Macのプレビュー.appは、画像ファイルやPDFファイルを確認する際、便利に使われるMacの標準機能です。しかし本当のプレビュー.appは、画面の切り取りから人間などの切り抜き、カラーやサイズ調整など手軽に画像・PDF編集をこなせる実力者でもあります。
Macの多くのユーザーにとってプレビュー.appは、ちょっと中身を確認したいファイルをダブルクリックしたときに自動的に立ち上がる、Macの標準機能でしかありません。しかしプレビュー.appは単なる画像・PDFビューアではなく、かなり高機能の画像編集ソフトという側面を持ちます。本記事では、このプレビュー.appの使い方をくまなく紹介します。
複雑な画像加工やPDFの編集を行うには、専用のイメージ編集ソフトやPDF編集ソフトが必要です。しかし、手に入れた画像をトリミングしたり、切り取りしたり、サイズを変更したり、簡単なカラー調整をしたり、PDFであれば不要なページを削除したり、逆に複数のPDFを統合したりする程度であれば、プレビュー.appで十分対応可能です。
プレビュー.appはこんなにも便利なのに、Macに標準搭載されていますから無料で使えます。さらに、macOSに組み込まれていることもあって起動が速く、Photoshopなどのイメージ編集ソフトのように立ち上がりを待たされることもありません。このプレビュー.appの便利な使い方を知らないでいるのは、お金と時間を損しているようなものです。
Macのプレビュー.appで各種編集作業を行うには、上図の「マークアップツールバー」を表示させる必要があります。そのためには、編集したいイメージファイルやPDFファイルをプレビューで開いた上で、以下に挙げる4つの方法の内のひとつを選択します。
次の章からは、このツールバーの各アイコンを利用したMacのプレビュー.appの機能を、イメージ編集のプレビューの使い方→PDF編集のプレビューの使い方→その他のプレビューの便利な使い方の順に説明します。
Macのプレビュー.appを使うことで可能なイメージ編集は、単純な範囲指定から、同じ色の部分を指定するインスタントアルファ、それらによって指定された範囲の切り取りや削除による背景透過画像の作成、さらには図形や文字の書き込み、色合いやサイズの調整、そして複数のイメージの統合にまで至ります。
背景がシンプルな青空や芝生などであれば、Macのプレビューを使って、写っている人物を切り取ってほかの場所に貼り込むことも、そう難しくはありません。
Macのプレビューの使い方の第一歩は、範囲指定の方法を覚えることです。プレビューの範囲指定方法には、単純な「長方形での選択」「楕円での選択」と、自由曲線を使ってマウスポインタでなぞった通りに選択する「投げなわで選択」、そしてなるべく切り取る周囲をキレイに切り取ろうとしてくれる「スマート投げなわ」の4種類があります。
Macのプレビューで「長方形で選択」か「楕円で選択」を選ぶと、マウスポインタの動きに従って、長方形や楕円形の選択範囲が表示されます。
このとき、シフトキーを押しながらマウスポインタをドラッグすると、正方形、もしくは正円で範囲指定が可能です。一度マウスボタンから手を放した後でも、範囲指定内をドラッグすれば選択範囲を移動できますし、青色のポインタをドラッグすれば選択範囲を変更できます。
選択範囲が決まったら、のちほど説明するように「切り取り」を行ったり、ほかの画像にコピー&ペーストしたりできます。
長方形や楕円での選択では物足りないのであれば、Macのプレビューでは「投げなわで選択」や「スマート投げなわ」を選択することで、マウスの動きに合わせた細かい範囲指定を作成できます。
Macのプレビューで「投げなわで選択」を利用すれば、元の形に合わせて細かく範囲を指定できます。しかし、イメージ編集ソフトのように、範囲指定の足し引きができないため、大ざっぱに範囲指定しておいて、あとから細かく修正するということができません。つまり一発勝負で、ベストな範囲指定を決めなければなりません。
やり直しは何度も利きますし、いざとなれば範囲指定→切り取りを繰り返すことで細かく範囲を指定できるとはいえ、この辺りがMacのプレビュー.appのイメージ編集の限界のひとつです。
一方、「スマート投げなわ」は人物のバストショットを切り抜いているアイコンからわかるように、人物などの切り取り用に適した範囲指定方法です。赤い太線の内側を周囲との明度・彩度差の激しい部分を輪郭と判断して範囲指定します。
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