iPad版クリスタで漫画を描く!CLIP STUDIO PAINTのメリットデメリットを解説!
iPad版クリスタで漫画を描きましょう。今回はiPad版クリスタで漫画を描く上での、メリット・デメリットについて解説します。漫画を描くには最適なアプリであるクリスタですが、iPad版を使う前にメリット・デメリットについてよく理解しておきましょう。
目次
iPad版クリスタが登場!
「クリスタ」というイラスト・漫画作成アプリを知っていますか?世界的にその機能・操作性が認められている、大好評のイラストレイティングアプリです。この「クリスタ」は愛称で、原名を「CLIP STUDIO PAINT」といいます。この「CLIP STUDIO PAINT」のiPad版が2017年よりリリースされ、好評を得ています。
今回はこのiPad版クリスタについて、料金体系・機能・メリット・デメリットなどについて解説します。
漫画を描くアプリ「CLIP STUDIO PAINT」とは
「CLIP STUDIO PAINT」とは、プロ仕様の描画機能を持つ「イラスト・漫画制作」アプリです。また、「CLIP STUDIO PAINT」はプロレベルのアニメ作成も行えます。「CLIP STUDIO PAINT」はワールドワイドなユーザー層を持ち、日本国内では「クリスタ」の愛称で親しまれています。
「クリスタ」は、日本語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、中国語(繁体字)、英語、韓国語に対応しており、PC版はWindows版・macOS版、ともに用意されています。
世界中の400万人のクリエイターが活用している「クリスタ」ですが、2017年11月に「CLIP STUDIO PAINT for iPad」という名称でiPad版クリスタがリリースされました。
対応スペック
iPad版クリスタの対応スペックは「iOS 11.0以降」となっており、iPadのみ対応(iPhoneは対応外)となっています。
ただ、「iPad対応」となっていますがiPadとiPad Proでは、利用できる機能に違いがあります。以下にその対応表をまとめました。
主な機能・用途 | 必要最低限デバイス環境 |
---|---|
高解像度のイラスト・漫画などの作成 | iPad Pro 12.9inch、11inch、10.5inch |
標準サイズのイラスト・web用漫画などの作成 | iPad Pro 9.7inch、iPad(5 or 6th)、iPad Air 2 |
web用イラストなどの作成 | iOS 11が動作するiPad |
また、対応描画ペンとしては、「Apple Pencil」「Wacom Bamboo Sketch(iPad用)」「Wacom Bamboo Fineline 3(iPad用)」が挙げられます。
「クリスタ」の特長
「クリスタ」を利用すると、クラウドストレージサービスを使って作品ファイルの管理ができるので、データをクラウドに保存することによってPCとiPadの両方で編集作業ができます。
また、イラスト・漫画を作成する際の秘訣・裏技(TIPS)共有したり、描画に利用できるブラシ・トーン・イラスト下描き用3Dモデルなどを無料ダウンロードできたりします。
デジタル描画初心者でも、デジタルツールを使ったイラストレイティングを学べる「使い方講座」を参考にして「クリスタ」を活用できます。
「クリスタ」のプロが認める機能
「クリスタ」のプロが認める機能・メリットについてまとめました。まず、描画に利用できるペン・ブラシが豊富なラインナップでそろっています。その数は数千点です。また描画できる作風も自在にカスタマイズでき、水彩風・油彩風・セルアニメ風など自由に表現できる機能が用意されています。
ペンタッチに関しては、Apple Pencilなどの専用描画ペンを使うことで、筆圧に合わせてイラストレイティングのタッチを自動調整してくれ、描線のブレが生じた場合は補正してくれる機能が装備されています。
細かい機能としては、描線の始めと終わりを微調整する「入り抜き」機能、隙間の塗り残しを防ぐ「隙間閉じ」機能、複数の小さな塗り残しを一括で全塗りする「塗残し埋め」機能などが利用できます。
カラーリングに関しては、過去に使用した色調整をすぐに確認できる「カラーヒストリー」機能、色調整に便利な「色調補正レイヤー」機能などがあります。
その他の機能としては、複数操作を一度に行える「オートアクション」機能、印刷用「CMYK形式」の変換、フォトショップファイルの変換、PDF出力などの機能がそろっています。
「クリスタ」のイラスト好きにとって便利な機能
