Operaブラウザは1990年代からある軽さに定評のあるブラウザです。しかし、近年安全性への懸念の声が高まってきました。この記事では、Operaブラウザの特徴や安全性について、具体的な使い方やユーザーの評判などについて詳しく解説します。
PCでもスマホでも、ブラウザはとても重要なアプリと言ってもいいでしょう。PCやスマホで最も利用するのが、Webサイトだという方も少なくありません。Webサイトを閲覧したり、Webゲームを楽しんだりするためのブラウザは、軽くて機能性が高く、使い勝手のいいものを選びたいものです。
軽くて使い勝手のいいブラウザを探している方が気になっているブラウザの一つにOperaブラウザがあります。Webページが高速表示されると評判のブラウザですが、安全性への懸念の声もあります。
この記事では、Operaブラウザとはどのような特徴を持つブラウザで、安全性は実際のところどうなのか、さまざまな観点から検証していきます。
Operaブラウザはブラウザアプリの中では、最も歴史が長いアプリの一つです。登場したのは1995年で、ノルウェーにあるOpera Software ASAによって開発されました。登場した頃から、動作の軽さでは定評があり、高速ブラウザとして知る人ぞ知る存在のブラウザでした。
速度の比較のところでも詳しくみていきますが、現在でも高速ブラウザとしての地位は揺らぐことはありません。主要なブラウザアプリの中でも、トップを誇る画面の表示速度を誇ります。
また、Operaブラウザで見逃してはいけない特徴としては、無料でVPN接続を利用できる点があります。VPN接続というのは、インターネット通信の安全性を高めるために欠かせないものです。
VPN接続では、通信の出口を設定しておき、入口から出口までの通信は完全に暗号化されます。Operaブラウザの場合には出口はノルウェーのOperaの開発会社に設定されている模様ですが、そこまでの通信は暗号化されて匿名性が完全に保たれています。
入口と出口の通信を完全に暗号化する方法は、通常は専用回線を引いてしまうしかありません。しかし、それではコストが莫大にかかる上に、設定された入口と出口の間でしか通信ができなくなってしまいます。
しかし、VPNは仮想ネットワーク上での完全暗号化を実現しています。そのために、Operaのようなブラウザアプリにも搭載が可能です。
とはいえ、通常はVPNを利用する時には、VPN回線の利用料が必要です。Operaのように誰でも無料で利用できるVPN接続はとても珍しいものです。
ブラウザの速さと無料で使えるVPN接続の他にも、広告ブロック機能やトラッキングブロック機能などの、ユーザーにとってうれしい機能がOperaブラウザには搭載されています。
最近の広告は画像だけでなく動画も多用されているので、広告が表示されるだけで通信量を消費してしまいます。広告を表示せずにニュースサイトなどを利用できるのは、限られた通信量でPCやスマホを利用している方にはうれしいポイントです。
また、ユーザーのネットワーク上での動きを追跡して広告表示などに活かすトラッキングは、ユーザーのプライバシーを侵害するものだと問題視されています。Operaではトラッキングを防止する設定も可能なので、追跡されたくない方も安心して利用できます。
Operaブラウザについては安全性を懸念する声が多く聞かれます。実際のところ、Operaブラウザの安全性はどうなのか、解説します。
Operaブラウザの安全性は高いという方もいます。その理由は、Operaブラウザでは通信の安全性を保つためのVPN接続を誰でも自由に無料で利用できるためです。
後述するように、Operaブラウザは中国系企業に買収されたことで、VPNの出口が中国に設定されているのではないかと懸念する声もあります。しかし、VPNの出口を調べてみるとノルウェーに設定されているので、VPNの出口から情報が流出する危険性はとても低いでしょう。
VPN接続を利用しない接続での利用に懸念はありますが、通信の安全性を高めたいのならVPN接続という選択肢が用意されている点は、安全性への評価に値するでしょう。
また、サイトの運営者がユーザーのインターネット上での動きを監視するトラッキングをブロックする機能も、Operaブラウザでは設定できます。完全にトラッキングブロックが働いている訳ではなく、自分で設定しないと使えない機能である点は不十分だという声もあります。
しかし、自分のネット上のプライバシーを守りたいのなら、Operaブラウザではトラッキングブロックを選択できるという点は、評価してもいいでしょう。
