【クリスタ】CLIP STUDIO PAINTで線画を抽出する方法!写真からライン抽出!
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で線画を抽出する方法を解説します。クリスタで画像・写真を読み込み、画像データからライン抽出して、線画を作成します。また、クリスタは単純な線画だけでなく、トーンを貼った線画を抽出する機能もあります。
目次
- 1クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)はどんなアプリ?
- ・イラストやマンガをデジタル作成できるアプリ
- ・写真や既存画像をマンガのモノクロ背景に加工できる
- 2クリスタの画像読み込み手順
- ・スキャナーやカメラなどの画像をクリスタに読み込み
- ・読み込み後の画像はラスターレイヤーに変更して編集を
- 3クリスタEXで写真から線画を抽出する方法
- ・【ライン抽出】で線画を抽出する方法
- ・【TL変換】でトーンを含めた線画を抽出する方法
- 4クリスタEXで手書き画像から線画を抽出する方法
- ・【輝度を透明度に変換】で線画の抽出が可能
- 5クリスタEXで線画を抽出できないときの対処法
- ・【レベル補正】や【ゴミ取り】で元画像をきれいに
- ・ラスターレイヤーにできない場合に確認すること
- 6クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で楽しくお絵かき!
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)はどんなアプリ?
今回は、世界中のクリエイターに愛用されている描画アプリ、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で、写真などの画像から線画・ラインを抽出して、マンガのモノクロ背景画を作成する方法を解説します。
イラストやマンガをデジタル作成できるアプリ
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)は、世界中のクリエイターが長年愛用している、定番の描画アプリで、イラスト・マンガをデジタル作画するツールとして、初心者からプロまで幅広い層のユーザーのニーズに応えています。イラスト・マンガに係るプロ養成所の教材としても採用されている信頼性の高い作画ツールでもあります。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)は、PC(Windows・Mac)だけでなくiPad版もリリースされ、ペンタブツールとしても愛用されています。
写真や既存画像をマンガのモノクロ背景に加工できる
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)を使えば、写真や既存画像をマンガのモノクロ背景に加工できます。写真・画像をデジタルで読み込み、線画・ラインだけ取り込むこともできますし、モノクロ加工して適度に透明度を調整して遠近感を出すこともできます。
デジタル作画ツールのクリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)を使えば、こうしたモノクロ背景画の画像処理は簡単な手順で済ませられるので、マンガ背景の作成に活用すれば作業効率につながり、且つ、美しい描画で背景を再現できて便利です。
ぜひ、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)による写真・画像読み込み、線画・ライン抽出処理の手順をマスターして、モノクロ背景画をオリジナルのマンガ作画に活用してください。
クリスタの画像読み込み手順
まず、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)の画像読み込み手順について解説します。
スキャナーやカメラなどの画像をクリスタに読み込み
始めに、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で、スキャナーで取り込んだ画像やカメラ撮影により写真を読み込みます。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)の画面の上部に表示されているツールバーから「ファイル」→「読み込み」→「画像」と進み、画像・写真が保存してある場所を指定して、データを読み込みます。
読み込み後の画像はラスターレイヤーに変更して編集を
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で画像・写真データの読み込みを無事に終えたら、次に、レイヤーを「ラスターレイヤー」に変換します。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で画像・写真データの読み込みを終えた直後は「画像レイヤー」として設定されますが、「画像レイヤー」のままでは編集ができません。そのため編集可能な「ラスターレイヤー」に変換する必要があります。
まず、画像・写真データ読み取り後に、レイヤーパレットを確認しましょう。「画像レイヤー」として読み込まれていることを確認したら、レイヤーをクリックして選択し、画面上方のメニューバーより、「レイヤー」→「ラスタライズ」を選択します。
