Amazonのセラーセントラルとベンダーセントラルの違いや選び方について解説！

Amazonは現在、日本ネットショッピングで最も多くのユーザーが利用し、なおかつ最も多くの利益を上げている通販サイトです。商品の豊富さや値段の安さなどに、私たちの目はどうしても引かれてしまいますが、注目すべきなのはその斬新なビジネスモデルです。身近にもAmazonで転売をして収入を得ている友人や知人が大勢いるかもしれません。

彼らはこの斬新なAmazonのビジネスモデルの恩恵を受けているユーザーです。「買って売る」というシンプルで伝統的なビジネススタイルの裾野を広げ、参入が容易で誰でも商いをして利益を得られるビジネスの新しいシステムを作り上げたのがAmazonです。そんなAmazonが作り上げた販売方法を今回はご紹介します。

Amazonというオンラインの「ショッピングモール」に商品を出品して販売と配送の業務をワンセットでしたいという人は世界中にいます。Amazonは自社の通販サイトで行う販売方法を2つのカテゴリーに分け、Amazon通販サイト内の商いを組織しています。どんなカテゴリーなのでしょうか。

Amazonが自社の通販サイトの商いを組織するために作り上げた2つの販売方法の1つは、ベンダーセントラルです。ベンダーセントラルとは、Amazonという巨大ネット販売業者に商品を納品し、販売のすべてを委ねる販売スタイルです。つまりAmazonに販売をして利益を上げる販売方法です。近所の大手スパーに野菜や他の商品を卸す業者に似ているかもしれません。

Amazonが自社の通販サイトの商いを組織するために作り上げた2つの販売方法のもう1つは、セラーセントラルです。セラーセントラルとは、Amazonに商品を出品し、Amazonの販売システムやツールを借りて直接商品の販売を手がける販売スタイルです。Amazonの転売を副業にしている転売ヤーは、セラーセントラルで商売をしていることになります。

例えて言うなら、Amazonという「スーパーマーケット」のアイスクリームセクションに、自分のアイスを置かせてもらいその販売を自分で行うものの、購入者は「スーパーマーケット」の買い物カゴを使い、「スーパーマーケット」のレジ袋で商品を持ち帰るといった具合です。

Amazonが2つの販売方法を確立したことには、当然、戦略的な理由があります。現在のAmazonがグローバル企業として大成功し、巨額の富を得ていることは、Amazonが戦略的に打ち出し、実行してきた販売戦略が見事に機能したことの証拠です。ベンダーセントラルとセラーセントラルの両者には、販売戦略的にどのような違いがあるのでしょうか。

これからベンダーセントラルとセラーセントラルの違いや特徴をそれぞれ分析し、双方にどのようなメリットとデメリットがあるのかを考えます。まず、ベンダーセントラルを取り上げます。

ベンダーセントラルにはどのようなメリットがあるのでしょうか。4つのメリットをこれから紹介します。

ベンダーセントラルの最初のメリットは、販売に関わる業務の簡素化によって利益を上げやすいことです。業務の簡素化とはどういう意味でしょうか。販売業務は、ただ商品を買って売るだけではありません。梱包や配送などの業務もあります。

商品の梱包と配送は販売上重要ですが手間がかかります。Amazonはそうした手間のかかる梱包や配送業務を行ってくれます。また利益を上げるためには欠かすことのできないマーケティングも、グローバル企業として実績や経験、知識を豊富に持つAmazonに委託できるので、利益を上げやすいという側面もあります。

ベンダーセントラルの2番目のメリットは、消費者からの信頼を得やすいことです。消費者からの信頼が得やすいとは、どういう意味でしょうか。消費者が商品を購入する際、Amazonの購入サイトでは「Amazonが販売」という表示になります。配送される商品が、確実にAmazon販売のお墨付きなら、確かに信頼できます。

Amazonという「信頼の看板」を使って商品の出品と販売が行えるので、消費者は信用して商品を購入できます。ですから売上高に大きく貢献します。

ベンダーセントラルの3番目のメリットは、マーケティングツールの利用で販売が促進されることです。Amazonには独自のマーケティングシステム「Amazon Vine」があります。

Amazonがこれまで培ったマーケティング戦略の知識と実績が詰め込まれた「Amazon Vine」を利用できれば、消費者の心をとらえる商品の選択、販売戦略を立てやすくなります。必然的に販売は促進され売上高に反映されます。

ベンダーセントラルの4番目のメリットは、Amazonの広告宣伝により売り上げが上がることです。Amazonの広告宣伝により売り上げが上がるとは、どういう意味でしょうか。Amazonは自社が扱う商品の宣伝広告を促進する独自のシステム「AMS」を持っています。

ベンダーセントラルで販売をする人は、この「AMS」を活用できます。通常、通販・サービス業が広告宣伝費にかける費用は売上高の15%~20%と言われています。しかし広告宣伝費にかけた費用がそのまま売り上げにつながるという保証はありません。

しかし「AMS」を活用した結果、売り上げが2倍になったというベンダーがいるほど、Amazonの広告宣伝は絶大です。

ベンダーセントラルにはメリットだけでなく、デメリットもあります。これから4つのベンダーセントラルのデメリットを取り上げて紹介します。

ベンダーセントラルの最初のデメリットは、最低価格が変わりやすいことです。メリットはデメリットにもなり得ます。販売のすべてをAmazonに委ねるということは、納品した商品の最低価格もAmazonが決めると言うことです。Amazonは当初ベンダーが付けた最低価格を突然変えることもあります。利益率が下がり、売上高に影響が出ます。

