VTuberがオワコンだと言われています。その理由は人気に便乗したバーチャルキャラクターが増加し過ぎて、視聴者が飽きたからだという噂です。不振のために、活動の引退を考えているVTuberもいるようです。VTuberがオワコンなのか否か、色々とまとめてみました。
VTuberという言葉を聞いたことがありますか。YouTuberに似ていますが、YouではなくVとなっていますので、YouTuberとは似て非なるものなのでしょう。VTuberとはいったいどのようなものなのでしょうか。
VTuberのVはVirtual(バーチャル)の頭文字のVなのです。従ってVTuberというのはバーチャルなキャラクターが出演するということになります。バーチャルYouTuber(バーチャルユーチューバー)とも言うのですが、これを略してVTuber(ブイチューバー)と称しているのです。
通常のYouTuberだと生身の人間が出演しますが、VTuberの場合はコンピューターグラフィックスのキャラクター(アバター)が登場して動画配信をします。画像としてはコンピューターグラフィックスのキャラクターが画面に露出されるのですが、音声は人間が発するのが一般的です。
VTuberは単にアバターを用いて本人になり代わって動画配信をするという使われ方に留まらず、積極的にバーチャルアイドルのような存在に発展しています。そのために各企業や自治体までもがVTuberを採用する動きを示しかつ増加傾向です。ゲームソフトのグリーはバーチャルYouTuber事業に100億円を投資することを2018年4月に発表しています。
さらに花王とサンリオも参入をしてきています。また、自治体でもこの動きを捉えており、茨城県は全国に先駆けて2018年8月3日にアニメキャラクターの茨ひよりを公認VTuberに認定しています。この他にもVTuberを利用したファッションショーも企画されているようです。このようにVTuberのキャラクター活動の場は増加しているのです。
VTuber自体の総数は急激な増加によって既に8000人を超えています。またVTuberのサイトの登録者数は2018年7月10日の時点で1270万人となっており、動画再生回数は7億回を軽く突破しているのです。またVTuberという言葉自体の流行が、バーチャルキャラクターの増殖を背景に2018年頃からということを考えれば、急激に増加したといえます。
これはVTuberがもう立派なキャラクターとして認知されていることを示しているでしょう。2019年3月の調査では10代の67%、20代の50%にVTuberが認知されているという結果が出ています。特に若い人の層でVTuberはアイドルキャラクターとして認知され、その数は着実に増加しているのです。
VTuberが現われたのは、2016年12月にバーチャルキャラクターのキズナアイが誕生したのが初めてと言われているので、まだそれほど時間は経過していません。しかし既にVTuberはオワコンだという意見も出ています。VTuberそのものが3DCGを駆使した画期的なものだったのですが、既にオワコンだと言われてしまうのはどういう理由からでしょうか。
オワコンだという意見の理由は、2017年以降の急速にVTuberが増加していった時期は、VTuberを出しさえすればそれで大ヒットになったのに、現在ではVTuberというだけではそれほど魅力を感じる人がいなくなっているということです。確かにキズナアイが出て来た頃は、アバターとしての完成度はそれまでのものと比べて段違いに高かったと言えます。
その結果、若い人を中心として新鮮味のあるVTuberに飛びついたのは事実です。その後、キャラクターが量産されるようになってくると、当初の新鮮味は急速に薄れていったといえます。そのような理由でVTuberは飽きたから既にオワコンだという意見が出て来て、しかもオワコンを唱える人は増加傾向なのです。
確かにVTuberがまだ珍しかった頃は、そこそこ出来が良ければもてはやされたものです。しかしあまりにVTuberが流行になって人気が沸騰してしまったせいで、質が悪くても我も我もと参入し一気に増加してしまったことは否めません。しかし未だに質のよいVTuberは存在しているのです。
さらにVTuberという表現方法に魅力を感じた企業や自治体がVTuberを利用しようとして躍起になっています。つまり一時低迷した質も、今後大資本が入ってくることによって財務上の下支えができ、質の向上も望めるようになるはずです。そもそもまだ社会はVTuberを見捨てた訳ではなく、一時食べ飽きたような状態でオワコンというには早過ぎるといえます。
このような理由から、まだまだVTuberはオワコンではないのです。
それでは今日VTuberがオワコンと言われる理由を突き詰めてみましょう。一時あれほど隆盛を極めたVTuberのキャラクターたちは、技術の進化につれてより鮮やかな映像を身にまとうようになったにもかかわらず、なぜ熱狂的なファンは冷めてしまったのでしょうか。オワコンだと言ってVTuberからファンが離れる理由は何なのでしょう。
VTuberのアバターを自分で本格的に作ろうとすると軽く300万円以上かかってしまいます。歴史的なキズナアイの誕生にはそれ以上の費用と手間がかかっていることでしょう。それでもVTuberの黎明期に尽力した人たちは、アバターの作成に心血を注ぎました。その理由は、アバターを作って表現したいコンテンツがあったからこそなのです。
そのために、自分が表現するのに最適と言えるキャラクターを試行錯誤して作り上げました。その甲斐あってアバターが出来上がった後は、長い間温めてきた良質のコンテンツを思う存分表現したのです。これが面白くない訳がありません。しかしVTuberの人気が出て来ると、二匹目のどじょうを狙ったVTuber支援ツールが登場したのです。
「あなたも簡単にVTuberになれます」というVTuber支援ツールが現われてきました。実際、この支援ツールを使えば数百万円と長い試行錯誤の手間を省いて、少しの操作で一応見栄えのするVTuberが誕生してしまいます。つまり、創業者の産みの苦しみを省略してVTuberのものまねをお手軽にできるようになってしまったのです。
しかしそのようにお手軽に作ったVTuberのアバターには中身がないので、目の肥えた視聴者からは簡単に見破られてしまいます。ところがお手軽の産物のVTuberは後から後から出現してきますので、正に「悪貨は良貨を駆逐する」の格言通りに、VTuberの評判は全体的に低落してしまいました。大半の視聴者は粗雑なものに飽きたのです。
今の状態は一般の視聴者の目に触れやすいVTuberコンテンツの内容がオワコンになってしまっているというのが真相です。一般人にはわざわざVTuberの面白いコンテンツを探し出してまで見ようという意欲はありません。従って、誰か影響力のある人が面白いVTuberを推薦し、それで人気が盛り上がるということでもない限り、復活は厳しいでしょう。
もちろん飽きてオワコンと言っている視聴者を取り戻すためには、何か象徴的な再建策が必要になるかも知れません。第二のキズナアイのようなインパクトのあるキャラクターに活動を開始してもらう必要があるでしょう。そうすれば、もう飽きたからオワコンなどと言わせないはずです。
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