LinuxをMacで使うメリットは?違いやオススメの使い分けを比較して解説!
LinuxをMacで使うメリットや使い分け方法について解説します。また、LinuxとMacの違いや使うべき用途について考察し両者の特徴を理解できると使い分けがうまくなります。OSを使う目的を明確にすることで、OSの違い・特徴をうまく活かせます。
目次
LinuxをMacで使うメリット
PCで使い分けるOSを考えるとき、最も定番なOSと言えば、Windows・macOSに次いでLinuxが挙げられるでしょう。Windows・macOSは、基本的にPCとパッケージングで取り扱われる場合がほとんどですが、Linuxはこの2者とは違ってOS単体で語られることが多いという特徴があります。
その理由はいくつか挙げられますが、最も主要な理由は「PCマシンを選ばないOS」であるという点でしょう。Linuxは、WindowsPC・Macに対して、デフォルトのOSを残したままサブOSとしてインストールできます。インストール後は、切り替えて利用できるので使い分けが可能です。
今回はそうした点も踏まえて、LinuxをMacで使うメリット、使い分け方法について解説します。また、LinuxをMacにインストールする手順も紹介します。
Linuxとは
Linuxについて語る前に、簡単にLinuxについておさらいしておくと、LinuxのOSカラーを一言で例えるならば「開発者向けOS」といえます。
Windows・macOSは歴史的に、一般ユーザーをパーソナルコンピューターの世界に巻き込もうという意図があり、一般人の生活・仕事の一部にパーソナルコンピューターの機能・可能性を取り込むという大きなテーマがありましたが、Linuxにおいては元々フリーOSであり、一般人に利用してもらおうという流れとは縁が薄かったといえます。
それ故に、コマンド操作などは逆にWindows・macOSに比べて発達したといえるでしょう。また、Linuxは応用できるデバイスにおいても汎用性が高く、PC以外にも、NAS(外付けネットワークハードディスク)・家電・ロボットなどにも利用されています。
Linuxをメインにするメリット
以下、Linuxをメインにするメリットについて端的にまとめました。
無料で試すことが可能
Linuxは無料インストールできるOSなので、興味があればコストをかけずにすぐに試せるという利便性があります。また、仮想OSとして簡単にゲストOSをインストールできるエミュレータ―アプリを利用すれば、デフォルトのOSをそのままメインOSとして利用しながら、Linuxを併用できます。
処理が早く快適に操作ができる
Linuxは他のOSと比べると機能が厳選されていて作りがシンプルなため、例えばWindowsなどと比べると処理が早く軽快なPC操作を行えます。
インストールするPCを選ばない
Linuxは基本的にインストールするPCを選びません。WindowsPCでもMacでもインストールできます。LinuxはUNIX系と呼ばれる、初期OSの流れを受け継いでいるOSなので汎用性が高いOSと言えます。ちなみにスマホ・タブレットのOSであるAndroidOSもLinux上で構築されているOSです。
Webアプリの開発環境に最適
LinuxはWebアプリの開発環境に最適なOSです。その理由は、レンタルサーバーなどの大規模なサーバーや開発環境のデバイスはほとんどがLinuxベースで管理されているという現状があるためです。
Linuxは開発・技術畑で多く利用されてきたことは前述しましたが、そういう歴史的経緯に加えて、無料で利用できるOSであることが、さらに開発・技術畑で多く利用されている理由にもなります。
実際にLinux以外のOSでWebアプリを開発しようとすると、有料のレンタルサーバーを借りて有料OSをインストールして、オペレーションの実験やシミュレーションを行わなくてはいけませんが、Linuxを使えば、有料のサーバーをレンタルする必要はなく、無料のLinuxを自分のPCにインストールしてオペレーションの実験やシミュレーションを行えます。
また、サーバーをレンタルすることがあっても、そのサーバーがほとんどの場合、Linuxベースで管理されているので、データ移行や開発もスムーズに行えます。
ソフトウェアは基本無料で使える
