Audacityでノイズを除去する方法!設定方法とエフェクトの解説!
Audacityによるノイズ除去・音割れ除去の方法を解説します。また、Audacityのノイズプロファイルの使い方についてレビューします。ノイズプロファイル取得後はパラメーターの調整が必要です。ノイズプロファイル処理の仕上がりはプレビューで確認しましょう。
目次
- 1Audacityで除去するべきノイズはどんな音なの?
- ・サーという雑音
- ・ブーンという雑音
- ・家電製品の動作音以外の雑音
- ・クリックノイズ
- ・音割れについて
- 2ノイズ除去できるAudacityをダウンロードしてみよう!
- ・ダウンロード方法
- ・セットアップ方法
- 3Audacityのエフェクトでノイズ除去する
- ・コピーを作成する
- ・ホワイトノイズをノイズプロファイルで除去する
- ・クリックノイズを除去する
- ・音をミュート(無音)にする
- ・エフェクトのエコー機能
- 4Audacityのノイズを更に処理する
- ・無音部分のカット
- ・音を平均化する
- ・ファイルのレベルの平均化
- 5Audacityのノイズプロファイルによるノイズ除去
- ・パラメーターの設定
- ・プレビューで音声を微調整
- 6Audacityでノイズを除去してクリアな音声を!
Audacityで除去するべきノイズはどんな音なの?
無料で利用できる音声編集アプリとして定評があるアプリとして「Audacity」というアプリがあります。「Audacity」は海外由来のアプリですが、現在ではインターフェイスがほぼ日本語訳されているので、日本人ユーザーが利用する上で特に支障はないでしょう。
対応OSは「Windows Vista移行・Mac OS X 10.7 以降・Linux(ソースコード)」にも対応しています。
「Audacity」は無料版でもプロレベルの音声編集機能を利用できると評価されています。また、「Audacity」の音声編集機能にはノイズ除去機能があり、各種ノイズに対応しています。
今回は、そんな音声編集アプリとして好評な「Audacity」のノイズ除去機能についてレビューします。まず、「Audacity」のノイズ除去機能で編集できるノイズの種類について、以下にまとめました。
サーという雑音
ノイズの種類として、まず、「サー」と聞こえる雑音があります。いわゆる「ホワイトノイズ」と呼ばれるこの種の雑音は録音時にマイク入力のボリュームが必要以上に大きく設定されていたために、必要以上にマイク感度が上がり、結果的に不要な音(ノイズ)を拾ってしまったときに聞こえる雑音です。
また、録音レベルが低かったときに、録音後に編集機能を使って音量を上げたときにも発生することがあります。
「ホワイトノイズ」は周波数の波形でいうと、全ての揺れ幅(強度)が同じになるノイズのことで、この「ホワイトノイズ」に対して「ピンクノイズ」とは「ザー」と聞こえる雑音で、周波数の波形でいうと、揺れ幅(強度)が反比例の形になる音をいいます。
ブーンという雑音
また、ノイズの種類として、「ブーン」と聞こえる雑音があります。この種の雑音は機械音をマイクが拾っている場合が多く、PCや家電品の近くで録音したときに発生しやすい音といえます。また、マイクの性能が悪い・不具合が発生しているときにもこうした雑音は拾いやすいといえます。
家電製品の動作音以外の雑音
機械やマイク由来のノイズではない雑音もあります。自然発生的に鳴っている雑音をマイクが拾う場合があるので、(野外録音は特に)機械的なスペックの準備が万端でも、ノイズを拾う可能性はあります。
クリックノイズ
「パチッ」「ピチッ」というクラック音・クリックノイズが録音に混じることがあります。この種のノイズは基本的に自然界の音ではなく、電気的な由来で発生していると判断されます。電気的な操作が原因である場合がほとんどですが、原因・音の発声元が特定できない場合もある雑音です。
音割れについて
音割れとは、特定の周波数帯に音量の負担がかかり過ぎて、結果的にスピーカーなどの音声出力側が対応しきれなくなるために発生する音の不具合です。音割れの対処法として、音割れを起こしている周波数帯の音量を下げる方法があります。
ただ、音割れと一言で言っても、対処が難しい音割れも多く、簡単に解決策を見極められない音割れがあります。そうした音割れに対しては、解決策と思われる方法を1つずつ試しながら、音割れの改善を模索するという作業が必要になります。
ノイズ除去できるAudacityをダウンロードしてみよう!
