クリスタでカラーモードをRGBではなくCMYKに変換して出力する設定方法を解説!
クリスタでカラーモードをCMYKに変換して出力する設定方法を解説します。クリスタで作成した作品を印刷所に出すときはカラーモードをCMYKに設定することが基本ですが、RGBをCMYKに変換すると色がくすむ場合があるので、印刷所の「色校正」を良く確認しましょう。
目次
クリスタ(クリップスタジオ)とは?
「クリスタ」の愛称で知られる、イラストレーター・マンガ家御用達の作画アプリを知っていますか?この「クリスタ」は世界的にも実力が認められ、全世界で400万人のクリスタユーザーを抱える、定番のグラフィックメイカーアプリです。
「クリスタ」の正式名は「CLIP STUDIO PAINT」(クリップスタジオ)と言い、当初はPC専用の作画アプリでしたが、2017年よりiPad版クリスタがリリースされて話題になりました。
マンガ・イラスト製作ができる
「クリスタ」(クリップスタジオ)は、プロ仕様のイラスト・作画機能を装備しているので、プロから一般アーティストまで、幅広いユーザー層を持っています。「クリスタ」(クリップスタジオ)を使えば、アニメ作成も可能です。
「クリスタ」は、世界中にユーザーがいるので、言語も多言語に対応しています。日本語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、中国語(繁体字)、英語、韓国語で表示対応しています。PC版クリスタはWindows版・macOS版がリリースされており、2017年11月にリリースされた iPad版クリスタも好評です。
PC・タブレットからでも使用可能
「クリスタ」(クリップスタジオ)は、PC版クリスタがオリジナル版であり、フルスペック版ですが、iPad版クリスタもほぼ全機能を利用できる仕様になってます。
iPad版クリスタでは機能が充実しすぎていて、かえってクリスタの操作性に手間がかかるという意見もあり、ユーザーの間では左手で使えるクリスタ操作用サブコントローラーを併用する方法が工夫されています。
PC版クリスタ・iPad版クリスタの間では、クラウドストレージを使ってクリスタファイルを共有できます。
クリスタのカラーモードのCMYKとRGBについて
今回は、そんな「クリスタ」(クリップスタジオ)に関する基本的な知識として、カラーモードのCMYKとRGBについて解説します。カラーモード「CMYK・RGB」は「クリスタ」(クリップスタジオ)に限ったカラー規格ではなく、アドビのPhotoshopにも共通する一般的なデジタル作画の基本知識なので、理解しておいて損はありません。
カラーモード「CMYK・RGB」の変換処理は、主に作品を出力(印刷)するときに留意するべきポイントです。詳細は後述します。
CMYKは色料の三原色
CMYKは「色料の三原色」と呼ばれ、Cyan(シアン/青)・Magenta(マゼンタ/赤)・Yellow(イエロー/黄)の3色に基調カラーの黒(K)を加えた4つの色項目で色全体のバランスを調整します。
CMYKは「色料の三原色」と呼ばれる所以は、主に印刷に対応する色調整であるためです。本来、色の三原色は青・赤・黄の3つですが、印刷の場合はこの3つだけでは色が安定しないため、調整役の基調カラーとして黒を加えています。ちなみに黒を示す「K」はKUROの「K」ではなく、「Key plate」(キー・プレート)の頭文字をとっています。
CMYKは色を重ねる(濃くする)ほどに、全体が黒に近づく特徴があります(減法混色)。
RGBは光の三原色
RGBは「光の三原色」と呼ばれ、Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)の3つの色項目で色全体のバランスを調整します。
RGBは「光の三原色」と呼ばれる所以は、主にモニター表示(テレビ・PCディスプレイなど)に対応する色調整であるためです。
RGBはCMYKに比べて、鮮やかな色彩を表現できます。1つの色を256段階で調整できるので3色それぞれで調整を行うと、計算上約16.8百万(256 x 256 x 256 = 25616,777,216)通りの色を再現できることになります。
CMYKは0~100%で1つの色を調整できますが、黒は調整用の基調カラーなので省くと、計算上の再現できる色は百万通りになるのでCMYKの方が表現できる色のバリエーションは少ないことになります。
RGBは色を重ねる(濃くする)ほどに、全体が白に近づく特徴があります(加法混色)。
【小ネタ1】色調整しても条件・環境によって色が変わる?
