iPhoneXの有機EL(OLED)とiPhone8の液晶の違いを比較!メリットデメリットは?

iPhoneXで初めてスマートフォンに採用された有機ELと、これまでのiPhoneに使われていた液晶ディスプレイと比較し、その仕組みの説明と、液晶と有機ELのメリットデメリットを解説する。また今後のアップル社における有機ELの採用について考察する。

iPhoneXの有機EL(OLED)とiPhone8の液晶の違いを比較!メリットデメリットは?のイメージ

目次

  1. 1iPhoneXの有機ELとiPhone8の液晶の違いってなに?
  2. iPhoneXの有機EL(OLED)とiPhone8の液晶を比較
  3. 2iPhoneXの有機EL(OLED)はここがスゴい!
  4. 有機EL(OLED)のメリットとデメリット
  5. 3新型iPhoneは有機EL(OLED)に一本化へ
  6. 有機EL(OLED)の大量生産で低コスト化を図る
  7. 4iPhoneを買うなら有機EL(OLED)がおすすめ

iPhoneXの有機ELとiPhone8の液晶の違いってなに?

2017年に発売されたiPhoneXとiPhone8(Plus)。歴代のiPhoneの大きな特徴であったホームボタンが消えたiPhoneXの話題性が大きく取り上げられましたが、その裏でもう一つの大きな変革がありました。それが、有機ELの採用です。

iPhoneXには有機EL(OLED)が採用されており、一方のiPhone8はバックライト付きの液晶ディスプレイとなっています。見た目はどちらも同じに見えますが、その性能の違いを紹介します。

iPhoneXの有機EL(OLED)とiPhone8の液晶を比較

まずは、簡単に表にして比較してみます。

iPhone8の外観

スペック iPhoneX iPhone8
名称 Super Retina HDディスプレイ Retina HDディスプレイ
仕様 5.8インチ(対角)
オールスクリーンOLED 
PSテクノロジー搭載4.7インチ(対角)
ワイドスクリーンLCD
解像度 2,436 x 1,125ピクセル 1,334 x 750ピクセル
ppi 458ppi 326ppi
コントラスト比 1,000,000:1 1,400:1
最大輝度 625cd/m2 625cd/m2

補足

「電流を流すと発光する現象」を「エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)」と呼び、略語が「EL」となるため、有機物質発光物質に使った物を「有機EL」と呼びます。一方、「OLED」とは、有機物質(Organic)を発光材料に使った発光ダイオード(Light Emitting Diode)という意味の略語です。正確には有機ELの素子として、OLEDと位置付けされますが、日本では素子も含めて「有機EL」と呼ぶことが多いようです。

iPhoneXの有機EL(OLED)はここがスゴい!

有機EL(OLED)のメリットとデメリット

iPhone8の液晶ディスプレイとiPhoneXの有機ELの比較から、そのメリットを調べてみました。そもそも、液晶ディスプレイと有機ELの違いは、有機ELが「OLED」とLED(発光ダイオード)の名前が入るように、画面自体が光っています。それに対し、iPhone8の液晶ディスプレイは液晶自体が光るわけではなく、液晶で表示したものに裏側から光を当てて目に見えるようにしています。

OLEDのイメージ
OLEDのイメージ

メリット

液晶というのは簡単にいうと色付きのフィルターみたいなものです。裏側から光を当てないと、それが何色か解らないのです。少し古い液晶表示の電卓は、明かりを当てないと数字が読み取れないという経験をしたことがある事でしょう。

一方、LEDはそれ自体が発光しますから、ライトは必要ありません。つまり、液晶はバックライトが必要なのに対し、LEDはそれが必要無いのです。これにより、有機ELは構造を簡単にすることが可能となりました。

また、黒を表現する場合、液晶はその部分のライトだけを消すことができないので、裏から光の当たる黒色になるのに対し、LEDは点灯させなければ良いので、真っ黒を表現できるのです。

コントラスト比にその結果が現れています。コントラスト比は、明暗部の差を表す数値で、黒の明るさを1とした場合、白の明るさがいくつになるか、を比べるものです。iPhoneの場合、有機ELが100万倍に対し、液晶は1400倍しか無いことがわかります。実に700倍以上もコントラスト比に違いがあります。

さらに、液晶ディスプレイの仕組みとして、液晶分子の方向を調整してバックライトの透過率を変えていることから、動きが速すぎると表示が遅れることがあります。それに対し、有機ELディスプレーは明るさを変化させるだけなので、遅滞なくすばやく表示することができるのです。

  • バックライトが必要無いため、ディスプレイの厚みを薄くすることができます。
  • バックライトがありませんから、消費電力も抑えることができます。
  • 裏から光を当てていないので、明暗がくっきりと表現できます。
  • 画面表示が早いので、動きのある映像の表示が得意です。

デメリット

iPhone8の液晶のイメージ
iPhone8の液晶のイメージ

一方、まだ開発されて日の浅い有機ELは、まだまだ発展途上のため、液晶に比較して製造コストが高かったり、寿命がまだ短いなどの欠点もあります。ただ、これらの欠点については、いずれ解消されていくことでしょう。

  • 価格が高くなります。
  • 寿命が短いです。概ね、液晶の半分の寿命とされています。
  • 焼きつきを起こしやすい。LEDが部分的に発光するので、液晶に比べて特定の部位が焼きつきを起しやすくなります。その点、液晶は裏から光を当てているだけなので、焼きつきを起しにくくなります。

新型iPhoneは有機EL(OLED)に一本化へ

iPhoneの販売店

2017年発売のiPhoneでは、X、8、8 Plusの3機種のうち、8と8 Plusの2機種が液晶ディスプレイでした。2018年に発売されたiPhoneは、XS、XS Max、XRの3種類でしたが、液晶を採用したのは廉価版のXRのみでした。これは、有機ELが高いという事と、供給量がまだ十分でなかったというのが理由でしたが、少しずつ有機ELにシフトしていることの表れでしょう。

有機EL(OLED)の大量生産で低コスト化を図る

有機ELの利点は、表示も綺麗で、速度も速く、さらには局面のディスプレイを作ることも可能となりますから、新たな形態のスマホが発表される可能性もあります。そのため、今後ますます需要は高まるでしょう。

その普及の障害となるのが、価格となります。単純な比較ですが、有機ELと液晶のテレビを比較すると、倍以上の価格差があることにも現れています。

しかし、それらの欠点は大量生産が進めば解消される問題なので、今後加速度的に有機ELの需要は高まってくることでしょう。そうすれば、寿命の問題も解決に向かうことでしょう。

iPhoneを買うなら有機EL(OLED)がおすすめ

iPhoneの有機EL

これまで説明した通り、有機ELは次世代のディスプレイとして、着々と普及し始めています。iPhoneにおいても、より綺麗な表示を行い、より速い映像の再生を行うには、有機ELの使用は避けられないでしょう。

さらに、画面の表示領域を広げる一つの手段である、スマホの側面を利用するとなると、局面ディスプレイの実現も一つの方法となり得ます。これも、有機ELの使用によって実現する技術ですから、ますます有機ELの必要性は高まるでしょう。

今後、液晶ディスプレイと有機ELの比重は有機ELに移っていくものと思われます。新型iPhoneを購入する際は、高性能になったiPhoneの特性を十分に発揮できる次世代ディスプレイである有機ELを搭載した機種をお勧めいたします。

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この記事のライター
藤江正鎮
疲れた働きネズミです