イラスト好きにとっても「クリスタ」は魅力的なアプリです。クリスタにはデッサンが苦手な人でもイラスト作成にトライできるように定規機能やデッサン人形機能が用意されています。また、イラスト・漫画に活用できる多数の描画素材が用意されているので、それらの素材を利用することで作品のレベルを上げられます。
他には、「クリスタ」にはイラスト好きが集うSNSに簡単に投稿できる機能も装備されています。
iPad版クリスタの料金プラン
iPad版クリスタの料金プランは2つ用意されています。上位グレードの「CLIP STUDIO PAINT EX」と一般グレードの「CLIP STUDIO PAINT PRO」です。おおまかな目安として上位グレードの「CLIP STUDIO PAINT EX」はプロ仕様、一般グレードの「CLIP STUDIO PAINT PRO」は趣味仕様となります。
当然料金体系は上位グレードの「CLIP STUDIO PAINT EX」の方が割高になりますが、「CLIP STUDIO PAINT EX」の方は「6ヶ月無料サービス」の特典が適用されます。
CLIP STUDIO PAINT EX
プロ仕様の上位グレード版「CLIP STUDIO PAINT EX」の料金体系は、基本料金が月額980円になります。また年間コースが用意されており、年間契約料金は7800円で、1ヶ月あたりの料金を計算すると650円になります。年間契約では料金が33%の割引になります。
「CLIP STUDIO PAINT EX」は「6ヶ月無料サービス」の特典が付与される点が大きなメリットです。
「CLIP STUDIO PAINT EX」では、イラスト作成が基本的な目的として設定されている「CLIP STUDIO PAINT PRO」の機能に加え、複数ページの管理・出力を行える機能やプロ仕様のアニメーション作成機能などが追加されています。
CLIP STUDIO PAINT PRO
趣味仕様の一般グレード版「CLIP STUDIO PAINT PRO」の料金体系は、基本料金が月額480円になります。また、「CLIP STUDIO PAINT PRO」でも年間コースが用意されており、年間契約料金は2800円で、1ヶ月あたりの料金を計算すると240円になります。年間契約では料金が51%の割引になります。
「CLIP STUDIO PAINT PRO」には「6ヶ月無料サービス」の特典は付与されませんが、「CLIP STUDIO PAINT PRO」の継続利用を考えている場合は、契約申し込みを「CLIP STUDIO PAINT EX」で行い、無料サービス期間内の6ヶ月の間に「CLIP STUDIO PAINT PRO」に切り替えるというお得なやり方があります。
iPad版クリスタのメリット
次に、iPad版クリスタのメリットについて解説します。タブレットというデバイス形態を活用できるiPad版クリスタならではのメリットがあります。iPad版クリスタのメリットを理解して、イラスト・漫画作成に活用しましょう。
クリップスタジオの機能が全てついている
iPad版クリスタのポジティブな感想で最も多いと思われるのが、「クリップスタジオの機能が全てついている」という点です。PC版としてメジャーなアプリがスマホ・タブレット版アプリをリリースする場合は、大抵機能に制限があることが多い印象ですが、iPad版クリスタではほぼPC版の機能が全部使える仕様になっています。
他の液タブより描き心地が良い
iPad版クリスタの2つ目のポジティブな感想は、「他の液タブ(液晶タブレット)より描き心地が良い」と評判です。
ショートカットに対応している
iPad版クリスタでは、iPadならではの「ショートカット」操作に対応しています。2本指タップで「1つ戻る」、3本指タップで「1つ進む」、1本指長押しで「色を素得する(スポイトツール)」といったタッチジェスチャーで操作できます。
また、iPad版クリスタでは「ショートカット」操作の設定も可能です。「拡張パッド」を使用して自分仕様のショートカットを設定できます。
iPad版クリスタのデメリット
次に、iPad版クリスタのデメリットについて解説します。PC版のクリスタの全機能を利用できる点は特筆するべき点ですが、デバイスとしてiPadを使用する上で、悩ましいデメリットがあります。iPad版クリスタの導入を考える前にiPad版クリスタのデメリットについてもよく理解しておきましょう。
プロ用途としては向いていない
iPad版クリスタのデメリットとしては、iPad版クリスタの機能は申し分ないのですが、使用するデバイスがiPadであるためiPadのスペックがプロ用途としては向いていないという意見があります。