CMYK・RGBで色調整しても、条件・環境によって見た目・印象が変わる場合があります。CMYKであれば、印刷する紙・インク・プリンターのスペックによって仕上がりが変わる可能性があります。RGBであれば、モニターのスペックによって光沢・色彩機能が違うので出力デバイスを変えると、カラーの印象が変わる可能性があります。
【小ネタ2】RGBでの印刷はNG?
ペーパー出力(印刷)にだす場合は、カラー規格はCMYKで持ち込むのが基本ですが、前述の通り、RGBよりCMYKの方が再現できる色のバリエーションが少ないため、RGBをCMYKに変換すると全体的に色がくすんで見える場合があります。そのため、ペーパー出力(印刷)にだす場合はできるだけ早い段階からCMYKで色調整して仕上げる方が良いでしょう。
また、CMYKに変換して投稿しても、印刷所の紙・インク・プリンターのスペックによってイメージと違う印刷に仕上がる場合があります。そうしたCMYK印刷のトラブルを避けるためにも、印刷所が提供する「色校正」をよく確認しましょう。
「色校正」とは、実際にその印刷所で印刷した場合の色印刷のサンプルです。実際の仕上がりを見て、ペーパー出力(印刷)にだす作品のCMYKの色バランスの微調整を行えます。
クリスタでRGBからCMYKに変換して出力する設定方法
次に、クリスタ(クリップスタジオ)でクリスタファイルをRGBからCMYKに変換して出力する(書き出す)設定方法を解説します。
ファイル形式と特徴
まず、クリスタで書き出せる画像ファイル形式とその特徴について、下記にまとめました。
ファイル形式 | 特徴 |
---|---|
JPEG | 一般的によく利用される画像形式で、圧縮してメール添付する場合などによく利用されます。ただし画像の透過処理はできません。 |
PNG | 画像の透過処理ができるため、Webに投稿する画像や文書に挿入する画像によく利用されます。画像の圧縮はできません。また、CMYKには変換できません。 |
TIFF | CMYK変換に対応しているので、印刷時に利用される機会が多い画像形式です。 |
BMP | Windowsの印刷標準形式ですが、使用頻度は少ない画像形式です。 |
Targa | アニメーション作品に利用される画像形式です。 |
Adobe Photoshopドキュメント | 印刷所に作品を投稿する場合は、最も使用頻度が高い画像形式です。印刷所で使用している画像管理アプリがPhotoshopの場合はこの画像形式を利用します。レイヤーデータをそのまま引き継げるので、印刷所とのやり取りで、修正・編集・微調整に対応できる画像形式です。 |
Adobe Photoshopビッグドキュメント | 画像データが大きい場合に利用する、Photoshopドキュメントファイルです。 |
書き出し設定
ファイルの書き出しを行うには、まず、クリスタの画面上方のメニューバーから「ファイル」→「画像を統合して書き出し」まで進み、クリスタで書き出しを行う画像ファイル形式を選択します。
画像ファイル形式を選択すると、設定画面に切り替わります。指定した画像ファイル形式によって若干設定項目が異なりますが、共通した項目は「プレビュー・出力イメージ・表現色・出力サイズ・拡大縮小時の処理」です。
「プレビュー」は、チェックを入れるとファイル書き出し時にプレビューを表示します。
「出力イメージ」は、書き出しファイルにトンボや枠線を加えるなどの指定ができます。
「表現色」は、今回のメインテーマの色構成(カラーモード)の調整を行います。「最適な色深度を自動判別・モノクロ2階調(閾値)・モノクロ2階調(トーン化)・グレースケール・RGBカラー」の5種類のカラーモードから選べます。