レイヤーパレットを見ると、「画像レイヤー」から「ラスターレイヤー」に変換されていることを確認できます。
必要に応じて画像をモノクロ化して編集しよう
読み取った画像・写真データを「ラスターレイヤー」に変換できたら、画像をモノクロ化してみましょう。モノクロ化すると輝度に応じて適切な白黒画像に変換してくれます。
まず、レイヤーパレットで画像・写真データの「ラスターレイヤー」を選択し、「レイヤープロパティ」の「表現色」の項目で「モノクロ」を選択します。
画像カラ―が元の輝度に合わせてモノクロに変換されるので、「レイヤープロパティ」の「色の閾値」の項目のスライダーを左右に動かして、行き過ぎたモノクロの輝度変換・白黒度合いを調整します。
クリスタEXで写真から線画を抽出する方法
次に、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で写真から線画を抽出する手順について解説します。
【ライン抽出】で線画を抽出する方法
まず、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)のレイヤー編集機能の「ライン抽出」アイコンを使って、線画を抽出する方法を解説します。
始めに元レイヤーをコピーしておく
レイヤーに載っている画像を加工して「ライン抽出」する際に、バックアップとしてレイヤーのコピーをとっておくと安心です。今回はコピーしたレイヤーの画像を加工してライン抽出していきます。
レイヤーコピーをとるには、まず、元レイヤーをクリックして選択します。次に、レイヤーパレットにある「コピー」アイコンをクリックすると、元レイヤーの上段にコピーレイヤーが作成されます。
「ライン抽出」アイコンをクリックする
コピーレイヤーを作成したら、次はコピーレイヤーをクリックして選択し、レイヤープロパティ―内にある「ライン抽出」アイコンをクリックします。
ライン抽出モードが有効化され、ライン抽出の条件を設定する項目が表示されます。この状態で既に画像が加工され、ライン抽出された画像に表示が切り替わります。ちなみに「ライン抽出」アイコンを再度クリックするとライン抽出モードが無効化され、元の画像に戻せます。
次に主要な項目の設定について解説します。
階調化してから抽出
「階調化してから抽出」は、線画を作成するときに使用する「階調化」処理を行うかどうかを選択できます。「階調化」とは、線画処理する際の色構成を、輝度に応じて真っ黒と真っ白だけで構成する加工法です。
「階調化」を行うと、輝度に応じて白黒のどちらかに振り分けられるので、中間色(グレー)は使用されずに線画処理されます。そのため微妙な輝度の表現がなくなり、風景画もイラスト風にデフォルメされた仕上がりになります。
写真のリアルさや輝度のニュアンスを残したい場合は、チェックを外しておく方が無難です。
黒ベタ閾値
「黒ベタ閾値」は、黒で塗る範囲の広さです。値を上げればそれだけ余白の少ない画像になります。
ライン幅調整
「ライン幅調整」は線画を作成する際の、ライン幅(ラインの太さ)を設定します。目安として、プレビュー画面より仕上がりの方がライン幅が細くなる傾向があるので、若干太めに設定すると良いでしょう。
エッジ閾値
「エッジ閾値」は線画を作成する際の、線数の調整です。値が高いほど線画で利用される線数が多くなります。
検出方向
「検出方向」は線画のニュアンスを調整するときに利用します。複数の方向を選択でき、選択方向の兼ね合わせで微妙なニュアンスを制御できます。
表現色
マンガの原稿など、線画のカラーをモノクロに固定する場合は、「表現色」で「モノクロ」を選択します。モノクロを選択した場合は、その下段にある「色の閾値・アルファの閾値」の項目は特に触れることなくデフォルト設定のままにします。元画像の輝度に応じて適切なモノクロ色に変換されます。
仕上げ
「ライン抽出」アイコンをクリックした状態(ライン抽出モードの有効化)で、各項目を調整して、自分の好みの作風で線画を仕上げましょう。この状態であればいつでも元の原画に戻せます。
【TL変換】でトーンを含めた線画を抽出する方法
次に「TL変換」の機能を使って、トーンを含めた線画を抽出する方法を解説します。クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)では、通常のライン抽出機能に加え、トーンを含めた線画を抽出することが可能です。
「TL変換」機能を使うと、マンガの背景画のように、線画に陰影をつけるトーンを加えて抽出します。また、「TL変換」機能を使う際に気を付けるべき点が、一度処理を実行すると原画に戻せなくなるということです。「TL変換」処理を行うと、線画のレイヤーと別にトーンのレイヤーも作成され、原画の要素が分断されてしまいます。
そのため、「TL変換」処理を行う際はバックアップレイヤー(コピーレイヤー)をとっておくことをおすすめします。
「TL変換」処理を行う
「TL変換」処理を行う場合は、前述したライン抽出の手順を終えて線画を作成した後に、「レイヤーのLT変換」ボタンをクリックします。
線画の描画が終わったら[レイヤーのLT変換を実行]をクリックします。「レイヤーのTL変換」のウインドウが表示されるので「トーンワーク」にチェックを入れ、画像の仕上がりを確認するために「プレビュー」にチェックを入れます。