Linuxが無料OSであるということもあって、Linux用として配布・提供されているソフトウェアは基本的に無料で利用できます。歴史的にLinuxが利用されてきた環境のルールなので、一度Linuxのオペレーションに慣れると、無料で便利なソフトウェアを自由に利用できるというメリットがあります。
ソフトウェアはコマンド入力で手に入る
WindowsやmacOSに慣れている一般ユーザーには想像しづらいかもしれませんが、Linuxではソフトウェアをインストールするときにコマンド入力で簡単に入手できます。
例えば、Windows・macOSであれば、ブラウザでインストールしたいアプリの専用サイトにアクセスして「ダウンロード」ボタンをクリックして、まずインストーラーをダウンロードします。
次に、そのインストーラーをダブルクリックしてインストールウイザードを立上げて、「インストール」ボタンをクリックした後、手順に沿って「次へ」のリンクを続けてクリックして最後に「完了」をクリックするという流れが一般的でしょう。
しかし、Linuxの場合は、コマンドでインストールしたいアプリとインストール用のコマンドを入力するだけで、即時的にインストールできます。
Linux・Macの違いを比較
次に、Linux・Macの違いに関して、比較・考察をまとめました。
使い方や操作の難易度
まず、使い方や操作を覚える難易度を比較すると、Macよりも圧倒的にLinuxの方が苦労します。これは理解するのが難しいという意味ではなく、自分で能動的に理解していく努力が必要になるという意味です。
前述しましたが、Windows・Macは一般ユーザーを対象に有料で販売するOSサービスなので、基本的にユーザーサポートがつきます。
また、UI(ユーザーインターフェイス)も一般ユーザーができるだけ操作しやすい工夫が成されています。また、ユーザー数も多いので、ネット上でもユーザー同士の情報交換が盛んで、小さな操作上の悩みに関する情報も提供されている可能性があります。
それに対して、Linuxは一般ユーザーにはなじみが薄く、どちらかというと技術者が使用するOSで、無料で配布・提供されているので、基本的にユーザーサポートはありません。
最近はLinuxのUI(ユーザーインターフェイス)も利用しやすくデザインされていますが、Windows・Macほど細かい箇所に気が利いているつくりではありません。また、ユーザー数が少ないので、ネット上で情報収集する場合は苦労します。
しかし、Linuxの使い方や操作を覚えることは、Windows・Macに比べるとハードルが高いだけであって、特別な能力やセンスが必要というわけではありません。少しずつ理解を深めていけば、誰にでも理解できるOSです。
また、システム・アプリ開発でLinuxを利用することを考えているユーザーは、Linux OSには「クライアント用(個人PC用)」と「サーバー用」があることを覚えておきましょう。「クライアント用(個人PC用)」に比べて、「サーバー用」の使い方・操作の方が難易度は高いといえます。
セキュリティの高さ
セキュリティの高さを比較すると、結果的に、Windows・Macに比べるとLinuxの方が高いといえます。ウィルスなどの悪質スパイウェアの脅威の規模は、単純にユーザー数に比例するという見方もできます。ユーザー数が多いほど悪質スパイウェアの開発も進むことになります。そうした面からも、Linuxの安全度が一番高いといえるでしょう。
また、LinuxがオープンソースのOSであることが、かえってセキュリティレベルを上げているという見方もできます。世界中のプロ技術者がLinuxのソースコードを利用しており、常に改良を進めているので、悪質なコードが発見されると直ぐに駆逐される傾向にあります。
しかし、悪質スパイウェアに関してはどんな状況でもリスクが絶えないので、Linuxといえども十分な対処が必要なのは言うまでもありません。
利便性の高さ
利便性の高さの比較に関しては、用途によるところが大きいといえます。一般ユーザーが生活・仕事にパソコンを活かすという用途であれば、断然便利なアプリが豊富に提供されているWindows・Macの方が利便性は高いと言えます。
