スプレッドシートの大事なセルやミスしたセルに色をつける必要があることは少なくありません。しかしその作業を手動より楽に間違いなく行える、条件付き書式を利用している人は数えるほどです。今回は、スプレッドシート上の作業を楽にする条件付き書式の利用方法をお伝えします。
Googleスプレッドシートには多くの機能がありますが、その中で、最もかける手間の割に効果が大きい機能は「条件付き書式」機能であると断言していいでしょう。
一度条件付き書式を設定しておけば、これまで入力されたデータだろうが、新たに入力されたデータだろうが、しっかりとチェックしてセルに色をつけたり太字にしたりなどの書式を変更してくれるのです。これまでひとつひとつのセルを目で追って対応していたことを思えば、条件付き書式を設定したスプレッドシートとの効率の差は比べるべくもありません。
Googleスプレッドシートの「条件付き書式」とは、その名の通り「条件」を満たした場合に指定した「書式」を施すというものです。
たとえば、記入漏れのセルを赤色の背景にしたり、平均未満の数値を赤字で示したり、未達成の項目のある行をオレンジ色の背景で埋め尽くしたり、チェック欄が「完了」ならば行全体の文字をグレー表記したりといったことを自動で行えるのです。
いずれも、「空白」という条件なら「背景を赤にする」という書式、「そのセルの数値が平均未満」という条件なら「文字を赤にする」という書式、というふうに、一度条件付き書式を設定するだけでスプレッドシート上の書式が自動的に処理されていくのです。
Googleスプレッドシートの条件付き書式は、簡単な条件から関数を使った複雑な条件までさまざまな条件を設定できます。関数を使う、となると敷居が高く感じられますが、あらかじめ用意されている「空白セル」「空白ではないセル」「次を含むテキスト」「完全一致するテキスト」などを使うだけでも、一度に利便性が増します。
以下にこうした条件付き書式の利用例を挙げます。
カスタム数式を利用して日付から曜日を求め、土曜には青色の、日曜には赤色の背景を施した条件付き書式の例です。この例ではたまたま日付が連続していますが、日付が飛び飛びになっていてもしっかりと土日を判断して、その日付の行に色付けをしてくれます。
この例を見ればわかる通りGoogleスプレッドシートでは、カスタム数式の土曜の条件付き書式と日曜の条件付き書式というふたつのルールを並べることで、複数条件を組み合わせた条件付き書式も設定できます。
また、難しい関数をつかわずとも、あらかじめ用意されている「日付(その日付と完全一致する日付のこと)」「次より前の日付」「次より後の日付」を使ったり、これらを複数条件で組み合わせたりすることで日付を条件とした条件付き書式は容易に設定できます。
さらに関数を使ったカスタム数式を利用する方法で、偶数週と奇数週で背景の色を変えたり、過去の日付の行をグレー表記したりといったことが簡単にできるのです。
スプレッドシート上でデータ入力をしていると、データの重複や入力漏れが大きな問題となります。なかでも重複データの確認は人間の目で追うには非常に厳しいものです。しかしGoogleスプレッドシートの条件付き書式機能を使えば、重複データの確認はきわめて容易なものとなります。
上図の例では、同じものの個数を数えるcountif関数をカスタム数式に使って、同じ品名が2個以上ある列を緑色の背景にしています。「ボールペン(赤)」「ノート」「クラフトテープ」の3種類が同じ品名で登場しているのがわかります(赤色、オレンジ色、青色のアンダーラインは見易くするために追加で処理したものです)。
こうして苦労して作ったカスタム数式入りの条件付き書式も1回切りしか使えず、スプレッドシートを作るたびに手間をかけて入力し直さなければならないとしたら、折角の効率の高さが無駄になってしまいます。しかしGoogleスプレッドシートでは、条件付き書式をコピー&ペーストできるので、そんな無駄は必要ありません。
条件付き書式をコピー&ペーストするためには、条件付き書式を施した適当なセルで「コピー」した後、条件付き書式を施したい範囲を選び、そこで右クリック→「特殊貼り付け」→「条件付き書式のみ貼り付け」を選ぶだけです。
するとカスタム数式か否かにかかわらず、条件付き書式が指定した範囲に施され、条件付き書式設定ルールの部分にも、新しい範囲(図の場合はA20〜E31)が追加されたことがわかります。
一度作った条件付き書式をコピー&ペーストすることで、無駄な入力を省いて、どんどん楽をすることができるのです。
ここまではGoogleスプレッドシートの条件付き書式の利用方法をお伝えしてきましたが、ここからは条件付き書式を実際に設定する方法を説明していきます。以下の節では、文具の購入記録用スプレッドシートを例に、記入漏れの空白のセルを赤色で表示する条件付き書式を設定する方法を順に説明します。
条件付き書式を設定するには、条件によって色をつけたい入力範囲を指定します。下図の例では、列をクリックしてC列全体を指定します。
範囲を指定したら、その上で指定範囲のどこかで右クリックしてコンテキストメニューを表示させ、「条件付き書式」を選択します。
1 / 4
続きを読む