次に、ノイズ除去機能を持つ、「Audacity」のダウンロードは方法を解説します。
ダウンロード方法
「Audacity」のダウンロードは公式サイトから行います。「Audacity」公式サイトにアクセスし、サイト上の「Download Audacity」をクリックします。
「Download Audacity」をクリックすると、Windows・Mac・Linuxのインストーラーダウンロードのリンクが表示されるので、任意のOSを選んでクリックすると、Audacityのインストーラーをダウンロードできます。
ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックすると、「Audacity」のインストールが始まります。「Audacity」のインストールを進める上で、特に難しい過程はありません。初めに使用言語として「日本語」を選択し、その後は手順に従って進めればインストールできます。インストールが完了すると自動的に「Audacity」が立ち上がります。
セットアップ方法
「Audacity」で編集したい音声ファイルを「Audacity」にセットアップするには、音声ファイルをドラッグ&ドロップで「Audacity」の編集画面に移動するか、「Audacity」画面の上方メニューバーから「ファイル」→「開く」をクリックして、エクスプローラーから編集したい音声ファイルを指定します。
Audacityのエフェクトでノイズ除去する
次に、「Audacity」のエフェクト機能を使ってノイズ除去・カットする方法について解説します。
コピーを作成する
まず、音声ファイルのノイズ除去・カット作業を行う際は、リスク対策として事前に元ファイルのコピーをバックアップとして作成しておきましょう。ノイズ除去・カット作業が失敗して元ファイルのデータが使えなくなる可能性も否定できないので、コピーをとっておいた方が無難です。
ホワイトノイズをノイズプロファイルで除去する
「サー」といったホワイトノイズを除去・カットするには、「Audacity」の画面上方メニューバーの「エフェクト」から「ノイズの低減」を選択し、ホワイトノイズに対してノイズプロファイルを取得し、パラメーターの設定でホワイトノイズに対して「ノイズ低減・感度・周波数平滑化」の項目の調整を行います。
プレビューでホワイトノイズ除去の状況・音の仕上がり・バランスを確認しながら、最終的に理想的なホワイトノイズの除去を模索します。ノイズプロファイルを使った、詳しいホワイトノイズの除去・カットの手順は後述します。
クリックノイズを除去する
「Audacity」でクリックノイズの除去・カットを行うには、まず、ノイズ除去・カットを行う部分を指定し、メニューから「エフェクト」→「クリックノイズの除去」をクリックします。
設定ポップアップ画面が表示されるので「閾値の選択」「最大スパイク幅」の項目のレベルを調整した後、「プレビュー」をクリックして音の仕上がりを確認しながら、最終的に音のバランスが整ったら「OK」をクリックします。
各項目のレベル調整の目安として、「閾値の選択」はレベルを下げるほどノイズ感度が高くなり、「最大スパイク幅」はレベルを上げるほどノイズ感度が高くなります。
音をミュート(無音)にする
音声ファイルの特定部分の音を完全にミュート(無音)したい場合は、ミュート(無音)アイコンを使用します。使用手順は、ミュート(無音)する部分を指定して、ミュート(無音)アイコンをクリックします。
指定された部分が完全にミュート(無音)されます。
エフェクトのエコー機能
ノイズ除去機能ではありませんが、「Audacity」のエフェクトにはエコー機能があります。
エコー機能とは、一般的に「反響・残響・リバーブ」と呼ばれ、音楽作成現場ではエコー機能に対して「ディレイ」という呼び名もありますが、基本的には全て同じエコー効果で、分かりやすくエコー効果を例えるなら「山びこ」のような音の効果を指します。
「Audacity」の「エフェクト」には「エコー」という項目が用意されており、「Audacity」の画面上方のメニューバーから「エフェクト」→「エコー」を選択すると、エコー設定・調整用のポップアップ画面が表示されます。
ポップアップ内のエコーに関する設定を行った後、「OK」をクリックすると音源にエコー効果のエフェクトをかけられます。
音源にエコー効果をかけることで、ノイズが目立たなくなるように調整できる場合があるので、エコー効果が音源のノイズ緩和に有用であると判断した場合は、「Audacity」のエコー機能を活用してみましょう。
Audacityのノイズを更に処理する
次に、Audacityで、ノイズを更に処理する方法をレビューします。
無音部分のカット