Macのソフトウェアに関しては、より専門職に特化したアプリケーションの充実が強みです。音楽・映像・イラスト画像作成(ペイント系・ドロー系)などの定番ソフトはMac用として開発が開始されているものが多いという歴史もあります。
それに対して、Linuxは、アプリケーションソフトの充実度で言えば到底Macにはかないませんが、OSの起動の速さにおいてはシステムの作りがシンプルな分、Macよりも秀でているといえます。作業を中断する際はスリープ状態にしておけば、作業再開時にすぐに起動できます。シャットダウンする必要はありません。
また、Linuxはサーバー用のOSとしては重宝します。マシンの古さに左右されずに利用できる汎用性があります。この汎用性はクライアントPC(個人用のPC)にも言えます。WindowsPC・Mac、またマシンの新旧にかかわらず、Linux OSを利用できます。
速度
OS操作の体感速度の比較に関しては、基本的にPCマシンのスペックによるところが大きいと言えます。しかし、その点を差し引いて、OSのみの精度で比較する場合は、前述した通り、Linuxの方がシステムの作りがシンプルなため、OSの起動の速さにおいては秀でています。
プログラミング環境構築面
プログラミング環境構築面に関しては、どのOSでも機能的に同等であるという見方が結論です。Linuxの方がシステム・アプリ開発に向いていると解説してきましたが、プログラミングのみに関しては、どのOSでもメジャーなプログラミング言語は使用できるので、機能的にどのOSを使用しても支障はありません。
ただ、サーバーにデータ移行する、もしくはサーバーと連携をとって開発するというweb関係のシステム・アプリを開発する面に関しては、Linuxを使用する方がメリットが高いという見方ができます。
また、それぞれのOS用のアプリを開発する場合は、同じOSを使ってプログラミングするのが一般的で、その方が利便性は高いと言えます。
LinuxとMacのオススメの使い分け方とは
次に、LinuxとMacのそれぞれのメリットに注目した、オススメの使い分けについて解説します。
サーバやアプリの開発環境を構築するならLinux
前述したとおり、サーバーOSとしてはLinuxの普及率が高いので、Webサーバーを使ったシステム・アプリの開発環境を構築するのであればLinuxを利用する方が有利です。
コマンドで操作したいならLinux
Windows・Macの主要な操作方法として一般に馴染まれている、アイコン等を利用して視覚的に分かりやすく操作できるOSシステムのことを、GUI(グラフィカル ユーザーインターフェイス)といいます。
それに対して、ルール付けされた特定の文字列を数式のように組み合わせて、OS上の機能をコンピューターに対して指令することで操作を行うことをCLI(コマンドラインインタフェース )と言います。
コマンド操作は、コマンド命令文を覚えることと、操作に慣れることで苦労しますが、スキルが身についくと、GUIよりも機能的に作業をこなせるという特徴があります。また、開発者・技術者にとってはコマンド操作のスキルは必須です。
LinuxはGUIよりもコマンド操作の方がユーザーインターフェイスとして発達したOSなので、コマンド操作で作業を効率的に進めたい、もしくは開発者・技術者としてスキルを高めたいのであればLinuxの使用がおすすめです。
iOSやMacOS用のアプリ開発ならMac
前述しましたが、それぞれのOS用のアプリを開発する際は、該当するOSを使用してプログラミングするやり方が一般的な方法です。そのため、iOSやmacOS用のアプリを開発する場合は、迷わずMacを使用するべきです。
パッケージアプリを使うならMac
パッケージアプリは元々Mac OS 9から採用されたアプリケーションの管理方式なので、LinuxよりもmacOSを利用した方が便利です。ちなみにパッケージアプリとは、アプリケーションで利用するデータファイル・機能を1つフォルダにまとめて、1つのアイコンとして取り扱えるようにしたアプリケーションパッケージのことです。
LinuxをMacで使うための導入方法
次に、LinuxをMacで使うための導入方法について解説します。大きな流れとしては、まず、Linux OSのCDイメージをダウンロードして、次にMac上に専用アプリを使って仮想PC領域を作成し、最後にその仮想PC領域上にLinux OSをインストールします。
