2019年05月14日更新
Android Thingsとは?IoT開発向けのOSをスピーカーとディスプレイに限定した理由は?
Google社はIoT向けのプラットフォームとしてAndroidThingsを発表しました。しかし現在AndroidThingsはスマートスピーカー・スマートディスプレイに対象とする範囲を狭めています。今回はなぜ範囲を狭めたのか、その理由を説明します。
目次
Android thingsでできることは?
Google社はさまざまなサービスを展開していますが、一般ユーザーだけではなく開発者向けのサービスというのも広く展開しています。AndroidThingsとはそんな開発者向けに公開している、IoT機器用、特にGoogleスマートスピーカーや、スマートディスプレイを主な対象にしたプラットフォームの一つです。
スマートスピーカーやスマートディスプレイはいわゆるIoT機器です。IoTとはモノがインターネットに繋がることでより便利になっていくことを指しますが、AndroidThingsはそんなIoT機器の中でもスマートスピーカー・スマートディスプレイに特化しているという特徴があります。
通常のAndroidと違い、AndroidThingsは開発者向けのプラットフォームであるとされています。つまりAndroid建てのプログラマなどの技術者が使うことが目的のOSやソフトウェアなどの詰め合わせセットです。今回はそんなAndroidThingsについて、その概要を簡単に解説していきます。
Android thingsとは
そもそもAndroidThingsとは何かと言うと、AndroidのようなOSの機能に加えて、IoT(インターネット・オブ・シングス)機器を開発するためのプラットフォームで、IoT機器用の開発者OSとも言えます。Google社はGoogleスマートスピーカーやスマートディスプレイなどを販売していますが、現在はこれらの開発を行うためにアップデートが続けられているようです。
AndroidOSとの違いは?
AndroidOSとはスマートフォン向けに開発されたOSであり、一般のユーザーが使うようなものが一般的にイメージされます。対してAndroidThingsはIoT向けに特化したOSを含むソフトウェア群で、Android Oから派生したOSに加えて、新しくThings APIなどの拡張機能を搭載しています。
できることとしては、例えばプログラミングを行うような人、具体的には小型機器を使って便利なものを作りたいといったIoT開発者に向けて作られた専用機能を数多く搭載したOS、ソフトウェアが搭載されており、そういった人にとってはできることが非常に広いといえます。
IoT向けのプログラム開発者になれる
AndroidThingsを利用する人はIoT機器の開発を行っているプログラマーが主になります。10万人以上の開発者ユーザーがダウンロードを行っていることから注目度は高く、もしもIoT向けのプログラム開発者になりたいならば、これを機にAndroidThingsについて勉強を始めてみるのも一つの手であると考えられます。
ただし、汎用的にIoT機器の開発が行うならば別なプラットフォームが優れていることがあり、AndroidThingsに関しては特にスマートスピーカー・スマートディスプレイに特化していることは覚えておいてください。
Android thingsの開発を限定した理由
先述した通り、もともとはIoT機器向けの開発用プラットフォームとして開発されていたAndroidThingsですが、現在はその範囲をgoogleスマートスピーカーとスマートディスプレイに限定しています。このように開発が限定されている理由は何なのかについて、順を追って説明します。
Googleの発表
Google社は1年程度、各社と協力してAndroidThingsを使った製品を開発してきました。その中でも特にスマートスピーカー・スマートディスプレイで大きな成功を収めたこともあって、方向性を変更して汎用IoTプラットフォームから、スマートスピーカー・スマートディスプレイの開発を行うようにシフトすることが発表されました。
スマートスピーカーとスマートディスプレイで成功
スマートスピーカーとスマートディスプレイで成功したと発表されましたが、用途を絞ったのは他のIoT機器ではあまり使われなかったのではないかとされる意見もあるようです。ただし完全にやめてしまったのではなく、GoogleAssistantConnectという、新しいプラットフォームの発表も行われており、用途に分けて使い分けられていく形になっていきそうです。
Android thingsをサポートしている製品は?
そんなAndroidThingsですが、どれにでも搭載できることはなく、サポートしているモジュールは決まっています。あくまでAndroidThingsは汎用のOSなどを含むプラットフォームであり、それを搭載するためのハードウェアが必要になります。スマートスピーカーやディスプレイとしましたが、細かく搭載できるモジュールは定められています。
このように定められたモジュールに対してAndroidThingsのOSを搭載することで、始めて利用することが可能となります。ここからはこれらのモジュールはどのようなものがあるのか、そしてその理由について解説します。
モジュール
対応するモジュールとしては、以下の通りとなります。
- Raspberry Pi 3 Model B
- NXP i.MX7D
特に有名なのはRaspberryPi 3で、MicroSDカードにOSを搭載することで小型のパソコンとして利用できるマイコン、小型のコンピュータです。これ一つでできることは多く、小型で高性能なことからIoT機器の開発によく用いられています。他にもさまざまな範囲に対応していましたが、対象範囲の縮小にともなって現在はこの2種類のみをサポートしているようです。
Android Thingsを使用したデバイス
すでにAndroidThingsを使用しているデバイスとしては、中国のLenovoや、Googleによるスマートディスプレイなどがあげられます。他のIoT製品に関しては別なものが使われ、これからもスマートスピーカー・スマートディスプレイ製品のプラットフォームにAndroidThingsが使われていくようになっていくと考えられます。
Android Thingsは開発が進まない可能性がある
スマートスピーカーやスマートディスプレイに範囲を絞って開発を続けていくとされたAndroid Thingsですが、今後は開発が進まないという噂があるようです。せっかく成功したIoT機器開発用のプラットフォームの開発が進まないとされる噂がたった話の根拠について説明します。
Google Assistantが代わりに
公式でもGoogleアシスタントは今後製品化がされることはないとされており、開発用キットの対応も上記のRaspberryPi3 model Bと NXP Pico i.MX7D の2種類に限定されています。他にも対応する予定があったようですが、無期限延期となったようです。
Googleの構想としては、AndroidThingsでできることとしてスマートスピーカーやスマートディスプレイに限らず、防犯カメラやロボットに利用できることが期待されていました。しかしこれらはGoogleAssistantと呼ばれる新たなIoTプラットフォームを登場させ、そちらにシフトしているようです。
他にも実際にスマートスピーカー・スマートディスプレイでの開発に限られるなど、これらの事実から、AndroidThingsは今後開発が進まないのではないかと噂されるようになったようです。現実にどうなるかはわかりませんが、開発が縮小していることは間違いないようです。
Android thingsは期待されたが今後はまだ分からない!
AndroidThingsはIoT時代と呼ばれている現代において登場した開発者用プラットフォームであり、もともとはIoT機器全般に使われることを目的としていました。しかし実際に成功をおさめたのはスマートスピーカーやスマートディスプレイで、他にはAndroidThingsはあまり使われなかったようです。
開発できるモジュールが、汎用性があるデバイスであるとはいえ2種類に限られてしまったことや、IoT機器向けの新しいプラットフォームの登場などの背景から、今後はAndroidThingsの開発が進められないのではないかという噂が立っています。しかし実際にはこれは噂レベルの話で、Google社が開発を止めると公式に発表があったわけではありません。
今後はできることが増えて再び使われるようになっていく可能性もあります。Google社の正式発表がくるまで待ちながら、使われなくなるとすぐに結論付けずにAndroidThingsがどのように使われていくのかを見守っていくべきであると考えられます。