隙間時間にちょっとした趣味で、また本格的にイラストレーターのような素敵なイラストをiPadで描いてみたいと思われませんか。今回はiPadを使ってイラストレーターのような素敵なイラスト作成や編集ができる、おすすめアプリを2つ紹介します
現在、さまざまな業界でイラストレーターの需要が増えていると言われています。これまでは、本、雑誌、店先の宣伝ポスターなどでイラストを目にするぐらいでした。しかしインターネットやSNSの急速な普及により、これまで以上に、イラスト画像を使う業種や人々が増えています。
事実、ゲームのキャラクター、ライトノベルなど小説の挿絵、広告のイラスト、テレビ関係のイラストなどの分野で多くのイラストレーターが活躍し、今後もその需要は大きくなることが予想されます。もちろん、収益目的ではなく、趣味や息抜きにイラストを描く人もいます。
特にiPhoneやiPad、またApple製品関連のアプリが登場することにより、これまで以上にイラスト制作が身近で、容易なものになりました。
これまで、イラストを手掛けるイラストレーターの仕事のイメージと言えば、単にインクとペンだけで行う仕事でした。すべて手仕事であるために、作成に時間がかかり、修正が難しく、失敗のきかない仕事でもありました。しかし、デジタル化が進んだ結果、イラストレーターのイラスト制作の仕事も全てコンピューター上で行えるようになりました。
イラスト制作のデジタル化は、作業工程の迅速化、また高いクオリティーの維持、さらには自宅で全てをおこなえるゆえにフリーランスの増加という結果を生み出しました。ところが、iPadが登場することにより、さらなる画期的な変化が、イラストレーターのみならず、一般のイラスト愛好家にもたらされました。
iPadの登場がもたらした画期的な変化は、一般の人でもプロ顔負けのイラストを、iPadで描けるようにもなったことです。イラストレーターの仕事も職人作業、というのがこれまでの概念でした。ですから下積み経験を積んで、晴れてイラストレーターとして独立するという、敷かれたレールに乗らなければ道は開かれませんでした。
ところがiPadの登場は、そうした伝統を壊し、誰でもどこでも、アイデア満載で個性的なイラストを作成できる時代を切り開きました。これはプロとして活躍しているイラストレーターから見れば、大きな脅威であるのは確かですが、プロのイラストレーターにとっても、iPadの登場は歓迎すべきものでした。
例えば、これまでアトリエに隠って行っていた作業を、iPad片手にどこででも行えるようになりました。さらにイラストに掛かる経費も大幅に削減され、しかもクオリティーを落とすことなく作業が行えます。現在プロとして活躍する多くのイラストレーターが、iPadでイラスト制作を行っているのもうなずけます。
iPadでイラストを描く前に覚えておかないと行けないことがあります。画像には、ベクター画像とラスタ画像の2種類が存在することです。この2種類の画像は、目的に応じて使い分けます。ベクター画像を使うものには、イラストや、パンフレット、名刺、ロゴなどの印刷やデザインなどがあります。
ラスター画像を使うものには、写真編集があります。iPadで今回紹介するイラスト作成のアプリはベクター画像を使うものです。これから具体的に、ベクター画像とラスタ画像の違いを説明します。
グラフィックのソフトウェアーには、ペイント系ソフトウェアーと、ドロー系ソフトウェアーの2種類のソフトウェアーがあります。ペイント系ソフトウェアーに用いられるのがラスタ画像で、ドロー系ソフトウェアーに用いられるソフトウェアーがベクター画像です。
ペイント系ソフトウェアーで有名なものが「Photoshop」で、ドロー系ソフトウェアーで有名なのが「Illustrator」です。画像形式が違うので、ベクター形式の画像とラスタ形式の画像の違いをまず理解し、用途に応じて使い分ける必要があります。
ベクター形式は、画像や文字といった2次元情報を数値化して記録する形式のことです。別の言葉で言い換えるなら、ベクター形式の画像は、画像や文字といったデータを向きや長さで記憶させるデータ形式の画像のことで、線画をイメージすると理解しやすいかもしれません。ベクター形式の画像には、メリットとデメリットがあります。
メリットは、画像の拡大や縮小が容易で、サイズ変更をしても解像度が変わらないことです。ベクター形式のデメリットは、写真のような色合いが複雑な画像には不向きであることです。そのため、ベクター形式の画像に適した用途は、イラストや、パンフレット、名刺、ロゴなどの印刷やデザイン、フライヤーなど、単純なイラストや図形を描く場合です。
ラスタ形式は、画像を色のついた点を集めて表現する形式のことです。別の言葉で言い換えるなら、ラスタ形式の画像は、画像や文字といったデータを座標と色で記憶させるデータ形式の画像のことで、点描画をイメージすると理解しやすいかもしれません。
ラクタ形式にも、メリットとデメリットがあります。メリットは、画像が鮮明で色合いや濃淡の微妙な変化を表現することに優れていて、複雑な図形も簡単に表示できることです。ラスタ形式のデメリットは、画像のサイズ変更に不向きであることです。画像を拡大すると画質が低下します。ラスタ形式に適した用途は、写真編集です。
これまで考えてきたように、ベクター形式とラスタ形式という2つの異なるデジタルイラストの形式があり、用途に応じて使い分ける必要があります。ベクター形式とラスタ形式双方のメリットとデメリットを考えた時、イラストやロゴなどの印刷に最も適した物は、ベクター印刷であることが分かります。
イラストやロゴは単純で、サイズ変更をしても、画質は変わりません。そのため大きく印刷しても、小さく印刷してもイラストの品質が落ちることはありません。
iPadでベクター形式のイラストを作成するアプリはたくさんあります。それぞれ機能や使い易さの面で、様々な違いがあり、一重に、どれが最も優れ、どれが最も劣るかと判別することはできません。ユーザーのニーズや目的がそれぞれ異なっているからです。
iPadでベクター形式のイラストを簡単に描ける、と言う観点から、今回は2つのアプリをご紹介します。1つは「Adobe Illustratoe Draw」、もう1つは「Vectornator」です。まず「Adobe Illustrator Draw」から解説します。
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