販売のすべてを委ねるとは、諸刃の剣であることを覚えておきましょう。

ベンダーセントラルの2番目のデメリットは、在庫管理に骨が折れることです。なぜ在庫管理に骨が折れるのでしょうか。Amazonはベンダーの注文作成書の検査基準をとても厳しくしています。そのため適切に在庫管理を行うのは容易ではありません。

ベンダーセントラルの3番目のデメリットは、Amazon側が商品を買ってくれないリスクがあることです。特に新商品に関しては、販売個数の実績がないなどのAmazon側の事情ゆえに、購入を見合わせることがあります。

納品するために購入した商品をAmazonが購入しなければ、購入も配送もされることなく、商品は行き場を失います。大きな損失です。

ベンダーセントラルの4番目のデメリットは、利用が招待制になっていることです。ですから誰でも気軽に、そして自由に参入できるわけではありません。

Amazonが自社の通販サイトの商いを組織するために作り上げたもう1つの販売方法であるセラーセントラルの特徴をこれから紹介します。ベンダーセントラルとは違い、セラーセントラルにしかない販売方法にぜひ注目しましょう。

セラーセントラルにはどのようなメリットがあるのでしょうか。4つのメリットをこれから紹介します。

セラーセントラルの最初のメリットは、参入が簡単なことです。ベンダーセントラルとは違い、セラーセントラルは招待制ではないので、商品を出品して販売をしたい人は誰でも参入できます。販売経験のないサラリーマンや主婦の多くが副業としてセラーセントラルで販売ビジネスを行っている理由はそこにあります。

セラーセントラルの2番目のメリットは、出品から配送まで販売に関わるすべての業務を自由に行えることです。ベンダーセントラルとは違い、セラーセントラルは販売業務のすべてをAmazonに委ねるわけではありません。基本的には商品の買い付け、出品、配送までのすべての工程を管理できます。商品の梱包や配送などは骨の折れる仕事です。

しかし商品の梱包や配送などは大切な業務であり、販売に関わるすべての業務を管理できる自由があるのは魅力的です。出品と販売だけに集中したい、配送や梱包や在庫管理は外注に出したいのであれば、有料のAmazonのサービスである「FBA」などを活用することもできます。

セラーセントラルの3番目のメリットは、Amazonブランド登録ができることです。Amazonは商品の出品やブランドの管理を行いやすくするために「Amazonブランド登録」というシステムを実施しています。この登録ができるのは、メーカーや自社ブランドの所有者、Amazonにおける販売の許可を書面で受けた再販売者や個人、また企業です。

通常、商品を出品して販売するにはJANコード（バーコード）が必要です。しかしAmazonブランド登録をすれば、JANコードの申請やそれに関わる申請料、更新料を払う必要はありません。

セラーセントラルの4番目のメリットは、Amazonの販売分析情報を活用できることです。販売戦略を立てるのは、販売分析は欠かせません。セラーセントラルのメリットは、無料でAmazonがこれまで蓄積してきた販売分析情報にアクセスできることです。

セラーセントラルにはメリットだけでなく、デメリットもあります。これから3つのベンダーセントラルのデメリットを取り上げて紹介します。

セラーセントラルの最初のデメリットは、消費者の信頼を得るのに時間がかかることです。ベンダーセントラルとは違い、消費者が出品されている商品を購入する際に、Amazonの購入サイトに「Amazonが販売」という表示は出ません。

Amazonという「信頼の看板」を使って商品の出品と販売ができないので、消費者の信頼が得られにくいのが現実です。

セラーセントラルの2番目のデメリットは、毎月手数料を払う必要があることです。ベンダーセントラルとは違い、セラーセントラルは毎月、使用料をAmazonに支払わなければなりません。以下に料金表を記載します。
 

セラーセントラルの3番目のデメリットは、多くの競争相手がいることです。参入が簡単であれば、当然多くの人がAmazonでの商品販売を行います。その結果、出品した商品が値崩れすることもあります。誰も目を付けないヒット商品を探すのは決して容易なことではありません。

ここまで、ベンダーセントラルとセラーセントラルというAmazonの２つの販売モデルを考えてきました。また両者のメリット、デメリットも考えました。ではAmazonで自分も出品して商売をしたいと考えているなら、どちらの販売方法を試すべきでしょうか。

戦略的に販売方法を選ぶ面で、両者の間にある違いは何でしょうか。この記事の最後に、この点について考えます。

まずベンダーセントラルというAmazonの販売モデルを選択すべき戦略的状況を紹介します。
 

• 利益重視ではなく多く売ることを優先する場合
• 商品の認知度を上げて商売の地盤固めを優先する場合

次にセラーセントラルというAmazonの販売モデルを選択すべき戦略的状況を紹介します。
 

• 利益率を重視し、商品の需要が見込める場合
• Amazonがこれまで蓄積した販売実績、知識、商品分析、から多くを学びたい場合
• 自分の出品した商品の無断販売を防ぎたい場合

AmazonのCEOであるジェフ・ベゾスに巨万の富をもたらしたのはAmazonの通販ビジネスです。そんなAmazonで販売ビジネスをしたいなら、ベンダーセントラルとセラーセントラルの違いや特徴やメリット、デメリットをよく精査し、自分のビジネスモデルや戦略上の目的に最も適した販売方法を選びましょう。Amazonベンダーセントラルやセラーセントラルは可能性のある販売方法です。