テキストなどをアプリでコピペする際に使われるクリップボードには、1回分のコピーしか残りません。しかしクリップボードアプリを使えば、このクリップボードの中身を履歴に残し、数回前のコピーもコピペできます。本記事は、このクリップボードアプリの使い方などを説明します。
スマホやPCで頻繁に使うコピペですが、実はこのコピペという手段は、まず指定した範囲を「クリップボード」という領域に貼り込み、そのクリップボードの内容をほかのアプリやほかの場所にペーストするという手順を踏んでいます。そのため、一度コピーをすると、同じ内容を連続してペーストすることができます。
しかし、このクリップボードの領域には一つ分のコピー(あるいはカット)領域しかありません。そのため、Aというアプリから2〜3か所まとめてコピーして、Bというアプリにペーストしようとしても、一度ずつコピペを繰り返さなければなりません。ところがクリップボードアプリを利用すると、アプリを行ったり来たりする手間が一気に省けるのです。
クリップボードアプリを使うと、複数のテキストや場合によっては画像などをクリップボードアプリに溜め込むことができます。そのため、先に記したようにAのアプリから3か所コピーしてBのアプリに貼り込む場合、まずAのアプリで3か所コピーしてしまってからBのアプリに切り替え、クリップボードアプリから3つのコピーをまとめて貼り込めば済みます。
クリップボードアプリを使うと、スマホ上でのアプリ切り替えの手間が省け、作業効率がアップするのでおすすめです。
それではAndroidスマホ用のクリップボードアプリ、aNdClipを例にとって、クリップボードアプリの実際の使い方を見ていきます。今、Webサイトから3か所を引用したいとします。必要なテキストを順にコピーしたところで、aNdClipに切り替えます。
今度はaNdClipでペーストしたいテキストをタップすると、それがクリップボードにコピーされますので、ペースト先のアプリに順に貼り込むだけです。一見二度手間に見えますが、コピー→ペースと→コピー→ペースと→コピー→ペーストと繰り返すよりも、コピー×3→ペースト×3の方がはるかに楽に作業をこなせます。
また、クリップボードアプリを呼びだす際にアプリ切り替えを使うのではなく、スマホの通知バーやウィジェットを使って呼びだせるものもあります。アプリ切り替えだと、どの位置にクリップボードアプリがあるかわからず、アプリを探すのに手間取ることがあります。しかし通知バーやウィジェットで呼びだせるとそうした手間がかからず非常に便利です。
aNdClipの場合も、下図のようにスマホの通知バーから呼びだすことが可能です。
さて、ここまでクリップボードアプリがクリップボードの履歴を保存するアプリであることをお伝えしましたが、それではそもそもクリップボードとはスマホ上のどこにあるのかが気になります。とはいえ、クリップボードはホーム画面のどこにもなければ、設定画面のどこにもありません。強いて言えばスマホのメモリ上のどこかに存在すると考えてください。
つまり、コピペというのは、指定した範囲の内容をメモリ上のどこかにある場所に一時退避させ、その中身をどこかのメモリ上からほかのアプリなどに写す行為だと言えます。
そんな通常ならどこにあって、どんな内容がしまわれているかわからないクリップボードですが、クリップボードアプリを使うことでクリップボードの内容をはっきりと見ることができます。クリップボードアプリは、単にクリップボードの履歴アプリと言うだけでなく、どこにあるのかもわからないクリップボードの内容を明示してくれるアプリとも言えます。
クリップボードとクリップボードアプリについて軽く説明したところで、ここからはおすすめの無料クリップボードアプリを紹介していきます。まずはiPhoneでもAndroidスマホでもタブレットでも、それどころかPCやMacでも共通して使えるクリップボードアプリからです。
Pushbulletは、共通のGoogleアカウントかFacebookアカウントでログインすると、iPhone・Android・PC・Macの各端末で、クリップボードの内容のみならず、スマホに着信した電話やメールの通知やファイルまで共有できる高機能の無料クリップボードアプリです。
他機種を横断してコピペできるUniversal Copy & Pasteに対応しているので、Androidスマホでコピーしただけで、PCなどでその文字列やURLをペーストすることができます。ただし、Android版とiOS版では完成度が異なり、iOS版では日本語化できない上にUniversal Copyがうまく動作せず、別途共有機能で転送しなければならない時もあります。
これはiOSでは、クリップボードに保存されたデータをバックグラウンドでほかのアプリにコピーすることを禁止しているためなので、どこかほかの端末にUniversal Copyしたい場合には、明示的にPushbulletにコピーしなければならないという、システム上の縛りによるもので、アプリ側ではどうにも避けられない障壁です。
またiOS版は2016年9月を最後にアップデートされていないため、ノッチ付きの画面に未対応なのも不便です。とはいえ、いろいろな端末をまたいでクリップボードのやり取りができるUniversal Copy & Pasteは非常に便利なので、無料アプリということもあり一度は試してみて欲しいおすすめのクリップボードアプリです。
1 / 3
続きを読む