route addコマンドを実行してIPアドレスを設定すれば、Windowsのルーティングテーブルに新しい通信ルートを追加することが出来ます。Windowsでのroute addコマンドの操作方法や、ネットワーク障害発生時の対処法などをまとめました。
今やコンピュータは現代社会の情報通信をつかさどるインフラの一つです。Windows PCやスマートフォンなどのコンピュータがなければ、私たちの生活は成り立たないと言っても過言ではありません。
人間がコンピュータを効率的に操作するためには、インターフェイス(画面)の仕様が非常に重要です。コンピュータのインターフェイスは「CUI」と「GUI」に大別され、それぞれ以下の表のような特徴があります。
CUI (Character User Interface) |
キーボードを使って文字を打ち込みながらコンピュータを論理的に操作するコマンド入力方式のインターフェイス |
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GUI (Graphical User Interface) |
キーボードやマウスなどの入力機器を使ってウィンドウ・アイコン等をクリックしながらコンピュータを感覚的に操作できるインターフェイス |
Windows OSはGUIを採用していますが、コマンドプロンプトを立ち上げればCUI操作も可能です。そしてWindowsのコマンドプロンプトには、GUI操作では実現できない高度なネットワーク制御を行えるメリットがあります。
Windowsのコマンドプロンプト画面は、以下の方法で表示させることが出来ます。(管理者権限で実行モード。)
route addとは、簡単にいえばネットワークを介して情報を送信する際の「経路」を追加するコマンドです。
ただし、ルータなどのネットワーク機器の設定をカスタマイズするためのコマンドではありません。クライアントPCやサーバーなどのOSにアクセスして、経路制御を直接行える強力な権限を持ったコマンドです。
route addの理解を深めるために、ネットワークの仕組みについて簡単に説明しておきます。
あるコンピュータから別のコンピュータにデータを送信するためには、転送する情報を細かく分割した「パケット」を何らかのルートで伝送しなければなりません。
このルートの決め方にはいろいろな方法がありますが、特別な理由がない場合、「デフォルトゲートウェイ」を経由したデフォルトルートが選ばれます。
ちなみにデフォルトゲートウェイとは、簡単に言えば異なるネットワークへ繋ぐルータのことです。情報受信側のIPアドレス(ネットワーク上の住所のようなもの)が送信端末側と異なるネットワークに所属するものであっても、デフォルトゲートウェイのおかげでデータを届けることが可能です。
基本的にデフォルトゲートウェイのIPアドレスはWindowsによって自動的に設定されていますが、ネットワーク接続のプロパティから手動で設定することも可能です。(ただしデフォルトゲートウェイの設定を間違えると通信不能に陥るリスクがあるので要注意。)
また、コンピュータはデフォルトゲートウェイとは異なるIPアドレスのゲートウェイを指定した転送ルート情報を複数持つことができます。これを「スタティックルート(Static Route)」または「固定ルート」と呼びます。
デフォルトゲートウェイもスタティックルートの一種であり、スタティックルートの追加・変更・確認等の操作を行う際に用いられるのがroute系のコマンドというわけです。
データを目的地まで確実に送信するためには、ネットワーク上のデータ伝送ルートをコントロールする「ルーティング(経路制御)」が欠かせません。
Windows PCやサーバはルーティング情報を格納した「ルーティングテーブル」という表データを保存しており、データ転送はこのルーティングテーブルに沿って実行されます。
route addはWindowsのコマンドプロンプトから実行するコマンドなので、CUIに慣れていない方は操作方法に戸惑うかもしれません。
ここでは、Windowsのコマンドプロンプトを操作してルーティングテーブルの内容を表示・確認する方法について解説していきます。
ルーティングテーブルとは、PCやルーターなどネットワークに接続されたコンピュータに保管されているルーティング(経路制御)情報のデータベースです。データを送信する宛先への経路一覧が記録されています。
TCP/IP(インターネットの標準通信プロトコル)をサポートしたシステムには、必ずルーティングテーブルが存在します。ユーザーはコマンドプロンプトを使えば、いつでも好きな時にルーティングテーブルの情報を確認することが出来ます。
Windowsでルーティングテーブルを表示したい場合、コマンドプロンプトを管理者として実行し、「route print」と入力してEnterキーを押すだけでOKです。
すると、現在設定されているルーティングテーブルがコマンドプロンプト上に表示されます。
難解な専門用語が並んでいて意味が分からないという方もいることでしょう。route printコマンドを使って表示したルーティングテーブルの見方を簡単にまとめると、以下の表のようになります。
Interface List (インターフェイス一覧) |
データの送信に使用されるインターフェイス一覧
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Network Destination (ネットワーク宛先) |
送信先ネットワークのIPアドレス |
Netmask (ネットマスク) |
送信先ネットワークのサブネットマスク(ネットワークの範囲を定義したもの) |
Gateway (ゲートウェイ) |
ゲートウェイのIPアドレス |
Interface (インターフェイス) |
パケットを送信するインターフェイスのIPアドレス |
Metric (メトリック) |
メトリック値(同じ経路が複数ある場合、メトリック値の低いルートが優先される) |
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