YouTubeには「歌ってみた・演奏してみた」の動画がたくさんアップされていますが、著作権は問題ないのでしょうか。この記事ではYouTubeで「歌ってみた・演奏してみた」の動画をアップするときの著作権についての注意点と収益を受ける方法について解説します。
YouTubeにはプロの歌手や演奏家の演奏を素人がカバーした「歌ってみた・演奏してみた」動画がたくさんアップされています。
中には、YouTubeやTwitterなどのSNSにアップした動画から注目されてメジャーデビューを果たす人も出てきているので、歌や演奏に自信がある人は「歌ってみた・演奏してみた」動画にチャレンジしてみたいという人も多いことでしょう。
中には動画を収益化して収入を得ている人もいますが、誰かが著作権を持っている曲をカバーしたYouTubeの「歌ってみた・演奏してみた」動画の著作権関係はどうなるのか気にあるところです。YouTubeでは著作権についてどのようになっているのか見ていきましょう。
YouTubeでは包括的利用許諾契約を結んでいるので、ルールを守れば「歌ってみた・演奏してみた」動画をアップしても問題はありません。
日本で音楽作品の著作権を管理している団体は、現在6団体あります。その中でYouTubeはJASRAC及びイーライセンスと包括的利用許諾契約を結んでいます。包括的利用許諾契約というのは、本来は個別に動画投稿者が著作権者に作品の利用の許諾を取らなくてはいけないところを、YouTubeが代わりにJASRACとイーライセンスと契約を結ぶ、というものです。
包括的利用許諾契約を結んでいるので、JASRACとイーライセンスに登録されている楽曲を、一定のルールに則って演奏してカバーした「歌ってみた・演奏してみた」動画をYouTubeに投稿しても問題はありません。
現在日本で発売されている楽曲の98%以上がJASRACに著作権管理を委託しているので、メジャーなレコード会社から発売されている有名な楽曲のカバー演奏動画ならほとんど大丈夫だと考えていいでしょう。
ただし、本当にJASRACもしくはイーライセンスに登録されている楽曲かどうかは、その都度確認する必要があります。JASRACもイーライセンスも登録楽曲をホームページで公開しているので、投稿する前に必ず確認しましょう。
尚、包括的利用許諾契約を結んでいるからといって、JASRACもしくはイーライセンスに登録してある楽曲を無条件にどんな形でもYouTubeにアップしてもいいわけではありません。YouTubeに投稿するためには、様々な条件があります。
次からご紹介する条件を守らずに投稿した場合には、動画の削除だけではなく、最悪の場合にはチャンネル削除やアカウント停止という処分を受けてしまう可能性もあります。
YouTubeに「歌ってみた・演奏してみた」動画を投稿するときには、他の人が著作権を持っている作品を使わせていただいているのだ、ということを良く念頭に置いて、ルールを守って投稿しましょう。
YouTubeでは包括的利用許諾契約によりJASRACとイーライセンスに登録してある楽曲をカバー演奏をした「歌ってみた・演奏してみた」動画の投稿が可能です。しかし、JASRACとイーライセンスに登録してある楽曲ならどんな条件でも投稿が可能かというと、そんなことはありません。
JASRACとイーライセンスに登録してある楽曲をカバー演奏した「歌ってみた・演奏してみた」動画の投稿にはルールがあります。まずは投稿してはいけないカバー演奏についてみていきましょう。
まず投稿してはいけない動画というのは、販売されている音源を使ったカバー演奏動画です。販売されているCDやダウンロード販売されている音源を使ってのアップロードは、JASRACとイーライセンスに登録されている楽曲であっても禁止されています。
気を付けなくてはいけないのが、シングルやミニアルバムに入っていることが多いカラオケ版です。伴奏だけで歌が入っていないカラオケ版に自分の歌を付けて投稿したくなる気持ちもわかります。しかし、CDやダウンロードで販売されている音源の投稿はすべて禁止されているので、シングルやミニアルバムの中のカラオケ版の利用も絶対にNGです。
また、カラオケ店で歌った動画を投稿している人もいますが、実はカラオケ店で流れている伴奏に自分の歌や演奏で旋律を付けた動画も、YouTubeへの投稿が禁止されています。
カラオケ店用の音源を作成している会社はそれぞれ個別にJASRACやイーライセンスと包括的利用許諾契約を結んで、各社でコストをかけて制作しています。そのために「隣接的著作権」というのが認められています。
隣接的著作権というのは、楽曲に直接の著作権を持たない演奏者であっても、その曲を販売するために重要な役割を持っているということで、演奏者や音源の作成者に認められる権利です。オリジナル音源をYouTubeに投稿することが禁止されている理由も演奏者の隣接的著作権があるためです。
カラオケ店用の音源を作成している会社にも隣接的著作権を認められているために、YouTubeに投稿することは禁止されています。注意しましょう。
それではYouTubeにJASRACとイーライセンスに登録されている楽曲をどのようにカバーしたら投稿可能なのか、ここから見ていきましょう。
まず気を付けなくてはいけない点は、CDやダウンロード販売などで販売されている音源を使わないことです。また、YouTubeの公式チャンネルなどにアップされている、本来なら販売されているはずの音源も使わないことです。またカラオケ店の音源も使わないことです。
そこに気を付けて、次のような方法でカバーした演奏なら「歌ってみた・演奏してみた」動画をYouTubeに投稿することが可能です。
ピアノやギターなどでの弾き語りや、自分たちでバンドやアンサンブルを組んで、販売されている楽譜通りに演奏したカバー曲ならYouTubeに投稿できます。どんな形であれ、オリジナル音源を使わずに、自分たちで演奏した伴奏なら大丈夫です。
ただし、大きく曲を改変して、本来の楽譜とは全く違う形にアレンジする場合には、著作者人格権の侵害を問われる可能性があります。例えば2017年にパーマ大佐が「森のくまさん」の替え歌を作ったところ、歌詞の翻訳者から訴えられそうになる、という問題がありました。
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