PCでクリスタを利用する場合と比べると、環境的に互換性の面で不自由さを感じることがしばしばあり、仕事効率を考えると、プロとしての漫画作品や同人誌を作成することを目的としているユーザーはPCでクリスタを利用する方が無難かもしれません。
iPad Proしか対応していない
また、もう1つのデメリットとして、iPad版クリスタのアプリは、標準解像度のイラストであれば通常のiPadで作成できますが、高解像度のイラスト・漫画を作成するときはiPad Proしか対応していないという点も悩ましい点です。iPadを所持しているユーザーでも、iPad版クリスタのプロ仕様の機能を利用するにはiPad Proを新調しなくてはいけません。
iPad版クリスタの機能は申し分なくても、デバイスの用意まで使用コストに含まれると負担が大きくなり、iPad版クリスタ導入のハードルが高くなります。
重い作業には耐えられない
他のiPad版クリスタのデメリットとしては、感じ方に個人差がありますが、iPad版クリスタの稼働が全体的に重い印象であることです。他のプロ仕様の描画アプリと比べると動作速度に不満を感じる局面があります。機能が充実している反面、動作に負担が現れているのかもしれません。
iPad版クリスタの基本操作
次に、iPad版クリスタの基本操作について解説します。
描く操作
まず、描く操作に関しては「ペン」と「指」で異なる操作を設定することが可能です。「指」だけで描く場合は特に設定する必要はありません。「コマンドバー」→「指とペンで異なるツールを使用」を選択してオン設定にします。
ペン
「指とペンで異なるツールを使用」をオンに設定すると、iPad専用描画ペン(Apple PencilやBamboo Sketchなど)を使って描画できます。
指
「コマンドバー」→「指で使用するツールを設定」を選択すると、設定画面が表示され、指操作の機能を編集できます。
タッチジェスチャーの設定
iPad版クリスタでは、タブレットであるiPadならではの「タッチジェスチャー」操作が可能です。「タッチジェスチャー」操作の編集は「コマンドバー」→「タッチジェスチャー設定」→「環境設定」→「タッチジェスチャー」で行います。
基本的なタッチジェスチャーの操作
タッチジェスチャーの基本的な操作ですが、まず、描画した線の取り消しや間違えた操作の取り消しは「2本指タップ」で行います。また、取り消した操作を再度やり直す場合は「3本指タップ」で行います。
キャンバス画面表示の拡大・縮小は「2本指ピンチ」で行います。「手のひらツール」と同様にキャンパス画面を移動する場合は「2本指スワイプ」で行います。
作品の管理
次に、作品の管理操作について解説します。
保存する
作品を保存する場合は、「コマンドバー」の「保存アイコン」をタップします。「ファイル」→「保存」をタップしても作品を保存できます。ファイル名を指定して保存する場合は「ファイル」→「別名で保存」で保存します。
確認する
保存した作品を確認する場合は、「コマンドバー」の「開く」をタップします。「ファイル」→「開く」をタップしても作品を確認できます。
共有する
「ファイル」→「ファイル操作・共有」をタップし、「ファイル操作・共有」の画面を開くと保存した作品の名前変更・ファイル複製・ファイル削除を行えます。
また、「ファイル操作・共有」の画面の右にある「共有」ボタンを使うと、SNSに作品投稿ができます。
他のデバイスとの共有方法
次に、iPad版クリスタで他のデバイスと作品共有する方法を解説します。iPad版クリスタでは、iPadに装備されている「ファイル」アプリを使って他のデバイスと作品を共有できます。またiTunesを使った作品共有、その他オンラインストレージサービスを使った作品共有も可能です。各種機能・サービスを使って、iPadとPCでクリスタ作品を共有できます。
ファイルアプリ
iPadの「ファイル」アプリを利用すれば、iPad版クリスタに保存されている作品ファイルを、「ファイル」アプリ経由で各種ストレージサービス(iCloud Drive・Dropbox・OneDriveなど)へ移動・共有できます。
また逆に、各種ストレージサービス(iCloud Drive・Dropbox・OneDrive)に保存されている作品ファイルを、「ファイル」アプリ経由でiPad版クリスタへ移動・共有もできます。
ファイルの移動・共有方法はiPadの2画面表示機能を使って簡単に行えます。iPad版クリスタの横に2画面表示で「ファイル」アプリを立ち上げ、ファイルを移動したい方へドラッグ&ドロップするだけです。
iTunes
