Google Apps Scriptは、Googleのサービスを連携して操作するWeb上のプログラミング環境です。Google Apps Scriptを使えば、Googleドキュメントに届いた英文資料をGoogle翻訳で日本語にして受け取ることもできるのです。
Google Apps Scriptは、GASとも略されるGoogleがWeb上で提供するプログラム開発環境です。Googleのサービスらしく無料で利用できるGoogle Apps Scriptでできることと言えば、Googleが提供する各種サービスとも連携して、単純な命令で複数のサービスにまたがる面倒な手続きを簡略化することです。
機能的には、Microsoft Officeで動くVisual Basic for Applications(VBA)のGoogle版と考えれば、さほど問題はありません。しかし、言語的には大きな違いがありますし、GoogleのサービスはMicrosoft Officeとは比べ物にならないほど広範囲に広がっていますので、できることもVBAよりはるかに多くなります。
それでいて、使い方は簡単なので、Google Apps ScriptはJavaScriptの入門用にも最適なプログラム開発環境と言えます。
Google Apps Scriptは、「Script」とあることからわかるように、ブラウザ上で動く「JavaScript」をベースに、Web上のGoogleのサーバー上で動くように改変されたプログラム開発環境です。そのためブラウザのウインドウを直接操作したり、ドキュメントを表示したりといった機能は存在しません。
機能的にVBAに似ていると言っても、その使い方には大きな違いがあるわけです。
その反面、「App」の名前がついていることからわかる通り、Googleの各種サービスのアプリケーションと連携が、Google Apps Scriptにできることとして挙げられます。この点については、同様に「Application」の名前を持つVBAに似ていると言えます。
ただし、Google Apps Scriptには基本的にマクロ機能は備わっていません。スプレッドシート上ではマクロ機能の一部が利用できるものの、VBAほどには融通が利きません。この点でもGoogle Apps ScriptはVBAと同じ使い方はできないのです。
Google Apps Scriptの大きなメリットに、Googleのほぼすべてのサービスと連携した使い方ができることが挙げられます。ただし、Google Apps Scriptを作成できるサービスは以下の5つのサービスで、ほかのサービスはこれらの上(多くはGoogleドライブ上)で作成した「プロジェクト」と呼ばれるスクリプトから呼び出すことになります。
上に記したように、Google Apps Script自体があるサービスは5つしかありません。基本的にはすべてのサービスを管理するGoogleドライブ上でプロジェクトを作成することになります。
とはいえ、Googleスプレッドシート上で顧客管理して、そこからメールを発送する、などという使い方の場合には、いちいちGoogleドライブに移動してGoogle Apps Scriptを呼び出すよりも、Googleスプレッドシート上から直接Google Apps Scriptを呼び出すのが得策となります。
ケースバイケースで、妥当なサービス上でGoogle Apps Scriptを作成するのが正しい使い方となります。
Google Apps Scriptには、Web上のプログラム開発環境であることによるメリットと、それ故に生じるデメリットがあります。
Google Apps Scriptは、GoogleによってWeb上に用意されたプログラム開発環境であり、プログラム実行環境でもあります。そのため、すべてがGoogleに囲い込まれており、エディタからサーバーまでほとんどのことがWeb上のGoogleにお任せ、かつ無料で済むので、非常に気軽に利用でき、プログラム学習の入門にも向いています。
通常のプログラム開発環境では、まず開発環境のセットアップが必要ですが、Google Apps Scriptにはあらかじめ開発環境が用意されています。特筆すべきは、先に記したいくつかのGoogleのサービスにアクセスし、ブラウザ上でGoogle Apps Scriptを呼び出すだけで、開発用のエディタでスクリプトを書いていくことができることです。
もちろんプログラム記述用のエディタとして要求される、シンタックスハイライトやサジェスト機能などの各種ツール類も備わっています。しかもGoogleのツールですから、当然のように無料で利用できます。もちろんその代償として、個人情報がGoogleの手に渡っていますから、利用しないと損していることにもなります。
Google Apps Scriptが、Googleのサーバー上で稼働できることの意義は非常に大きいと言えます。そのため、ネット上にサーバーを確保する必要もなければ、自前のPCにサーバー環境を設置する必要もないのです。ここに労力を払う必要がない点も、Google Apps Scriptを入門用プログラム開発環境としておすすめできることの一つです。
また、Googleサーバーは24時間休みなく動いていますから、自分のパソコンの電源を落としたり、Googleのサービスにアクセスしているブラウザを終了させたりしても、問題なく指定した時間やトリガーに合わせて動作してくれます。VBAがMicrosoft Officeを立ち上げておくことを前提としていることに比べれば、そのメリットの大きさが理解できます。
Google Apps Scriptのメリットには、HtmlServiceオブジェクトを扱うことでWebページを作成することができることも挙げられます。もちろんそのほかの関数を使うことでWebページの操作も可能です。
これらの関数とGoogleの各種サービスの使い方次第で、スプレッドシートから簡単に目的のデータを引き出すWebアプリケーションを作ったり、Webページに入力された情報をGoogleドキュメントに蓄えたり、さらにはドキュメントを自動生成したり、社内情報を共有したりなど、さまざまなWebアプリケーションを作成できるのです。
しかもこうして作成されるWebページは、デフォルトではhttps://script.google.com/以下にオリジナルのURLで作成されるため、Webアプリケーション用のサイトなどを別に用意しておく必要もありません。
そしてなによりも大きいのが、Google Apps ScriptならGoogleの各種サービスや外部サービスを横断してプログラムすることで、各種サービスの自動化ができることです。本来なら、各種サービスが担う部分までをプログラムしなければいけないところを、それぞれのサービスにいわば下請けに出すことで、容易に自動化できるというわけです。
たとえば、地震が起きた場合に震度4以上の地点があればそれをメールする、とか、毎朝定時に前日からその時点までのスプレッドシートに付加されたデータをGoogleドキュメントにまとめて各自のGoogleドライブに配布する、などといった、人間の手を患わせないトリガーで作業を自動化する使い方が可能なのです。
しかも先にも記したようにGoogle Apps Scriptは24時間稼働中のGoogleのサーバー上で動きますから、サーバー保守の手間もかかりません。安心して自動化を任せることができるのです。
1 / 4
続きを読む