CDイメージをダウンロードする
Linux OSにはいくつか種類がありますが、その中で比較的利用しやすく、一般的に広く利用されている「Ubuntu」のインストールを今回例にして説明します。「Ubuntu」日本語バージョンのISO方式のCDイメージを公式サイトからダウンロードしましょう(リンクをクリックするとダウンロードできます)。
仮想マシンを作る
次に、Mac上に仮想マシンを作成するために、無料で利用できる仮想PC領域作成アプリ「VirtualBox(バーチャルボックス)」を公式サイトからインストールします。
公式サイトにアクセスして「Download」ボタンをクリックすると「VirtualBox X.X.X for OS X hosts」というファイル名のインストーラーがダウンロードされるので、ダブルクリックして手順に従ってインストールします。
Linux OSをインストールする
「VirtualBox(バーチャルボックス)」をインストールしたら、アプリを立ち上げ、仮想マシンを設定してLinux OSをインストールしていきます。
仮想マシンの初期設定
「VirtualBox(バーチャルボックス)」の画面で「新規作成」をクリックし、以下の条件を順番に設定していきます。
- 仮想マシンの名前(任意)
- インストールするOS(バージョンを含む)
- 仮想マシンに割り当てるメインメモリ(目安1GB)
仮想ハードディスクの設定
続けて、任意で仮想ハードディスクの名前を入力し、仮想ハードディスクの容量(目安は12GB)・保存先を指定すれば、Mac上に仮想ハードディスクが設定されます。ちなみに仮想ハードディスクは1つのファイルという形でMac上に保存されます。
仮想マシンにCDイメージファイルを紐づける
仮想マシン・仮想ハードディスクの設定が完了したら、新規作成した仮想マシンを立ち上げます。ウインドウ画面左側に、設定した仮想マシンの一覧が表示されるので、設定した仮想マシンを選択して画面上方の「起動アイコン」(矢印マーク)をクックします。
「初回起動ウィザード」が立ち上がるので、「インストールメディアの選択」の画面で、メディアソースとして、ダウンロードしたLinux OSのCDイメージファイルの保存先を指定します。
保存先を指定した後、「次へ」をクリックし、設定確認画面で「完了」を押すと仮想マシン上にLinux OSのインストールが開始されます。
Linux OS「Ubuntu」のインストール
Linux OS「Ubuntu」のインストールがひと段落すると、画面上に「Ubuntu」の初期設定画面が表示され、ハードディスクに「Ubuntu」をインストールして良いか確認を求められるので「Ubuntu 10.04 LTSをインストールする」のボタンをクリックします。
その後、必要に応じて、タイムゾーン・キーボード設定を行い、インストールするハードディスクを指定する画面に移動します。
インストールするハードディスクには「VBOX HARDDISK」(VirtualBoxで設定した仮想ハードディスク)が指定されているはずです。指定されてハードディスクを確認して「進む」をクリックします。
最後に、ログイン名とパスワードを設定すれば初期設定は完了です。残りのインストールが始まります。インストールが完全に終了したら再起動する必要があります。
再起動とCDイメージのアンマウント
インストールが完全に終了したら、仮想マシンを再起動しましょう。
仮想マシンの再起動後に、CDイメージのアンマウントを要求されるので、画面上方のメニューバーより「デバイス」→「CD/DVDデバイス」→「CD/DVDデバイスのマウント解除」を選択し、CDイメージをアンマウントしておきましょう。
LinuxをMacに導入して活用しよう!
LinuxをMacに導入して、2つのOSをうまく活用しましょう。2つのOSの違い・特徴を理解することで、その違い・特徴を目的に合わせて適切に使い分けられます。2つのOSの主な違いは、コマンドによる操作性です。
コマンド操作による効率的な作業を求めているユーザーや、スキルを高めたい開発者・技術者は、Linuxを使用することで大きなメリットを得られるはずです。また、Webサーバー関連のシステム・アプリを開発する場合も、Linuxの利用をおすすめします。