Operaブラウザが知らないうちに勝手にPCにインストールされていることがあることを、Operaブラウザの安全性に対する懸念の理由に挙げる方もいます。フリーソフトをPCにインストールすると、セキュリティソフトや検索エンジン、ブラウザソフトなどがアドウェアとして同梱されてくることがよくあります。
アドウェアはフリーソフトの提供者が広告収入を得るために入れているもので、PCに対して悪さをするマルウェアとは違い安全なものです。フリーソフトをダウンロードしてインストールするときに、アドウェアに対する許可も出しているはずです。
しかし、利用規約などをよく読まずにダウンロードする方もいるので、Operaブラウザをウィルスのように感じてしまう場合もあるようです。
不要であれば、OperaブラウザはPCのアプリのアンインストールから簡単に削除できます。フリーソフトは無料で提供される対価として、広告の表示やアドウェアが同梱される点はあらかじめ理解しておきましょう。
最も安全性に懸念を感じている方が多い点は、Operaブラウザが2016年に中国の奇虎360という企業に買収された点です。
ブラウザの開発企業は、ユーザーの利用状況からさまざまなデータを取得することが可能です。たとえ、ユーザーがトラッキングブロックを設定したとしても、外部の企業の追跡を不可能にするだけで、Operaの運営会社がデータを収集している可能性は捨てきれません。
Operaではありませんが、GoogleはChromeから収集するさまざまなデータをビジネス活動に活用しいています。また、完全に秘密で利用できていると思われていたシークレットモードからも、多くのデータを収集していることがわかっています。
とはいえ、Googleの場合にはアメリカの企業なので、Googleの商業活動を超えた利用は想定されていません。
しかし、中国では2017年に国家情報法という法律が制定されて、中国国内の企業や、中国に籍のあるグローバル企業は、中国共産党の求めに応じてあらゆる種類の情報を提供しなければいけないと定められています。
運営企業が中国企業である限り、Operaから収集した情報が、何らかの形で中国政府に提供されている可能性は捨てきれません。その点から、VPN接続やトラッキングブロックを搭載していても、Operaブラウザはプライバシーの侵害への懸念は捨てきれないのが実際のところです。
Operaを他の主要なブラウザと比較して見ると、実際のところどのような感じなのか具体的にみていきましょう。
世界的にOperaブラウザがどのくらい使われているのか、世界でのシェア率を見てみると、PCのデスクトップ版は約0.7%、スマホアプリ版でも約2%です。Operaは登場以来トップシェアを誇ったことはありませんでしたが、一時期は10%程度のシェア率を誇った時期もありました。
現在では安全性への懸念や、Google Chromeの使い勝手がとても良くなったことから、Operaブラウザをデフォルトブラウザとして利用する方はとても少ないのが現状です。
ちなみに、PCのデスクトップ版ではChromeが約60%、Edgeが約15%、Safariが約9%、Firefoxが約7%のシェア率です。スマホのブラウザアプリでもChromeが圧倒的で約60%、次いでSafariが約25%のシェア率を誇っています。
スマホの速度を比較して見ると、Operaは最も速度が速いブラウザです。僅差でOperaの開発者が開発に加わっているVivaldiというブラウザが2位、また僅差でGoogle Chromeが3位です。
PC用ブラウザとして人気が高いEdgeは主要なブラウザの中では最下位レベルの速度で、速さという点ではあまり評価されません。
Operaは高速ブラウザということでかつては人気が高かったブラウザでしたが、現在でもその速さへの評価は変わりないようです。
安全性に対しての評価は、OperaブラウザはGoogle ChromeにはないVPNの無料利用やトラッキングブロック機能を搭載している点が評価されています。しかし、プライバシー保護の機能を搭載してはいますが、Opera自体で収集できるデータをどのように活用しているのか、データの活用方法の透明性に関しては、Googleほど高くありません。
Operaブラウザで収集したユーザーの情報が中国政府に提供されている可能性が捨てきれない点で、安全性への懸念があります。
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