Macのターミナルの使い方!起動方法や主要ショートカットやコマンドを解説!
Macのターミナルは、macOSの基礎となるUNIXの部分を、コマンド入力で直接扱えるアプリです。マウス操作に比べるとわかりづらく、覚えなければならないことが数多くありますが、ターミナルを使うことでマウス操作ではできないMacの深い部分が操作可能になります。
目次
- 1Macのターミナルとは
- ・高度な設定をする際に必要なアプリケーション
- 2Macのターミナルはどうやって使う?
- ・ターミナルの起動方法
- ・Macのターミナルの見方
- 3Macのターミナルのディレクトリの構造とパスとは?
- ・ディレクトリの基本構造
- ・絶対パスと相対パス
- 4Macのターミナルの使い方は?
- ・Macのターミナルの主要なショートカット
- 5Macのターミナルの基本的コマンドとは?
- ・現在のディレクトリ情報を絶対パスで表示「pwd」
- ・指定したディレクトリへ移動する「cd」
- ・現在のディレクトリ内をリストアップする「Is」
- ・ディスク空き容量を調べる「df」
- ・ファイルやディレクトリをコピーする「cp」
- ・ファイルやディレクトリの移動をする「mv」
- ・ファイルやディレクトリの削除をする「rm」
- 6Macのターミナルを活用してみよう!
Macのターミナルとは
マウス操作によるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)が特徴的なMacですが、そのGUIの下にはキャラクター・ユーザー・インターフェース(CUI)で動くUNIXが隠れています。Macのターミナルは、このCUIでUNIXを直接操作できるため、GUIでは煩雑になる操作を1行のコマンドで処理したり、GUIではできない操作を可能にしたりします。
あなたの「こんなことができたらいいのに」「これはもっとかんたんにできないいのか」といったMacに対する思いを解決してくれるのがターミナルです。ただし、ターミナルをつかいこなすにはUNIXのコマンドやUNIXの構造をある程度は知っておく必要があります。本記事では、そんなターミナルの使い方の初歩の初歩をお伝えします。
高度な設定をする際に必要なアプリケーション
Macのターミナルを使えば、マウス操作では対応し切れない、さまざまな操作が可能になります。
プログラム実行やサーバー起動などで使用
ターミナルを利用することで、プログラムを作成して実行したり、ホームページ用のWebサーバーやファイル転送用のFTPサーバーなどを立ち上げたりできます。また、先にも触れたように、Macの根本にかかわるような設定の変更も可能です。
そこまでいかなくとも、ターミナルを利用すれば身近なところでは、デスクトップにファイルを表示させなくしたり、スクリーンショットの基本の名前や保存場所を変更したり、不可視属性になっているフォルダを表示できるようにしたり、英語や日本語をMacにしゃべらせたり、といったことが可能になります。
キーボードでコマンドで命令する
このように非常に強力かつ便利なターミナルですが、すべてをキーボードから打ち込むコマンドで処理しなければならないという問題点があります。そのため、ターミナルではコマンドを知らないと何もできません。
GUIなら適当なメニューをクリックして探したり、右クリックしてコンテキストメニューを見たりすればなんとかなる場合でも、ターミナルではお手上げになります。そのたびに、ネットにアクセスしてやりたいことを検索したり、UNIXの入門書を開いたりしなければなりません。しかも、失敗した場合はアンドゥが利かず取り返しがつきません。
シンプルで、単純なコマンドであらゆることができる分、あらゆるミスに対してフォローがないのがCUIのメリットでもあり、デメリットでもあります。
Macのターミナルはどうやって使う?
それでは実際にMacのターミナルを起動させてみます。
ターミナルの起動方法
Macのターミナルは、アプリケーション内のユーティリティフォルダにあります。フォルダを使って起動させることもできますが、簡単なのはSpotlight検索からターミナルを起動させることです。
スポットライト検索から起動する
通常「Ctrl+Space」で立ち上がるSpotlight検索を呼び出したら、そこで「ターミナル」、もしくは「terminal」と入力します。オートコンプリートが働くうえに変換作業が不要なので、「terminal」と入力した方が楽です。たいてい「ter」と3文字も入力するとオートコンプリート機能でターミナルを起動できます。
Macのターミナルの見方
ターミナルが起動すると、上図のような小さな画面が表示されます。これがターミナルの基本の画面です。ターミナルは、このグレーのカーソル部分にコマンドを打ち込んで操作します。カーソルの左側に記されるのがシステムプロンプトで、そこにはコンピュータ名や現在のディレクトリ名、アクセスしているユーザー名などが記されます。
ディレクトリはファイルの入れ物
ここでディレクトリという言葉が出てきましたが、ディレクトリとはMacでいうところのフォルダのことです。実際には同じものと考えてかまいません。UNIXやMS-DOSなどのCUIのOSでファイルをまとめて入れておくものをディレクトリと呼び、GUIになってMacやWindowsでは書類入れのフォルダという言葉を使われるようになったと思ってください。
Macのファイルが、階層式のフォルダに収まっているように、macOSのディレクトリも階層構造で構成されているのです。この構造については、次の章で説明します。
Macのターミナルのディレクトリの構造とパスとは?