iTunesを使うとiPadとPC間で複数ページ作品をフォルダ単位で簡単に共有できます。共有の手順は、まず、PC内でiTunesを立ち上げ、iPadとPCをケーブルでつなぎます。
PCを信頼できるデバイスとして認証すると(認証確認のポップアップが表示されるので「信頼」をタップする)、iTunesでもiPadでも認識されるので、iTunes画面左側メニューより「ファイル共有」を選択し、メイン画面で「Clip Studio」を選択します。
PC内の作品フォルダをiPad版クリスタに共有する場合は、「Clip Studio」の隣に「Clip Studioの書類」と表示されたファイル表示欄があるので、共有する(移動・コピーする)作品フォルダをドラッグ&ドロップすれば作品データを共有できます。
iPad版クリスタの作品フォルダをPC内に共有する場合は、「Clip Studioの書類」と表示されたファイル表示欄の中から共有するフォルダを選択し、画面右下にある「保存」をクリックしてPC内のデータ保存先を選択します。
CLIP STUDIO PAINTのクラウドサービス
CLIP STUDIO PAINTのクラウドサービスを使うと、CLIP STUDIO PAINTのクラウドサービスを通じて、iPad版クリスタに保存されている作品ファイルをPCや他のデバイスへ、また逆に、PCや他のデバイスに保存されている作品ファイルをiPad版クリスタへ移動・共有できます。
CLIP STUDIOのクラウドサービスを利用する場合は、まず初めに、「CLIP STUDIO PAINT」→「CLIP STUDIOを開く」を選択し、「CLIP STUDIO」の画面を立ち上げてログインします。
ログインしたら、画面左側メニューの「作品管理」を選択して作品管理画面に切り替えます。
次に、まず、iPad版クリスタに保存されている作品ファイルをCLIP STUDIO PAINTのクラウドサービスにアップロードするには、「この端末」タブをタップし、アップロードする作品ファイルのトグルをオンに切り替えます。
トグルをオンに切り替えると、CLIP STUDIO PAINTのクラウドサービスにアップロードされます。「クラウド」タブをタップすると、アップロードされた作品ファイルを確認できます。PCや他のデバイスにはこのクラウドサービスに保存された作品ファイルをダウンロードできます。
また、PCや他のデバイスからCLIP STUDIO PAINTのクラウドサービスに作品ファイルをアップロードしておけば、クラウドサービスに保存された作品ファイルをiPad版クリスタにダウンロードして編集できます。
クラウドサービスに保存された作品ファイルをiPad版クリスタにダウンロードするには、まず、「クラウド」タブをタップし、ダウンロードする作品ファイルの「クラウドアイコン」をタップします。
「クラウドアイコン」をタップすると、iPad版クリスタに作品ファイルがダウンロードされます。「この端末」タブをタップすると、iPad版クリスタにダウンロードされた作品ファイルを確認できます。
CLIP STUDIO PAINTのクラウドサービスの容量は最大10GBです。クラウド上で1年間放置されたファイルは削除されます。「CLIP STUDIO PAINT EX for iPad」を利用している場合は、容量の上限が100GBまで増量されます。
他のクラウドサービス
他のクラウドストレージサービス(iCloud Drive・Dropbox・OneDriveなど)もiPad版クリスタとPC間のデータ共有に活用できますが、前述した「ファイル」アプリを利用するやり方がおすすめです。
iPad版クリスタで漫画を描こう!
iPad版クリスタで漫画を描きましょう。iPad版クリスタを使えば、iPadならではの2画面操作でクラウドストレージとの連携も簡単に行え、PCとのイラスト・漫画ファイルのデータ共有もスムーズです。また専用描画ペンを利用すれば、筆圧の微妙なニュアンスを再現でき、線のブレや塗り残しも補正機能を利用すれば簡単に修正できます。
iPad版クリスタにはメリットだけでなく動作が重くなりやすいなどのデメリットもありますが、メリット・デメリットの内容を良く理解して、導入前にはメリット・デメリットの内容を総合的に評価して自分のニーズに合っているか冷静に判断しましょう。
デメリットと思われる点も、ユーザーによっては問題にならないこともあります。デメリットに思われる点が自分にとって支障がなく、iPad版クリスタのメリットが自分にとって必要であると判断したら導入してみましょう。iPad版クリスタで快適なイラストレイティング・漫画作成を楽しみましょう。