JPEG・TIFF・Adobe Photoshopドキュメント・Adobe Photoshopビッグドキュメントを指定した場合は、ICCプロファイル(印刷所が指定するプロファイル)の埋め込みを設定でき、「CMYK」を選択できます。
「出力サイズ」は書き出しファイルのサイズを指定します。サイズを縮小すると画像品質がおちるので、印刷する場合は元データのサイズ(100%)で良いでしょう。
「拡大縮小時の処理」は、書き出しファイルのサイズの拡大・縮小を設定した際に、書き出すファイルの処理を設定します。「イラスト向き・コミック向き」から選択でき、「イラスト向き」の場合は「品質優先」で設定され、「コミック向き」の場合は「高速・品質優先」から連択できます。
上記の項目の設定が終ったら、画面右上の「OK」をクリックすれば、クリスタファイルを書き出します。「プレビュー」にチェックを入れている場合は、プレビュー画面が表示されます。
複数ページの一括書き出し(EXのみ)
クリスタの上位版の「クリスタEX」であれば、複数ページの一括書き出しが可能です。
クリスタの画面上方のメニューバーから「ファイル」→「複数ページ書き出し」→「一括書き出し」まで進み、一括書き出しを行うファイルの、画像ファイル形式・ページ範囲・保存先などを選択・設定します。
その後は、前項で説明した、書き出し画像ファイルの設定画面が表示されるので、同じ手順で進めれば、クリスタファイルを一括で書き出せます。
CMYK変換時の問題点
CMYK変換時の問題点としては、前述した通り、CMYKはRGBより色のバリエーションが少ないので、変換すると色がくすんでしまう場合があります。こうした問題点を補正する方法として「カラープロファイルプレビュー」を利用する方法があります。
「カラープロファイルプレビュー」の設定は、クリスタの画面上方のメニューバーから「表示」→「カラープロファイル」まで進み、表示されてた「プレビュー設定」の画面で行います。
設定項目は「プロファイル・レンダリングインテント・使用ライブラリ・色調補正・設定の適用範囲」の5つになります。「プロファイル」は印刷所が指定するプロファイル(ICCプロファイル)を設定します。大抵は「Japan Color 2001 Coated」を指定されます。
「レンダリングインテント」はCMYKでカラー指定できない色(指定範囲を外れた色)の振り分けバランスを設定します。「知覚的」「彩度」「相対的な色域を保持」「絶対的な色域を保持」の4つのモードから自分の趣向に合ったモードを選択します。
「使用ライブラリ」は、カラー変換に使用するCMYKのライブラリを指定します。印刷所のアプリがPhotoshopの場合は共通使用できる「MicrosoftICM」を指定するとよいでしょう。
「色調補正」は、チェックを入れるとCMYKのカラー補正・微調整が可能です。
上記の4項目の設定が終ったら、「設定の適用範囲」として「キャンバスに保存する」にチェックを入れて「OK」をクリックすれば設定完了です。
クリスタのカラーモードをCMYKに変換して色の世界観を変えよう
クリスタのカラーモードをCMYKに変換して、クリスタの色構成を調整する方法をマスターしましょう。クリスタで作成した作品を印刷所に投稿するときは、クリスタファイルをCMYKに変換して持ち込むのが基本ですが、RGBをCMYKに変換すると色がくすむ場合があります。
そうしたリスクを回避するために、印刷所が配布・提供している「色校正」を良く確認しましょう。「色校正」を見れば実際の仕上がりを確認できるので、自分のクリスタ作品の色バランスの微調整を行えます。
RGBはモニター用、CMYKは印刷用のカラーモードであることを良く認識して、クリスタの色構成の機能を活用しましょう。