FTPの無料おすすめクライアントソフト10選！【Mac/Windows】

FTPとは、ファイル転送プロトコル（File Transfer Protocol）を略したIT用語です。あまり耳慣れない言葉ですが、プロトコルというのは「規約」や「決まり事」という意味であり、FTPとは、インターネットを介してファイルなどのデータを転送する際の決まり事のことです。

詳しく知るために、ネットワーク上でファイルをやり取りする際の仕組みを解説します。コンピューター同士がデータを送受信するときに、電子的なサービスや機能を提供する方のコンピューターを「サーバー」と呼びます。身近なものでは、電子メールの送配信サービスを提供する「メール・サーバー」などがあります。

そのサーバーからサービスを利用する方のコンピューターを「クライアント」と呼びます。クライアントとは「依頼人」という意味です。クライアントがファイルデータの送信や受信を依頼すると対応するのがサーバーの役割になるのです。家庭で使うパソコンはクライアントの立場になることがほとんどです。

ここで問題になるのが、データを送受信するときのルールです。コンピューター同士でやり取りするデータは「0」と「1」の組み合わせでできているので、サーバーとクライアントの間で「やりとりしているのがなんのデータなのか」わかるようにルールを決めなければなりません。

例えるなら、送られてきた手紙に「01010010001101……」とだけ書かれていても、この「0」と「1」の意味を理解することができません。FTPとは、データを送受信するときのルールを定めた通信方式のことなのです。

それでは、「FTPクライアントソフト」とは何をするためのものなのか説明します。先ほどのサーバーとクライアントの関係に当てはめるなら、その名の通りサービスを依頼するクライアントの立場になるソフトです。

対して、サービスを提供するサーバーは「FTPサーバー」になります。FTPサーバーとは、「Webサーバー」の内部とつながって「ファイルデータの管理をする」機能を持ちます。

自分のサイトを作るためには、大量の文章や画像ファイルをWebサーバーに転送しなければなりません。そこで、ＦＴＰクライアントソフトが必要になります。

FTPクライアントソフトを起動してFTPサーバーに接続すると、Webサーバーの内部にあるファイルデータをすべて呼び出すことができます。そこへイラストを追加したいときには画像データを転送したり、修正したテキストファイルを上書きしたり、公開を中止したいファイルを削除することができます。

それとは逆に、手元で消してしまったデータがサーバー上に残っている場合は、サーバーから自分のパソコンへ送信させて保存することもできます。自分のパソコンからサーバーにファイルを送ることを「アップロード」、サーバーから自分のパソコンにファイルを送ってもらうことを「ダウンロード」と呼びます。

FTPクライアントソフトを使えば、Webサーバーに置いてあるデータの管理が容易になるため、自分のWebサイトを運営する上でとても便利なツールであることがお分かりいただけたでしょう。

それではここで、無料で利用可能で、かつ初心者向けで扱いやすいおすすめのFTPクライアントソフトをいくつか紹介していきます。

まず初めに紹介するおすすめのFTPクライアントソフトは「FileZilla（ファイルジラ）」です。公式サイト（https://filezilla-project.org/）から無料でダウンロードできます。自己解凍式のexeファイルにはスポンサーのソフトが抱き合わせで入っていますが、インストール時に入れないことも可能です。

気になる方は個別ダウンロードページ（https://filezilla-project.org/download.php?show_all=1）からzipファイルの方をダウンロードしましょう。

では、機能の説明に進みます。FileZillaはドラッグ＆ドロップによるファイルの転送に対応しており、ローカル側（自分のデスクトップ）とリモート側（サーバー）の操作画面が左右に並んでいるためファイルの管理がしやすくなっています。

さらに、ファイルの転送速度や最大同時転送数が設定可能であり、一度にたくさんのファイルをサーバーへ転送することができます。

また、複数サーバーへの同時接続が可能で、編集するサーバーの切り替えはタブをクリックするだけです。複数のサーバーでWebサイトを運営する人にとっては重宝する機能でしょう。初心者でも直感的に操作がしやすく、海外でも利用するユーザーが多いと評判のFTPクライアントソフトです。

以下に、FileZillaの機能・特徴を紹介します。ドラッグ＆ドロップによるアップロード・ダウンロードが可能です。FTPだけではなく、より安全性の高いSSL/TLS (FTPS)・SFTPプロトコルに対応しています。4GB超えの大容量ファイルの転送に対応しています。複数サーバーの同時接続が可能。タブ操作により切り替えができます。

よく使うサーバーをブックマークに追加・管理することができます。転送速度の制限や最大同時転送数の設定が可能です。フィルタリングによるファイル検索機能があります。サーバーと手元のファイルを比較し、同期化ができます。ルーターやファイアウォールの設定を最適化するネットワーク設定ウィザードを搭載しています。リモートファイル編集機能があります。

次に紹介する無料のおすすめFTPクライアントソフトは「Cyberduck」です。公式サイト（https://cyberduck.io/）から無料でダウンロードできますが、Mac App Storeからダウンロードする場合は有償になるとのことです。