録音の音質を更に高める技術として、無音部分をカットする方法があります。無音部分は波形で見ると振れ幅がほとんどないように見えても、実際に聴くと「プツッ」といった音のカットオンが聴こえる場合があります。
無音部分をカットするとそうしたノイズをカットできます。無音部分をカットする方法は簡単です。無音部分の範囲を指定して、「Delete」キーを押します。
音を平均化する
録音の音質を安定化する技術として、音を平均化する方法があります。音を平均化するには、具体的にはコンプレッサー機能を利用します。コンプレッサー機能を利用すると、極端に音域が上下に偏っている部分を抑えて、全体的に中立的になるようにバランス調整してくれます。音割れ処理として有効な場合があります。
「Audacity」でコンプレッサー機能を利用するには、処理を行う箇所を指定して、画面上方メニューの「エフェクト」より「コンプレッサー」の項目を選び、パラメーターを調整して音の平均化を図ります。
「コンプレッサー」の設定ポップアップ画面が表示されるので各項目を調整した後、「プレビュー」をクリックして、自分で納得できる音の仕上がりになるまで音質を確認しましょう。調整が終了したら「OK」をクリックします。
ファイルのレベルの平均化
録音の音質を整える処理として、ファイル全体の音量を平均化する「ノーマライズ」とよばれる技術・方法があります。日本語訳では「音量正規化」と呼ばれ、録音データをデジタル的に処理し、全体的にバランスが整うように音量調整します。この方法も音割れ処理として有効な場合があります。
「Audacity」でこの「ノーマライズ」処理を行うには、処理を行う箇所を指定して、メニューより「エフェクト」→「ノーマライズ」を選びます。
設定ポップアップ画面が表示されるので「Cオフセットを削除」にチェックを入れて、「OK」をクリックします。
その後、ファイルとして出力したい場合は、「ファイル」→「書き出し」をクリックし、ファイル形式を指定すればファイルを作成できます。
Audacityのノイズプロファイルによるノイズ除去
次に、「Audacity」のエフェクト機能でノイズプロファイルの取得を行い、ノイズ感度の調整によって、ホワイトノイズなどの除去を行う方法を解説します。
パラメーターの設定
「Audacity」で感度調整を行うには、まず、ノイズ除去を行う部分を指定し、メニューから「エフェクト」→「ノイズの低減」をクリックします。
その後、設定ポップアップ画面が表示されるので「ノイズプロファイルの取得」をクリックします。自動でノイズプロファイル処理が行われ、完了すると画面が閉じます。
次に、再度ノイズ除去を行う部分を指定し、同じように、メニューから「エフェクト」→「ノイズを低減」をクリックします。
表示された設定ポップアップ画面で、今度は、下方に表示されている3つの項目のパラメーター「ノイズ低減・感度・周波数平滑化」を調整します。
ノイズ低減について
ノイズをどれだけ低減したいか設定します。パラメーターの下方に表示されている「ノイズ」項目の「低減」にチェックを入れると、さらにフィルターがかかりますが、音の仕上がりのプレビューを聴きながら程度を調整しましょう。
感度について
「感度」はノイズを判別する感度を設定します。ノイズが周りの音に埋もれてしまいそうな場合はレベルを上げましょう。ただし、レベルを上げ過ぎると非ノイズの部分をノイズとして認知・処理してしまうので気を付けましょう。
周波数平滑化について
「周波数平滑化」は値のレベルを上げるとそれだけノイズと非ノイズの境界線をあいまいにできます。ただし、値を0以上に設定する場合はレベルを上げるほど音がぼけてくるので、調整に注意が必要です。この設定も、実際の音の仕上がりのプレビューを聴きながら調整しましょう。
プレビューで音声を微調整
3つの項目のパラメーターを調整した後は、プレビューで実際の音の仕上がりを確認しましょう。ノイズ除去したはずが全体の音のバランスを崩してしまっている場合もあるので、「プレビュー」でノイズプロファイル処理したホワイトノイズなどの状況を確認しながら、必要な項目だけパラメーターの調整を行いましょう。
ノイズプロファイル・パラメーターによる音の調整が完了したら「OK」をクリックしましょう。
Audacityでノイズを除去してクリアな音声を!
「Audacity」でノイズを除去してクリアな音声を再現しましょう。ノイズの種類は、ホワイトノイズ・クリックノイズ・音割れなど様々ありますが、「Audacity」のエフェクト・ノイズプロファイルを使って効果的なノイズ除去を行いましょう。
音割れは明確な対処策がすぐに見つからない場合がありますが、「Audacity」のエフェクト・ノイズプロファイル・パラメーターの調整などによって、試行錯誤しながらより音質が整った音声を再現できるように調整しましょう。