「トーンワーク」の傘下にある「階調化」の項目では、2つのトーンパターンを設定できます。
「TL変換」処理を行うと、線画(輪郭線)のレイヤーに加えて、「トーンワーク」の傘下項目の「階調化」で設定した二枚のトーンレイヤーが作成されます。
この時点で線画(輪郭線)レイヤーのカラーが中間色(グレー)になっているので、線画(輪郭線)レイヤーをクリックして選択し、「表現色」の項目で「モノクロ」に設定しておきましょう。元画像の輝度に応じて適切なモノクロ色に変換されます。
クリスタEXで手書き画像から線画を抽出する方法
次に、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で手書き画像から線画を抽出する手順について解説します。
【輝度を透明度に変換】で線画の抽出が可能
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で手書き画像から線画を抽出する場合も、前述した、「通常の画像・写真を取り込んで線画・ライン抽出する方法」で対応できますが、手書きの具合によっては透明度が粗く、うまく線画・ラインを抽出できない場合があるでしょう。
その様な透明度が粗い場合は、画面上方のツールバーから「編集」→「輝度を透明度に変換」を選択すると、手書き線画以外の余白の透明度を上げられ、手書き線画のみを抽出できます。
クリスタEXで線画を抽出できないときの対処法
次に、レイヤーの透明度が粗いなどの理由で、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で線画を抽出できないときの対処法について解説します。
【レベル補正】や【ゴミ取り】で元画像をきれいに
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で手書き画像から線画を抽出する際に、前項で紹介した方法を行ってもうまく処理できない場合は、余白の透明度を上げる方法として、「レベル補正」や「ゴミ取り」の機能を使って、元画像をきれいにする方法があります。
これらの方法で元画像の余白の透明度を上げてから、再度ライン抽出を試すとうまくいく場合があります。
レベル補正の処理手順
元画像の余白の透明度を上げるために、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)でレベル補正の処理を行うには、まず、レイヤーパレットで読み込んだ手書き線画のレイヤーを選択し、「新規色調補正レイヤー」→「レベル補正」まで進みます。
「レベル補正」のウインドウが表示されるので、ウインドウ内の「入力」の項目にある、ハイライト(画像の最も明るい部分を調整する)のスライドバーでレベル補正します。感覚としては、スライドバーを中央寄りに移動して、余白部分の透明度が上がるように仕上がりを調整します。
ゴミ取りの処理手順
元画像の余白の透明度を上げるために、クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)でゴミ取り処理を行うには、まず、ツールパレットで「ごみ取りツール」アイコンをクリックします。
*クリスタの設定によっては「ツールパレット」→「線修正ツール」→「ごみ取りサブツールグループ」→「ごみ取りツール」の流れでクリックします。
表示されたごみ取りの「ツールプロパティ」で、「モード」の項目を「白地の中の点を消す」に設定し、任意で「ごみのサイズ」の値を変更・調整します。
設定が完了したら、ゴミの部分をドラッグで囲んでみましょう。「ごみのサイズ」の項目で設定したサイズより小さいゴミが消去されます。この方法でうまく除去できないゴミに関しては、ツールパレットの「消しゴムツール」を併用すると良いでしょう。
ラスターレイヤーにできない場合に確認すること
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で画像・写真を読み込んだ後、レイヤーをラスターレイヤーに変換しようとしても反応がない場合は、改めてレイヤーを確認してみましょう。既に何かのはずみで、ラスターレイヤーに変換されている可能性もあります。
再度レイヤーを確認してもやはり画像レイヤーで、ラスターレイヤーに変換できない場合は、一度クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)のソフトを再起動した後、改めて変換操作を行ってみましょう。ラスターレイヤーにうまく変換できる場合があります。
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)で楽しくお絵かき!
クリスタ(CLIP STUDIO PAINT EX)を使って、画像・写真を下絵にした背景線画を作成してみましょう。クリスタでは、画像・写真を読み込んで、画像データからラインを抽出して簡単に背景線画を作成できます。
また、クリスタは単純な線画を抽出するだけでなく、「TL変換」機能という、トーンを貼った線画を抽出する機能もあります。「TL変換」で抽出したトーンを貼った線画は、そのままマンガの背景画に利用できるので、マンガクリエイターにとっては力強い便利な機能です。
線画をマンガの背景画に利用する場合は、線画のカラーをモノクロに設定することを忘れないようにしましょう。「表現色」で「モノクロ」を選択すれば、元画像の輝度に応じて適切なモノクロ色に変換されます。