WindowsとmacOSの両方で動作可能で、ドラッグ＆ドロップにも対応しています。インストール画面は英語ですが、起動すると日本語のメニューが表示されます。起動時にFileZillaのブックマークを読み込んでCyberduckに自動でインポートする機能もあります。

FTP・SFTP・Amazon S3に対応しており、初心者にもわかりやすいシンプルな操作画面で、エラーが少なく安定した動作に定評があります。主な機能として、手元のファイルとサーバー上のファイルの同期化や、アーカイブの作成、サーバー上のファイルを直接エディタで編集すること、などが可能です。

無料で使えるおすすめのFTPクライアントソフトはまだあります。次はWindows専用で動作するFTPクライアントソフトを紹介していきます。

以前はWindows用の無料FTPクライアントソフトで定番となっていたのがFFFTPです。
国産ソフトのため安心感があり人気が高かったのですが、2011年に作者が開発を終了してしまったため、現在は有志の方が引き継いで開発が継続しています。最新版は窓の杜（https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/ffftp/）からダウンロードできます。

FFFTPはドラッグ&ドロップに対応しています。操作画面が左右に並列されているためファイル状況の確認がしやすいレイアウトになっています。また、漢字コードの変換、漢字のファイル名に対応しています。

FTP Rushは海外のFTPクライアントソフトですが、日本語化にも対応しています。ダウンロードは公式サイト（https://www.wftpserver.com/ftprush.htm）から行えます。リモートのサーバー同士でファイルを送受信できるFXPに対応しているのが特徴です。FTP Rushはドラッグ＆ドロップに対応しています。通信方式はFTP/SFTP/TFTP/FTPSをサポートしています。

WinSCPはオープンソースにより開発されている無料FTPクライアントソフトです。公式サイト（https://winscp.net/eng/docs/lang:jp）よりダウンロードできます。インストール時に言語選択で「日本語」を選択することが可能です。名前にもある通り、暗号化の技術を利用してセキュリティの高いファイル転送を行うSCPという通信プロトコルに対応しているのが特徴です。

WinSCPはドラッグ＆ドロップに対応しています。FTP/SFTP/SCP/FTPSをサポートしています。FTP接続情報を暗号化するマスターパスワード機能があります。サーバー上のファイルを編集できるテキストエディターを搭載しています。

ALFTPはクライアントとサーバーの両方の機能を備えた統合型FTPソフトウェアと呼ばれています。自分のパソコンを最大5人まで同時接続できるFTPサーバーとして使うことができます。現在はSoftpediaのダウンロードページ（https://www.softpedia.com/get/Internet/Servers/FTP-Servers/ALFTP.shtml）から入手できます。

ALFTPはドラッグ&ドロップに対応しています。FTP/SFTPに対応しています。

CarotDAVは国産の無料FTPクライアントソフトです。作者ＨＰ（http://rei.to/carotdav.html#download）よりダウンロードできます。2019年5月時点での最新版はVer. 1.15.5です。CarotDAVはFTP/ FTPS/SFTPに対応しています。Google ドライブ、OneDriveなどのオンラインストレージサービスにも対応しています。

Core FTPはセキュリティ機能が充実している無料のFTPクライアントソフトです。公式サイト（http://www.coreftp.com/）からダウンロードできます。公開鍵認証を用いたSSH（セキュアシェル）接続に対応しており、安全で高速にファイルのアップロードおよびダウンロードができます。

Core FTPはSFTP/SSH/SSL/TLS/HTTP/HTTPSに対応しています。サーバー間のファイル転送にも対応しています。

次はWindows・Macの両方で使用できる無料のおすすめFTPクライアントソフトを紹介します。

最初に紹介したFileZillaはWindows・Macの両方に対応しています。公式サイトで無料版が手に入りますが、Mac App Storeでは有料版の「FileZilla PRO」が購入できます。PRO版はクラウド管理などの拡張機能が追加されているとのことです。

CrossFTPは Windows、Mac OS のほかLinux系OS（Debianベース）でも動作するマルチプラットフォームな無料のFTPクライアントソフトです。ダウンロードは公式サイト（http://www.crossftp.com/download.htm）よりできます。「CrossFTP Pro/Enterprise」は有料版で30日の使用期間後に購入の可否を選択できます。

CrossFTPはドラッグ&ドロップに対応しています。通信方式はFTP/FTPS/SFTPに対応しています。
さらに「WebDAV」「Google Cloud Strage」「Amazon Glacier」のオンラインストレージサービスにも対応しています。

FTPクライアントソフトは自分で製作したWebサイトを管理運営ために必要なソフトです。操作がシンプルなものや、セキュリティを重視したもの、サーバー間のファイル転送が可能なものなど、色々な機能や特徴を持ったソフトがありますが、自分の製作環境にぴったり合うFTPクライアントソフトを見つけて積極的に利用しましょう。