米国以外の世界各国が現在推し進めているのがSub6での5Gの整備です。
日本ではいつミリ波対応にアップデートするのか?
日本の5Gがいつミリ波に対応するのか、その時期は未定です。Sub6での5Gも整備が進まない現状では、まだまだ先のことでしょう。しかし、動画を一瞬でダウンロードできるという夢のような5G技術は、ミリ波を使わないと実現できません。少なくとも数年以内にミリ波の提供が日本でも始まるものだと思われます。
米国版を輸入したらミリ波が使えるのか?
米国版iPhone12を輸入したらミリ波の利用が日本でもできるようになると思っている方もいるようです。アメリカ版のiPhone12を輸入したからと言って、日本でミリ波が使えるようになるわけではありません。
その理由は、アメリカと日本でのミリ波の対応周波数帯が違うためです。アメリカではn260とn261ですが、日本でドコモ、au、ソフトバンク、楽天に提供されているミリ波の周波数帯はn257です。
日本のモバイルネットワーク通信がミリ波に対応したとしても、アメリカ版のiPhone12では周波数帯の違いから受信できないので注意しましょう。
iPhone12の日本でのミリ波対応はしばらく待とう!
この記事では、日本のiPhone12がミリ波に対応しなかった理由を解説しました。日本でのミリ波対応には、まだまだハードルが高いのが現実です。しかし、いずれは対応するはずです。まだまだミリ波での超高速通信を楽しめる日は実現しませんが、その日を楽しみにもうしばらく待ちましょう。