さて先に触れたディレクトリですが、MacのFinderを見ればわかる通り、ディレクトリの中にディレクトリが含まれるという入れ子構造になっています。しかしこれはmacOSなどのように、不要な部分は見えないようにしているために「入れ子」と見えるのであり、UNIXではほかのディレクトリ内の表示もすべて見えた状態の「ツリー構造」と呼んでいます。
ディレクトリの基本構造
UNIXでは、このツリー状のディレクトリ構造に基づいてさまざまなファイル操作を行います。
ホームディレクトリとルートディレクトリ
まずディレクトリのうち、いまいるディレクトリのことを「カレントディレクトリ」と呼びます。また、ターミナルを立ち上げて最初に表示されるディレクトリを「ホームディレクトリ」と呼び、「~」で表します。そしてMacの一番元になるディレクトリを「ルートディレクトリ」と呼び、「/」で表します。ツリー構造の根っこなのでルートなわけです。
絶対パスと相対パス
さて、前項の例に基づいて、現在カレントディレクトリがDesktopだったとします。このとき、このディレクトリにあるtest.txtの所在は、ルートディレクトリから表すと以下のように記せます。
- /Users/MyHome/Desktop/test.txt
これを絶対パスと呼びます。郵便の住所で言えば「日本国東京都千代田区あぷりか1-1誰それさん」と書くようなものです。
これに対し、カレントディレクトリから表すことも可能です。この場合は以下のように記します。
- test.txt
- ./test.txt
これを相対パスと呼びます。こちらは、郵便でいえばあて名だけ、もしくは「町内誰それさん」と書いたのと同然です。このとき、後者の「.」はカレントディレクトリを指します。しかし、「.」だけでは、たとえば隣のディレクトリのPicturesにあるtest.jpgにアクセスしたい場合はこれだけではうまく相対パスを使えずいささか不便です。
そこで、相対パスでは「..」とピリオドをふたつ重ねることで、一つ上のディレクトリを指すようにしています。そのため、今述べたtest.jpgは「../Pictures/test.jpg」で表せます。郵便で言えば「隣町の中央区だれそさん」と記したようなものです。
Macのターミナルの使い方は?
さて、それでは起動させたターミナルを実際に利用してみましょう。といっても、ターミナルに不用意にコマンドを打ち込んで取り返しのつかないことになっても困ります。基本的なコマンドは次の章で説明しますので、ここでは「cd」というディレクトリ移動のコマンドだけを使って、ターミナルでの文字入力のショートカットの使い方を説明します。
なぜショートカットを先に説明するかというと、ターミナルはコマンド入力ですから数多くタイプしなければならないので、その手間をショートカットの利用により少しでも減らす必要があるためです。
Macのターミナルの主要なショートカット
それでは、入力の手間が省けるショートカットを紹介します。
カーソルの移動
ショートカット | 操作 |
---|---|
← or Ctrl+B | カーソルを左に移動 |
→ or Ctrl+F | カーソルを右に移動 |
Ctrl+A | カーソルを行頭に移動 |
Ctrl+E | カーソルを行末に移動 |
Opt+← | カーソルを1単語前に移動 |
Opt+→ | カーソルを1単語後に移動 |
「cd Desktop」と入力するつもりで「vd Desktop」などと入力したときにカーソルを行頭へ移動させるショートカット、Ctrl+Aが役に立ちます。
カーソルで削除
ショートカット | 操作 |
---|---|
Ctrl+U | カーソル位置から行頭までを削除 |
Ctrl+K | カーソル位置から行末までを削除 |
Ctrl+W | カーソル位置から前の単語の先頭までを削除 |
Ctrl+Y | 削除した内容をペースト |
Ctrl+T | カーソルの前後の文字を入れ替える |
意外に便利なのがショートカット、Ctrl+Tで、次の文字を先に入力してしまった「cd Destkop」などのタイプミスを簡単に修正できます。
履歴を表示
ショートカット | 操作 |
---|---|
↑ | 一つ前のコマンドを表示 |
↓ | 表示されているコマンドの次のコマンドを表示 |
Ctrl+R | コマンド履歴をそのあと入力する文字で検索 |
ショートカットの↑は何回も使えますので、2回押せばふたつ前の、3回押せば三つ前の、それぞれコマンドが表示されますので、それをそのまま使ってもいいですし、カーソルを移動させて適当な部分を修正して再利用もできます。
またショートカット、Ctrl+Rは、そのあとにたとえば「m」と入力すれば過去に使ったmで始まるコマンドが表示され、文字を入力するごとに履歴が絞り込まれます。
画面クリア
ショートカット | 操作 |
---|---|
Ctrl+L | 画面を消去する |
コマンドのclearと同じ働きをするのがショートカットのCtrl+Lです。ただしコマンドのclearもショートカットのCtrl+Lも上図左のように画面をキレイにはしますが、実はマウスやPageUpキーで画面をスクロールさせると、以前の画面がそのまま表示されます。正確には「画面を消す」のではなく、前の画面をプッシュアウトさせるショートカットです。
tabキーによる補完
コマンド名を忘れたり、入力を省きたかったりする場合には「Tab」キーを使います。たとえば上図のようにmkで始まるコマンドを使うつもりで、どんなコマンドか忘れてしまった場合には、「mk」と入力して「Tab」を2回押せばmkで始まるコマンドが一覧表示されます。
もし「mktemp」を入力したかった場合は「mkt」まで入力した段階で「Tab」を1回押すと候補がひとつしかないので、自動で残りの「emp」が補完入力されます。そのため、コマンドは適当なところでまずは1度「Tab」を押すとキー入力が少なくて済みますし、そこで補完されない場合は「Tab」をもう一度押せば入力するコマンドを確認できます。
同様にディレクトリ名も、「Tab」キーで補完したり候補を表示したりできます。上図では「cd」とコマンドを入力したあとにディレクトリ名を確認するために、「~/」とホームディレクトリの下のサブディレクトリを表示させています。そしてディレクトリ名を確認した上で「Desktop」と入力し、そのディレクトリに移動しています。
Macのターミナルの基本的コマンドとは?
