WeixinとWechatの違いを知っていますか?見た目は瓜二つのアプリですが、Weixinは中国国内用、Wechatは中国国外用のチャットアプリです。今回は双方の公式アカウントの違いや開設方法を解説します。Wechatはスマホ・PC両方で利用できます。
現在はスマートデバイスの普及により、通話やメッセージのやりとりにも変化が表れています。携帯モバイルが普及し、誰もが個人の携帯端末を持つようになった頃は、通話はモバイル通信で、メッセージはメールの送受信で行うのが主流でした。
もちろん今でもモバイル通信通話とメールはなくてはならない通信ツールですが、スマホ・タブレットが個人の端末として普及している現在は、料金がほとんどかからない・便利・お手軽という観点から、チャットアプリで通話とメッセージのやり取りを行うユーザーが若い年齢層を中心に多くなっているのは誰もが認める事実です。
国内のチャットアプリで多くのユーザーを抱えている代表なアプリはLINEでしょう。また仕事仕様で広く使われているChat Workや、外国由来のアプリですがゲームチャットとして人気があるDiscordがあります。
チャットアプリがこうした盛り上がりを見せている昨今、中国でチャットアプリとして主流となっているのが「Weixin」です。我々(中国から見て)外国側からみると、中国のチャットアプリとして知られているのは「Wechat」を挙げる人がいると思いますが、この2つのアプリは見た目が瓜二つですが全く別物のアプリになります。
今回はこの「Weixin」と「Wechat」の違いとそれぞれの特徴、アカウントの解説方法について解説します。
「Weixin」と「Wechat」については全く別のアプリと説明しましたが、実は開発元・サービス提供元は同じ企業になります。そのためアプリアイコンもほぼ同じデザインのアイコンを使っています。
ちなみに、「Weixin」は中国語の音声をアルファベット表記しているもので、中国語表記(漢字表記)は「微信」となります。「微信」の意味は文字数が少ない1~2言の手紙を意味します。
「Weixin」は中国国内の若者層はほぼ全員スマホにインストールしているアプリといっても過言ではないほど、圧倒的な普及率を誇るチャットアプリです。ちょうど日本のLINEにあたるような、多機能アプリで、チャット・通話機能だけでなく、ショッピング決済機能なども装備しています。
では、そんな中国国内の普及率を誇る「Weixin」とそっくりのアプリ、「Wechat」がなぜ必要なのでしょうか?
「Weixin」と「Wechat」の違いを一言でいうと、中国国内向けのアプリと国外向けアプリということになります。こうした使い分けが生まれたのは、中国国内のWeb通信・情報の統制政策によります。中国では国内の情報がWebを介して国外に流出することを防ぐために中国国内外のWeb上のアクセス統制に力をいれてきたという背景があります。
特にSNS関連においては中国国民が海外のWeb上のSNSに参加することと、逆に海外の人間が中国国内のWeb上のサイトにアクセスすることに敏感に対応してきました。
そうした流れの一環として中国国内専用の主流チャットアプリとして機能してきたのが「Weixin」です。そして、(中国から見て)海外のユーザー向けにリリースしているのが「Wechat」になります。
そうしたすみ分けがあるため、「Weixin」のアカウントは中国の電話番号保持者でないと登録できませんが、「Wechat」は中国の電話番号をもってなくてもアカウント登録可能です。
「Weixin」は中国国内向けのアプリ、「Wechat」は国外向けアプリなので、見た目のIU(ユーザーインターフェイス)やレイアウトデザインはそっくりですが、利用できるアプリ・機能・スタンプがそれぞれ違います。
「Weixin」では、中国国内で利用できるクーポンの取得や、国内のWeb上のECサイトのリンクが豊富に設置されていますが、「Wechat」にはそうした機能は必要ないので装備されていません。「Wechat」では制御されて利用できなくなっている機能が多い印象です。
また、利用できるスタンプに関しては、版権の関係で、両アプリそれぞれで別のスタンプが提供されています。
企業レベルの仕様で、「Weixin」と「Wechat」の違いを語るときに引き合いに出されるのが公式アカウントのステイタスの違いです。「Weixin」と「Wechat」はともに、個人ユーザーのアカウントとは別に法人・企業アカウント(公式アカウント)の取得が可能です。
ここで注目するべき点は、「Weixin」の企業アカウント(公式アカウント)に、「Wechat」の個人ユーザーがアクセスすることはできますが、「Wechat」の企業アカウント(公式アカウント)に、「Weixin」の個人ユーザーがアクセスすることはできないということです。
この関係を企業側に立って説明すると、中国国内の「Weixin」の企業アカウントから中国国外の「Wechat」の個人ユーザーアカウントに情報発信できますが、逆に中国国外の「Wechat」の企業アカウントから中国国内の「Weixin」の個人ユーザーアカウントに情報発信できません。
このようなステイタスの違いが設けてある理由は、前述したように、中国国内の情報がWebを通して海外に流出しないように統制がかけられているためです。
これは、単純に何を意味するかというと、例えば日本の企業が中国国内のユーザーに直接アピールしたい場合は、「Weixin」の法人・企業アカウント(公式アカウント)を取得しないとそれが適わないということです。
しかし、法人・企業アカウント(公式アカウント)の取得に関しても、基本的に「Weixin」でアカウント登録するには中国の現地法人が必要です。
次に、「Weixin」のアカウントは、日本の個人ユーザー(中国国外ユーザー)・Japan企業(中国国外企業)でも登録できるかという命題についてレビューします。
個人ユーザーの場合は、明確に「中国の電話番号がないとWeixinのアカウント登録はできない」と定義できますが、Japan企業(中国国外企業)が「Weixin」の公式アカウントを取得したい場合は、対応策が用意されています。
原則として、Japan企業(中国国外企業)は「Weixin」の公式アカウントを取得できませんが、近年、Japan企業(中国国外企業)から「Weixin」の公式アカウントの取得を希望する声が多く挙がるようになりました。
そのため、サービス提供元がそうした要望に応え、一定のプロセスを踏むことでJapan企業(中国国外企業)でも「Weixin」の公式アカウントを取得できるように調整を行った模様です。この件の詳細については後述します。
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