それではいよいよ、Macのターミナルで使える基本的なコマンドの使い方を紹介します。ここからは、Macのターミナルを起動して、一緒にコマンドを入力してみてください。また同時に、前の章でお教えしたショートカットもいろいろと試してください。
現在のディレクトリ情報を絶対パスで表示「pwd」
最初にお教えするのが「pwd」です。「Print Working Directory」の略でカレントディレクトリの絶対パスを表示します。次に紹介するcdを使ってディレクトリを移動していると、カレントディレクトリがどこなのかわからなくなることがありますので、現在地点を確かめるという使い方をします。
特に「temp」などと適当な名前のディレクトリを作ると、あちこちに同じ名前のディレクトリが存在して、「Documents/temp」なのか「Desktop/temp」なのか「Temp/temp」なのか、わからなくなります。そんなときにpwdを使うと助かります。
指定したディレクトリへ移動する「cd」
指定したディレクトリに移動するのが「cd」です。「Change Directory」の略で、相対パスを使う使い方でも、絶対パスを使う使い方でも利用可能です。
現在のディレクトリ内をリストアップする「Is」
ディレクトリ内のファイルやディレクトリ名を表示するのが、「list」を略したコマンドの「ls」です。「ls」のあとに相対パスでも絶対パスでも追加することで、目的のディレクトリ内のリストを表示させるという使い方もできます。
ディスク空き容量を調べる「df」
ディスクの空き容量を調べてくれるのが、「df」で「Disk Free」の略です。上図の3行目に512byteのブロックを287,530,776個使用していて、使用率が60%だと表示されています。これに「-h」のオプションを付けると、234GBのディスク中、137GBを利用していて、60%使用中、と見やすくなります(数字のあとのGiはGB,KiはKB、Biはbitです)。
ファイルやディレクトリをコピーする「cp」
ファイルやディレクトリのコピーには、「Copy」の略である「cp」コマンドを使います。「cp」のあとにスペースを空けて、コピーしたいファイルやディレクトリを入力し、さらにスペースを空けてコピー先のディレクトリやリネームしたファイル名を記します。全部を手で入力するのは面倒なので、「Tab」を利用するのがうまい使い方です。
なおディレクトリのコピーには、「-r」のオプションが必要です。
ファイルやディレクトリの移動をする「mv」
「mv」は「Move」の略で、ファイルやディレクトリを移動するコマンドです。使い方は「cp」と同様、コピーしたいファイルやディレクトリを入力し、さらにコピー先のディレクトリやリネームしたファイル名を記します。全部を手で入力するのは面倒なので、「Tab」を利用するのがうまい使い方なのも、ディレクトリの場合は「-r」が必要なのも同じです。
ファイルやディレクトリの削除をする「rm」
「rm」はファイルやディレクトリを削除するコマンドで、「Remove」の略です。使い方は「ls」のあとにスペースを空けて、削除したいファイルやディレクトリを入力します。「cp」や「mv」同様、ディレクトリの場合は「-r」が必要です。
なお、ターミナルでの削除は、Finderでの削除と違ってゴミ箱には送られずに即座に完全消去されます。いくつものファイルをまとめて削除するワイルドカードを使って、必要なファイルやディレクトリを削除して、システムが異常になったり、最悪の場合Macが動かなくなったりしますので、rmコマンドを使う際には注意してください
Macのターミナルを活用してみよう!
以上、Macのターミナルについて初歩の初歩をお伝えしました。もしあなたがMacでターミナルを使わないと利用できない作業をちょっとだけしたいけれども、ターミナルは初めてなので不安だ、というのであれば本記事は十分役に立ったはずです。しかし、本格的にUNIX・Linuxについて知りたいのであれば、本記事では物足りなかったでしょう。
どちらの場合も、まずはターミナルを起動して、簡単なコマンドを入力するところから始めてください。そうすることで、Macでできることがぐんと広がります。本記事が、そんなあなたのターミナルの入門の手助けになれば幸いです。